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2025年1月の星空

新年の始まりを祝うかのように、木星と火星が明るく輝いています。金星、土星も合わせると、肉眼でも見やすい4惑星が夜空を彩り、実ににぎやかです。流星群や美しい星団観察なども楽しみな、見どころいっぱいの星の世界に出かけましょう。

星空写真

愛知県新城市 大島ダムにて
ふたご座流星群の撮影に訪れたのですが、流星は画角内に飛んでくれませんでした。その代わり、霧が発生し幻想的な雰囲気の中、冬の星座が撮影できました。初冬に代表されるおうし座にはじまり、いわゆる冬のダイヤモンドを構成する1等星がほぼすべて写っています。

2023年12月13日 22時25分
ニコン Z7+NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S(14mm、ISO6400、露出15秒×16枚を合成、f/2.8)
撮影者:石橋 直樹

1月の星空

南の空

南の空

2025年1月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(7日)、満月(14日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2025年1月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

3日(金) 夕方~宵、細い月と金星が接近(「今月の星さがし」で解説)
4日(土) しぶんぎ座流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説)
夕方~宵、月と土星が接近、月と金星がやや離れて並ぶ(「今月の星さがし」で解説)
7日(火) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
10日(金) 夕方~深夜、月とプレアデス星団が接近
11日(土) 未明、月と木星が並ぶ
12日(日) 地球と火星が最接近(「今月の星さがし」で解説)
13日(月) 夕方~翌14日明け方、月とポルックスが接近
14日(火) 満月。次の満月は2月12日です
未明~明け方、月と火星が接近
夕方~翌15日未明、月と火星が接近(明け方とは並び方が変わります)(「今月の星さがし」で解説)
16日(木) 宵~翌17日明け方、月とレグルスが大接近
17日(金) 火星が衝(一晩中見えるので観察の好機です。「今月の星さがし」で解説)
18日(土) このころ、夕方~宵に金星と土星が接近(「今月の星さがし」で解説)
21日(火) 未明~明け方、月とスピカが接近
22日(水) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
未明、月とスピカが並ぶ
このころ、夕方~明け方に火星とポルックスが接近(「今月の星さがし」で解説)
25日(土) 未明~明け方、月とアンタレスが大接近
29日(水) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)

1月の惑星

水星

10日ごろまで、明け方の東南東から南東の低空に見えます。

日の出45分前(東京で6時ごろ)の高度は6度前後とかなり低めですが、それでも水星としては見やすいほうです。スマートフォンのアプリなどで位置をよく確かめて、見晴らしの良い場所で探してみましょう。肉眼でも見える明るさですが、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。

金星

「宵の明星」として、夕方から宵の南西の低空に見えます。明るさは約マイナス4.5等級です。

日の入り45分後(東京で17時40分ごろ)の高度は約30度あります。空が暗くなり始めたらすぐに見つけられるでしょう。空がもっと明るい時間帯でも肉眼で見えるので、よく探してみてください。慣れれば日の入り前でもわかります(太陽に気を付けましょう)。

3日の夕方から宵に、月齢3~4の細い月と接近して見えます。また、中旬から下旬には土星と近づきます。「今月の星さがし」を参考にして、日ごとに間隔が変わる様子などをお楽しみください。

火星

「かに座」から「ふたご座」へと移動します。20時ごろに東の空に見え、日付が変わるころに頭の真上あたりまで昇り、4時ごろに西の空に見えます。明るさは約マイナス1.4等級です。ほぼ一晩中見え、観察の好期です。

12日に地球と最接近し、とくにこの前後は注目の期間です。最接近といっても肉眼で大きく見えるようなことはありませんが、他の時期に比べると明るさが増しています。また、「ふたご座」の兄弟星、ポルックスとカストルの近くを動いていく様子も楽しみです。「今月の星さがし」を参考にして、実際に自分の目で確かめてみましょう。

14日の未明から明け方、また14日夕方から15日の未明に、満月前後の明るい月と接近します。

木星

「おうし座」にあります。18時ごろに東の空の高いところ、21時ごろに頭の真上あたりに見え、4時ごろに沈みます。明るさは約マイナス2.6等級です。

火星と同様にほぼ一晩中見えているので、こちらも観察の好期です。明るく華やかな冬の星々のなかでもひときわ目立つ、主役の輝きをご覧ください。天体望遠鏡では縞模様やガリレオ衛星を観察しましょう。

11日の未明、月齢11の明るい月と並びます。

土星

「みずがめ座」にあります。18時ごろに南西の空に見え、21時ごろに沈みます。明るさは約1.1等級です。

観察シーズンはそろそろ終盤です。来月も肉眼では見えますが、天体望遠鏡での拡大観察には向かなくなるので、公開天文台などのイベントに参加して今月中にぜひ観察しておきましょう。環が細く見づらくなっていることがわかります。

4日の夕方から宵に、月齢4~5の細めの月と接近して見えます。また、中旬から下旬には金星と近づきます。こちらの様子は肉眼や双眼鏡で眺めて楽しみましょう。

今月の星さがし

火星が約2年ぶりに地球と最接近します。赤く明るく輝く様子に注目しましょう。夕空で並ぶ金星と土星も見ものです。また、年明け早々には、しぶんぎ座流星群が比較的好条件で見られそうです。

4日未明、しぶんぎ座流星群

「しぶんぎ座流星群」は毎年1月4日ごろに活動が見られる、年初め定番の天文現象です。8月の「ペルセウス座流星群」、12月の「ふたご座流星群」とあわせて年間三大流星群とされていますが、他の2つに比べると知名度は低めです。「しぶんぎ座」という星座が現存しないこと、年初めで他の色々な話題に埋もれてしまうことなどが理由かもしれません。

しぶんぎ座流星群はピークの前後数時間に出現が集中するため、これが昼に当たってしまうとほとんど見えないのですが、今年は4日0時ごろに活動が極大を迎えると予想されていることから期待できそうです。月明かりの影響が全くないことも好都合です。

1月4日2時ごろの空の様子(場所の設定は東京)。流れ星は放射点(「北斗七星」の付近)を中心とした空全体に飛ぶように見える

放射点(流れ星が飛ぶ中心となる点)は北東にありますが、流れ星は北東だけでなく空全体に飛びます。狭い範囲をじっと見つめるのではなく、空を広く見渡すようにすると、流れ星を目にできる可能性が高くなります。街灯などから離れた方向を中心に空を見上げましょう。

当然ながらこの時期の未明から明け方は非常に寒いので、重ね着、手袋やマフラー、携帯カイロなどを準備して、無理をせずに楽しみましょう。流れ星を見つけて、良い一年のスタートを切れますように。

火星が地球最接近

夜21時ごろの空には、南東を中心として「おうし座」や「オリオン座」「ふたご座」など冬の星座が広がり、明るくカラフルな1等星が見えています。今シーズンは「おうし座」に木星が、「ふたご座」のあたりに火星があり、星空がさらに華やかです。この火星が、1月12日に地球と最接近します。

火星は太陽系の中で地球の1つ外側にある惑星です。地球と火星はそれぞれの周期で太陽の周りを公転していますが、約2年2か月ごとに地球が火星を内側から追い抜くような位置関係になり、横並びになるタイミングがあります。このときに地球と火星が最接近するので、火星が明るく、天体望遠鏡で見たときのサイズが最も大きくなって見ごろを迎えます。

各回の最接近で、地球と火星の距離は大きく変わります。これは、火星の軌道がかなりつぶれた楕円軌道だからです(地球も楕円軌道ですが、火星のほうがよりつぶれた軌道です)。近い最接近であれば6000万kmよりも近づきますが、遠い最接近だと1億km以上も離れることもあります。今回の最接近距離は約9610万kmで遠めですが、最接近であることに変わりはないので、注目すべき時期です。

2024年から2025年の地球と火星の動きと距離。近いほど明るく大きく見える。1月12日に地球が火星を追い抜くタイミングで最接近する

近年の地球と火星の最接近の日付と距離。しばらく「遠い最接近」が続く

火星が地球と最接近し大きくなるといっても、見かけの直径は満月の1%未満しかないので、肉眼や双眼鏡では模様は見えません。天体望遠鏡を使うと表面の濃淡が見えてきます。天体観察会に参加したりインターネット中継イベントを視聴したりするのも良いでしょう。

肉眼や双眼鏡では、14日に満月前後の月と並ぶ光景を眺めてみましょう。また、「ふたご座」の兄弟星、ポルックスとカストルのそばを動いていく様子も見ものです。撮影して日ごとの位置を記録すれば、「惑う星」の名のとおり火星が星々の間を動く様子を実感できるでしょう。

1月14日から30日まで4日ごとの、夜20時の東の空の様子(場所の設定は東京)。14日の大きい円は拡大イメージ(視野6度)、小さい円はさらに拡大のイメージ(正立像、月と火星で拡大率は異なる)

火星はこの後も6月ごろまで長期間見ることができますが、とくに明るく、(望遠鏡で比較的)大きく見えるのは2月中旬くらいまでです。暖かくして火星鑑賞をお楽しみください。

夕空で月と金星、土星が接近

宵の明星の金星が、夕方の南西の空で明るく輝いています。高度もじゅうぶんで、一番星としてひじょうに目立ちます。位置がわかれば日の入り前でも肉眼で見ることができます。スマートフォンのアプリなどで方向を確かめて探してみましょう。太陽を建物などで隠すと見つけやすくなります。

3日の夕方から宵にかけて、この金星の近くに細い月がやってきます。新年の空を彩り飾る、とても美しい光景となるでしょう。特別な機材は不要で、肉眼でただ眺めるだけでじゅうぶんですし、気軽に撮影するのもお勧めです。空の色の移ろいと一緒にお楽しみください。また、金星の近くには土星もあり、翌4日には金星と土星の間に月が並びます。

1月3日と4日 夕方の南西の空の様子(場所の設定は東京)。大きい円は拡大イメージ(視野6度)、小さい円は月をさらに拡大したイメージ(正立像)

4日以降、金星と土星の間隔はどんどん小さくなっていき、18日ごろに最接近します。毎日並び方が変わる様子を追いかけると面白いでしょう。先にご紹介した「火星とポルックス・カストルの接近」とともに、継続的に観察したい現象です。天体望遠鏡で観察すると、金星が半月状に欠けて見えることや、土星の環がとても細くなり串のように見えることもわかるでしょう。

1月14日から24日まで2日ごとの、夕方の西南西の空の様子(場所の設定は東京)。円は拡大イメージ(視野6度)、18日の小さい円は金星と土星をさらに拡大したイメージ(正立像)

この次にご案内する木星も含めて、今月は肉眼で見やすい4惑星それぞれに見どころや注目ポイントがあります。肉眼での気軽な観望から望遠鏡での拡大観察まで、いろいろな方法で惑星をご覧ください。

今月の星座

おうし座

4月下旬から5月中旬ごろに誕生日を迎える人の星座として名前が知られている「おうし座」、見やすいのは冬の時期です。1月中旬の夜20時から21時ごろ、南の空の高いところに見えます。

「おうし座」(星雲の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

この冬は「おうし座」の領域に木星があるので、「おうし座」の位置の見当をつけるのはとても簡単です。また、牛の目にあたる位置に輝く赤っぽい1等星アルデバランも目印になります。アルデバランの辺りに広がるV字型の星の配列が牛の顔で、そこから東(図では左)に2本の立派な角が長く伸びています。足や体の後ろ半分はあまり目立ちません。

ギリシャ神話では、最高神ゼウスが変身した姿、あるいはゼウスが女性を変身させた姿とするストーリーがあります。木星はゼウスに対応する天体なので、「おうし座」に木星がある今シーズンは「ゼウスの集会」と呼べそうな状況ですね。木星のおかげで例年以上に目立っている牛の姿を眺めてみましょう。

木星

木星は直径が地球の約11倍もある、太陽系で最大の惑星です。約12年で太陽の周りを公転し、地球から見ると毎年1つずつ、誕生日の星座を移っていくように動きます。つまりこの冬「おうし座」に木星があるのは、約12年ぶりということです。

木星の光り方を周りの星と比べると、あまり瞬かないことに気づくでしょう。見かけの直径は月の約40分の1しかありませんが、点光源の恒星とは異なり面積があるために、瞬きが小さいのです。惑星の王にしてギリシャ神話の最高神、貫禄と落ち着きが感じられますね。

この木星を天体望遠鏡で観察すると、数本の縞模様と、木星の周囲を公転するガリレオ衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)が見えます。木星の衛星は100個近く見つかっていますが、そのなかでもガリレオ衛星は大きく明るいので、一般的な望遠鏡で簡単に見ることができます。4つのうち一番内側のイオは2日弱、一番外側のカリストは17日ほどで木星を一周し、数時間から数日で並び方が変わります。時々観察してみてください。

ガリレオ衛星の動き。真ん中の木星の周りを4つのガリレオ衛星が回っている。「イ」=イオ、「エ」=エウロパ、「ガ」=ガニメデ、「ト」=カリスト。明るさは5~6等級

ヒヤデス星団

牛の顔の位置に集まっている星々は、偶然同じ方向に見えているのではなく、実際の宇宙空間でもまとまって存在しています。このような星の集まりを「星団」と呼び、この付近の集まりには「ヒヤデス星団」という名前がついています。ただし、アルデバラン(距離約67光年)は星団の星々(距離約150光年)よりずっと手前にあり、星団には含まれません。

プレアデス星団、すばる

牛の肩の位置にも星団があります。およそ1000年前に清少納言が『枕草子』で「星はすばる……」と記した「すばる」は、夏の「織り姫星、彦星」などと並び日本で最もよく知られた天体の和名でしょう。ハワイにある「すばる望遠鏡」や楽曲のタイトル、自動車のメーカー名などにも「すばる」という名前が使われています。

日本ではこのほかに「羽子板星」や「六連星(むつらぼし)」「むりかぶし」などの呼び名もあります。西洋名の「プレアデス」はギリシャ神話に登場する7人姉妹の名前で、英語では「セブン・シスターズ」とも呼ばれます。

空の条件が良ければ肉眼でも6個ほどの星が見えます。双眼鏡ではさらに星の数が増え、青白い星々の美しい眺めを堪能できます。観劇やスポーツ観戦用のものでも肉眼よりぐんと良く見えるので、お持ちの方はぜひプレアデス星団に向けてみてください。

かに星雲

すばるの星々は誕生から1億年ほどという「若い」天体です(太陽の約46億歳と比べてみましょう)。一方、牛の角先に位置する「かに星雲」は、重い星が大爆発を起こして「一生を終えた」後の残骸です。この爆発は西暦1054年に観察され、しばらくの間は昼でも見えるほど明るかったという記録が残っています。

空の暗いところで天体望遠鏡で観察すると、淡い光のシミのように見えます。その形が「かに」のようなので「かに星雲」と命名されたのですが、皆さんには「かに」に見えるでしょうか?

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は1月中旬の深夜1時ごろの星空です。2月中旬の深夜23時ごろ、3月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。

2025年1月中旬 深夜1時ごろの星空

「おうし座」をはじめとした冬の星座が西の空に移ります。シリウス・ベテルギウス・プロキオンを結ぶ「冬の大三角」と、シリウス・木星・火星でできる今季限定の「冬の特大三角」、やや低くなりましたがどちらも見応えがあります。

反対の東の空には「しし座」や「おとめ座」「うしかい座」など春の星座が登場し、「春の大三角」が大きく広がっています。また、北東の空に「北斗七星」が高く昇ってきました。西天ほど派手ではないものの、東天にも目立つ星や星座が多く、見入ってしまいそうです。

冷たく澄んだ空気の中でキラキラ輝く星々は、寒さを忘れるほど美しいものです。新年早々に体調を崩さないよう、念入りに防寒を整えてお楽しみください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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