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2022年10月の星空

明るい星が少なめの秋の夜空で、木星の輝きがひときわ目立っています。太陽系最大の惑星の威光を、存分に感じてみてください。土星も引き続き見やすく、澄んだ空の下で2大惑星が楽しめます。両惑星の間には「みずがめ座」が広がります。

星空写真

愛知県豊橋市石巻町にて
愛知県豊橋市は次郎柿の生産全国一位です。生産地である石巻町は自宅から車で10分ほどの近くにあります。柿畑から昇るオリオン座を撮影しました。一面に柿が熟しオレンジ色の絨毯のようですが、夜間に撮影するとなかなか表現に苦労しました。

2019年10月31日 22時49分
ニコン D810A+AF-S NIKKOR 24mm f/1.4G ED(ISO4000、露出15秒×57枚を合成、f/3.2)
撮影者:石橋 直樹

10月の星空

南の空

南の空

2022年10月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(3日)、満月(10日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2022年10月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。

天文カレンダー

1日(土) 夕方~宵、月とアンタレスが並ぶ
3日(月) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
5日(水) 夕方~深夜、月と土星が並ぶ
8日(土) 夕方~翌9日未明、月と木星が接近(「今月の星さがし」で解説)
9日(日) 水星が西方最大離角(明け方の東の低空に見えます)
10日(月) 満月。次の満月は11月8日(皆既月食)です
14日(金) 深夜~翌15日明け方、月と火星が並ぶ
15日(土) 宵~深夜、月と火星が並ぶ
17日(月) 深夜~翌18日明け方、月とポルックスが大接近
18日(火) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
21日(金) 未明~明け方、月とレグルスが接近
22日(土) オリオン座流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説)
25日(火) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
28日(金) 夕方、細い月とアンタレスが接近

10月の惑星

水星

明け方の東の低空に見えます。日の出30分前(東京で5時15分ごろ)の高度は約10度で、明け方に見える水星としては今年一番の好条件です。9日に太陽から最も離れる最大離角という状態になり、この前後数日間がとくに見やすいでしょう。

好条件とはいえ10度というのはかなり低いため、建物などに遮られてしまうかもしれません。スマートフォンのアプリなどで位置を確かめ、見晴らしの良い場所で探してみましょう。肉眼でも見えますが、双眼鏡を使うと見つけやすくなります。

金星

太陽に近いため、見えません。

次は12月中旬ごろから、夕方の南西の低空に見えるようになります。

火星

「おうし座」にあります。21時ごろに昇ってきて、0時ごろに東の空、2時ごろに南東の空の高いところに見えます。明るさは約マイナス0.9等級です。

冬の星座に輝く1等星たちと共に、深夜以降の星空をにぎやかにしています。色や明るさを見比べてみましょう。「おうし座」のアルデバランや「オリオン座」のベテルギウスなど赤い星との比較が、とくに面白そうです。

14日と15日に下弦前の明るい月と並んで見えます。また、機会があれば天体望遠鏡でも観察してみましょう。見かけのサイズは小さめですが、表面の濃淡などの模様がわかるかもしれません。

木星

「うお座」にあります。日の入りのころ(東京で17時前後)に昇ってきて、21時ごろに真南の空の高いところに見え、4時ごろに沈みます。明るさは約マイナス2.9等級です。周りに明るい星が少ないので、とくに目立って見えるでしょう。

ほぼ一晩中見ることができ、とくに20時から21時ごろの見やすい時間帯に見やすい高さにあるので、観察に絶好のシーズンです。肉眼や双眼鏡では、8日から9日にかけて見られる明るい月との共演を眺めて楽しみましょう。

天体望遠鏡では縞模様や4つのガリレオ衛星が見ものです。「今月の星さがし」を参考にして、いろいろな木星の魅力を味わってみてください。

土星

「やぎ座」にあります。19時ごろに真南の空に見え、1時ごろに沈みます。明るさは約0.6等級です。

宵の時間帯に見やすい高さにあり、引き続き観察の好期です。天体望遠鏡で環を眺めてみましょう。

肉眼や双眼鏡では、5日に上弦過ぎの月と並ぶ光景や、木星との明るさ比べなどをお楽しみください。

今月の星さがし

木星がほぼ一晩中見え、シーズン真っ盛りを迎えています。縞模様、ガリレオ衛星の位置変化などを観察してみましょう。数はあまり多くありませんがオリオン座流星群にも注目です。

木星が見ごろ

夜20時から21時ごろに南東の空を見上げると、明るく輝くオレンジ色っぽい星が見つかります。太陽系の惑星の一つ、木星です。直径は地球の約11倍で太陽系最大、太陽からの距離は太陽~地球の5倍ほどで、約12年かけて太陽の周りを公転しています。

木星は先月末に、地球を挟んで太陽と反対の方向に来る「衝(しょう)」という状態を迎えました。衝のころは一晩中見ることができ、地球からの距離が一番近くなって大きく明るく見えるので、観察するのに絶好のタイミングです。

肉眼や双眼鏡では色や明るさ、月との接近現象などを見て楽しみましょう。今月は8~9日に月と木星が接近します。満月前の明るく大きな月がそばにあっても存在感を失わない木星、貫禄たっぷりですね。

10月8日21時の南の空の様子(場所の設定は東京)。大きい円は拡大イメージ(視野7度)、小さい円はさらに拡大のイメージ(正立像、月と惑星で拡大率は異なる)

天体望遠鏡を使うと、縞模様や木星の周囲を公転するガリレオ衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)が見えてきます。木星の衛星は80個見つかっていますが、そのなかでもガリレオ衛星は大きく明るいので、一般的な望遠鏡で簡単に見ることができます。とくに面白いのは、衛星の並び方が日々変化することでしょう。

4つのうち一番内側のイオは2日弱、一番外側のカリストは17日ほどで木星を一周するので、数時間から数日で並び方が変わります。観察するたびごとに、お互いの位置関係や木星からの離れ具合が変化しているのがわかるでしょう。木星の左右に2個ずつ見えたり、片側に4つ集まっていたり、ときには衛星が木星の裏に回ったり木星の影に入ったりして3つ以下しか見えないこともあります。衛星が木星のすぐそばにあるときには、木星が明るいため衛星が見づらいこともありますが、反対にガニメデやカリストが木星から離れているときには双眼鏡でも見えるかもしれません。

ガリレオ衛星の動き。真ん中の木星の周りを4つのガリレオ衛星が回っている。「イ」=イオ、「エ」=エウロパ、「ガ」=ガニメデ、「ト」=カリスト。明るさは5~6等級

また、木星の縞模様も見ものです。小型の望遠鏡でも2~3本ほど見えるでしょう。色の違いは大気の成分や移動方向の違いによるものと考えられています。木星の自転のタイミングと合えば、目玉のような「大赤斑」という模様も見えるかもしれません。

ガリレオ衛星や縞模様の観察には大きい望遠鏡は不要ですので、お手持ちのものがあればぜひ木星に向けてみてください。さらに、同じ時間帯に南西寄りの空に輝いている土星も見ごろですので、環を観察しましょう。望遠鏡をお持ちでなくても、科学館や公開天文台などの天体観察会に参加して見せてもらうこともできます。「惑星の秋」を満喫してお楽しみください。

オリオン座流星群

一年のうちのある決まった期間に、同じ方向から流れ星が飛んでくる現象を流星群と呼びます。8月中旬のペルセウス座流星群や12月中旬のふたご座流星群は1時間あたり数十個の流れ星が見えることもある、活発な流星群として有名です。

10月下旬には、オリオン座流星群が活動のピークを迎えます。1時間あたりの流星数は5~10個ほどであまり多くありませんが、「オリオン座」という星座の知名度のせいか、この流星群にも親しみや期待を持つ方もいらっしゃることでしょう。今年は22日ごろに最も活動が活発になると予想されています。新月期かつ週末と見やすい条件が揃っているので、少し気にかけて空を眺めてみると良いでしょう。

10月22日3時ごろの東京の空。流れ星は放射点(「オリオン座」の方向)を中心とした空全体に飛ぶように見える

流れ星はオリオン座の方向だけでなく、空のあちこちに飛ぶので、なるべく広い範囲を眺めましょう。広く見ることが大切ですから、双眼鏡や天体望遠鏡は不要です。深夜以降はかなり気温が下がりますので、防寒の備えもしっかりしましょう。1つだけでも明るい流れ星が見られれば印象に残って嬉しいものです。火星や明るい星々を眺めながら、ゆったりと流れ星を待ってみてはいかがでしょうか。

今月の星座

みずがめ座

1月下旬から2月中旬ごろに誕生日を迎える人の星座として名前が知られている「みずがめ座」、宵空で見やすいのは10月ごろです。10月中旬の21時ごろに、南の空に見えます。

「みずがめ座」

「みずがめ座」は一番明るい星でも3等星です。例年であれば街中で見つけるのは少し難しいのですが、今年は木星と土星という明るい目印があるおかげで、位置の見当をつけるのは簡単です。「みずがめ座」の東(左)に隣接する「うお座」に木星、西(右)に隣接する「やぎ座」に土星が輝いているので、その間が「みずがめ座」です。明るい惑星がない年には、南(下)に隣接する「みなみのうお座」の1等星フォーマルハウトや、北に広がる「ペガスス座」の2等星などが目印になるでしょう。

「みずがめ座」の星座絵には水瓶とそれを持つ人物が描かれていて、モデルはギリシャ神話で神々に仕えたガニュメデス(木星の衛星ガニメデの名前の由来でもあります)と言われています。また、瓶に入っているのは水ではなく御神酒だとされています。星座の名前からは人物の存在が消えてしまっていますが、夜空を見上げたときには神にお酌をしているガニュメデスのことも思い出しましょう。

幸運の星々

星座絵でガニュメデスの両肩のところに位置する3等星のサダルメリクとサダルスウドは、それぞれ「王の幸運」「幸運中の幸運」という言葉に由来する名前です。どちらも双眼鏡を使えば街中でも簡単に見つけられます。控えめな星座の中に光る幸せの星々を、ぜひ一目ご覧ください。

海王星、小惑星ベスタ

太陽系の8惑星の中で、太陽から(地球からも)最も遠いのが海王星です。太陽からの平均距離は約45億kmで、太陽~地球の30倍も離れています。このように遠い天体ではありますが、位置さえわかれば、双眼鏡や小型の天体望遠鏡でも見つけられます。明るさは約8等級です。

今秋の海王星は「みずがめ座」の領域内に位置しています。星図を参考にして、周りの星との位置関係から海王星を見つけ出してみましょう。日付や時刻によっては、図を傾けないと実際の見え方と一致しないことがあるので、星の配列をよく確かめるのがポイントです。

見つけられたかどうか自信がないときには、数日おいてから再び探してみてください。位置が変わっていれば、間違いなく海王星だとわかります。望遠鏡で観察すると青っぽい小さな円盤状に見えます。公開天文台や科学館で見られるチャンスがあるかもしれません。

また、小惑星の一つであるベスタも「みずがめ座」の付近で見ごろとなっています。明るさは約7等級で、やはり双眼鏡や小型の望遠鏡で見つけることができます。ベスタは火星と木星の軌道の間に広がる小惑星帯に存在し、海王星よりも小さいですが近い分だけ明るくなり、見かけの動きは速くなります。「数日おいて見る」作戦で確かめてみましょう。

「みずがめ座」、海王星、ベスタはどれも見つけるのに少し苦労する天体ですが、それだけに見えたときの喜びも大きいものです。この秋、ぜひ観察に挑戦してみてはいかがでしょうか。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は10月中旬の深夜1時ごろの星空です。11月中旬の深夜23時ごろ、12月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(惑星は少し動きます/月が見えることもあります)。

2022年10月中旬 深夜1時ごろの星空

西の空で木星がひときわ明るく目立っています。周囲に広がる「みずがめ座」や「うお座」「ペガスス座」などを構成する星々は木星と比べると控えめですが、空気が澄んでいるおかげもあって、思った以上によく見えるでしょう。1つでも多くの星を見つけてみてください。

一方、東の空には冬の星座が揃って姿を現し、「オリオン座」や「冬の大三角」を形作る明るい星々がたくさん輝いています。今年はここに火星もあるので、ますますにぎやかに感じられそうです。天頂の「アンドロメダ座」や北天の「カシオペヤ座」などにも目を向けてみましょう。

そろそろ寒さを覚える季節。暖かい服装で星空散歩をお楽しみください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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