夏の定番、ペルセウス座流星群は13日ごろにピーク。今年は月明かりがなく好条件です。久しぶりに空のきれいなところへ出かけて、天の川や土星、夏の星々とともに楽しむのも良さそうです。31日の満月は「ブルームーンのスーパームーン」で、ちょっと特別感があるかもしれません。
星空写真
福島県 浄土平湿原にて
撮影時、垂直に立ち昇る天の川に天の川銀河(銀河系)を意識させられ、浄土平湿原の木道が天の川銀河へ導いてくれるようなエモーショナルな感覚に陥りました。
2022年8月28日 21時9分
ニコン Z 6II+NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S(14mm、ISO12800、露出5秒×8枚を合成、f/2.8)
撮影者:高岡 誠一
2日(水) | 満月。次の満月は8月31日です |
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3日(木) | 宵~翌4日明け方、月と土星が接近(「今月の星さがし」で解説) |
8日(火) | 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) 立秋(こよみの上で秋の始まり) 深夜~翌9日明け方、月と木星が接近(「今月の星さがし」で解説) |
10日(木) | 未明~明け方、月とプレアデス星団が接近 |
13日(日) | ペルセウス座流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説) |
14日(月) | 未明~明け方、細い月とポルックスが接近 |
16日(水) | 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) |
21日(月) | 夕方~宵、月とスピカが大接近 |
22日(火) | 伝統的七夕(「今月の星さがし」で解説) |
24日(木) | 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む) |
25日(金) | 夕方~深夜、月とアンタレスが接近 |
28日(月) | 土星が衝(一晩中見えるので観察の好機です) |
30日(水) | 夕方~翌31日明け方、月と土星が接近(「今月の星さがし」で解説) |
31日(木) | 満月(今年最大の満月、「今月の星さがし」で解説)。次の満月は9月29日です |
15日ごろまで、夕方の西の低空に見えます。
日の入り30分後(東京で19時10分ごろ)の高度は5度前後とかなり低く、目印になるような明るい天体がないため、観察の難度は高めです。スマートフォンのアプリなどで位置をよく確かめて、西の空が地平線付近まで開けたところで探してみましょう。肉眼でも見えますが、双眼鏡を使うとより見やすくなります。
月末から「明けの明星」として、明け方の東の低空に見えます。
日の出30分前(東京で4時40分ごろ)の高度は10度前後と低いので、東の空が開けたところで探しましょう。マイナス4等級ととても明るいおかげで、山や建物などに隠れていなければ見ることは難しくありません。
「しし座」にあり、10日ごろまで夕方の西の低空に見えます。明るさは約1.8等級です。
日の入り1時間後(東京で19時45分ごろ)の高度が約5度とかなり低く、明るくもないため、見つけるのは難しいでしょう。
「おひつじ座」にあります。22時ごろに昇ってきて、3時ごろに南東の空の高いところに見えます。明るさは約マイナス2.5等級です。
深夜以降まで起きていれば、東~南東の空で存在感を放つ圧倒的な輝きを目にすることができます。本格的な観察シーズンは10月ごろからですが、一足先に観察してみてはいかがでしょうか。天体望遠鏡で眺めると、縞模様や4つのガリレオ衛星が楽しめます。ガリレオ衛星は双眼鏡でも見えるかもしれません。
8日の深夜から9日の明け方、月齢22の下弦の月と接近します。遅めの時間帯ではありますが、望遠鏡がなくても肉眼や双眼鏡でよく見えるので、ぜひご覧ください。
「みずがめ座」にあります。19時ごろに昇ってきて、22時ごろに南東の空のやや低いところ、0時ごろに南の空に見えます。明るさは約0.5等級です。
一晩中見ることができる観察の好期です。周りに明るい星が少ないエリアに位置しているので目立ちます。天体望遠鏡で環を観察すると、見え方がかなり細くなっていることがわかります。お持ちでなければ、天文台や科学館などで開催される天体観察会に参加してみましょう。
3日の宵から4日の明け方にかけて、満月過ぎの明るい月と接近します。また、30日の夕方から31日の明け方にかけても、満月前の明るい月と接近します。こちらは肉眼や双眼鏡でお楽しみください。
今月は何と言っても13日前後のペルセウス座流星群がおすすめ。月明かりのない好条件で、多くの流れ星が見えると期待が膨らみます。30~31日の満月は「ブルームーンのスーパームーン」として話題になるかもしれません。見た目に大きな変化はありませんが、新しいお月見の一つと考えて気軽に眺めましょう。
毎年8月13日ごろに活動がピークとなるペルセウス座流星群は、夏の定番の天文現象です。条件が良ければ1時間あたり数十個の流れ星を見ることができるという、一年のうちでも指折りの「流星に出会いやすい夜」です。速く明るい流星が多いので印象に残りやすいのもポイントです。また、夏休みの時期で夜更かししやすいのも、子供にも大人にも嬉しい点でしょう。
今年ペルセウス座流星群の活動が最も活発になるのは13日17時ごろと予想されています。実際に最も見やすいのは当夜、とくに13日の深夜から14日の明け方になるでしょう。13日の未明から明け方や、13日の宵から深夜も比較的よく見えそうです。新月前で月明かりの影響がほぼないという好条件のおかげで、多くの流れ星が期待できます。街明かりもなく、視界がよく開けているところであれば、1時間あたり30個以上は見えるでしょう。街明かりがある、視界が一部遮られている、といった場合には数が減りますが、それでも10~15個は見えそうです。また、さらに数は減りますが前後数日間も流れ星を見られるチャンスはありますので、13日は曇りそう、休めない、といった場合にも諦めずに流れ星を待ちましょう。
ところで、流れ星はペルセウス座の方向「だけ」でなく、空のあちこちに飛びます。方角も高さもバラバラです。したがって、なるべく広い範囲を眺めることが大切です。見える範囲が限られる双眼鏡や天体望遠鏡は必要ありません。ゆったりとした気持ちで、肉眼で空を見上げてみてください。もし街灯などがある場合は、背を向けるなどして光を直接目に入れないようにすると、眩しさが軽減されて見やすくなります。また、観察を始めてすぐに飛ぶとは限らないので、少し気長に流れ星を待ちましょう。
虫よけや防寒(高原などでは意外と冷えます)の準備、安全やマナーへの配慮などもお忘れなく。多くの明るい流れ星を目にするという、良い思い出ができますように。
7月7日は七夕でしたが、これは古くからの行事なので、旧暦の7月7日に行われることもあります。そこで旧暦7月7日(※)を「伝統的七夕」と呼んで、天文行事として楽しんだり祝ったりすることも広く行われています。伝統的七夕の日は毎年日付が変わり、今年の場合は少し遅めの8月22日です。
※旧暦は現在公的には使われていないため、伝統的七夕の日は「太陽太陰暦と同じような方法で求めた7月7日に近い日」として、太陽の位置や月の満ち欠けをもとにして決められます。
7月7日はまだ梅雨明けしていない地域が多いので、織り姫星(「こと座」のベガ)と彦星(「わし座」のアルタイル)が見えないことも少なくありません。その点、伝統的七夕はだいたい8月中旬ごろになるので梅雨が明けている可能性が高く、晴れた夜空が見やすくなります。また、7月7日の21時ごろには東の空に見えていたベガとアルタイルは、伝統的七夕のころには頭の真上あたりまで高く昇るので、建物や街明かりの影響を受けにくくなる点でも見やすくなります。半月が沈んだ後には、2つの星の間に天の川も見えるかもしれません。
7月7日の七夕にはイベント的な楽しみや宇宙に親しむきっかけとしての意味合いがあり、伝統的七夕には古くからの人と宇宙のつながりを感じたり暗い星空に思いを馳せたりという良さがあります。伝統的七夕の夜にもぜひ、織り姫星と彦星を見上げてみましょう。
先月までは月に一度、夕空で細い月と金星の共演が見られましたが、今月はありません。その代わりというわけでもありませんが、明るい月と土星が接近する現象が月初(3~4日)と月末(30~31日)の2回あります。また、8~9日には月と木星の接近もあります。
どの現象も肉眼でよく見えるので、晴れていたらまずは空を見上げてみましょう。双眼鏡を使えば月の大きめの模様もわかります。天体望遠鏡では月と惑星を一緒に見ることはできませんが、月のクレーターや土星の環、木星の縞模様や衛星などが楽しめます。様々な方法で観察してみてください。
月は約1か月の間に、満ち欠けによって形(光っている部分)が大きく変化します。それだけでなく、月の「見かけの直径」も日々変わります。月は地球の周りを楕円軌道で回っているので距離が変化するため、「近い時には大きく」「遠い時には小さく」見えます。
月と地球が一番近づいたタイミングの前後でちょうど満月になると、直径が大きく、光っている面積の割合も大きい月が見えることになります。今年の場合は8月30日の宵から31日の明け方にかけての月が「今年一番大きい満月」にあたります。一般に「スーパームーン」などと呼ばれることもあります。
※月の最接近が31日1時ごろ、満月の瞬間が31日10時30分ごろなので、30~31日に見える月を最大の満月としています。31日の宵に見える月も、広義では最大の満月と言えるかもしれません。
今年最小だった満月(2月6日)と比べると、30~31日の満月は直径が約14%、面積で約29%大きくなります(地球の中心から見た大きさで比較)。図を見るとずいぶん差があるように思えますが、実際の空で月を2つ並べて観察することはできないので、その差は実感しにくいものです。
最大の(一番近い)満月だからといって何か特別なことが起こるわけでも変わった様子が見られるわけでもありませんが、「一番」というものには普段以上の魅力を感じてしまうのも事実です。思い込みも含めて大らかに、明るい満月を楽しみましょう。ちなみに、1か月の間に2回満月が起こると、2回目の満月を俗称で「ブルームーン」と呼ぶこともあります。今回の満月は「ブルームーンのスーパームーン」ということになりますね。
「こぎつね座」「や座」は8月中旬の夜21時ごろに南の空の高いところに見える星座です。小さく暗く、マイナーな存在ですが、それだけに探しがいもあり、見つけられると嬉しい星座です。
「や座」の広さは全天88星座のうち86位と非常に小さく、「こぎつね座」も55位なのでかなり小さめです。さらに、どちらの星座も3.5等級より暗い星しかないので、街明かりがある場所ではほとんど見えません。
一方、「夏の大三角」が目印になるので、位置の見当をつけるのは簡単です。夏の大三角の内側、「わし座」の1等星アルタイルの辺りを眺めれば、星が見えなくても「そこに星座がある」と想像できるでしょう。
双眼鏡で観察すると「や座」は視野内にちょうど収まり、バランスの良い形を確かめられます。「こぎつね座」のほうは、星の並びから狐を想像するのは難しいかもしれません。星座の形をたどるというよりは「闇にまぎれて獲物を狙う狐」をイメージしてみましょう。
「こぎつね座」と「や座」との境界付近には、双眼鏡や天体望遠鏡で観察すると面白い天体がいくつかあります。その一つが「コートハンガー」と呼ばれる星の並びで、まさしくハンガーのような形に見えます。アルタイルとベガの間、ややアルタイル寄りのところに双眼鏡を向けると見つけられますので、「や座」と一緒に探してみてください。
「あれい星雲」は、鉄亜鈴のように見えることからその名が付けられた天体です。蝶やリボンなど、いろいろなものを想像させる形ですね。メシエカタログという天体カタログの27番目に収録されていることからM27という番号でも呼ばれます。その正体は、星から放出された物質が紫外線に照らされて光って見えているものです。
星図中の画像は天体写真を元にしたもので、天体望遠鏡を使っても眼視ではこのとおりには見えませんが、空の条件の良いところで観察すると白っぽく淡い広がりがわかります。撮影対象としても大人気で、インターネットに多数の画像が掲載されています。検索して美しい姿をお楽しみください。
夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。
図は8月中旬の深夜1時ごろの星空です。9月中旬の深夜23時ごろ、10月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます)。
「夏の大三角」が西の空へと移りました。今月ご紹介した「や座」は、図では左向きに見えますが、夏の大三角がある西を正面にして空を眺める(図を時計回りに90度回転させる)と矢が上向きに見えます。空高く飛んでいく様子をイメージしてみましょう。
矢が飛んでいく方向、頭の真上近くには、秋を代表する「秋の四辺形」が広がっています。視線を南へと下げていくと土星や、「みなみのうお座」の1等星フォーマルハウトが見つかります。明るい星が少ないエリアでこの2星は目立つでしょう。これらよりさらに明るい木星は、東の空で威光を放っています。
明るく目立つ星や惑星から、小さい星座や天の川まで、夜空に広がる様々な名所をお楽しみください。暑さや疲れなど、体調管理にはお気をつけて。
季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。