夜明け前の東の空に金星・火星・土星が集まっています。日々並び方が変わる様子は、惑星たちが春の訪れを祝って舞っているかのようです。早起きして眺めましょう。夜空では冬の星座と春の星座、両方が楽しめます。
星空写真
群馬県 二度上峠にて
二度上峠からマジックアワーに昇った明けの明星の金星と、高崎市の夜景を組み合わせました。倉渕の里山と雪雲のシルエットが額縁効果を演出し、同時に金星の光柱現象が加わることで、こころを揺さぶられる作品に仕上がりました。
2019年4月3日 4時35分
ニコン D810A+AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II(135mm、ISO12800、露出1秒、f/2.8)
撮影者:高岡 誠一
3日(木) | 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) |
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8日(火) | 夕方~深夜、月とプレアデス星団が並ぶ |
9日(水) | 宵~深夜、月とアルデバランが並ぶ |
10日(木) | 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む) |
13日(日) | 夕方~翌14日未明、月とポルックスが接近 |
16日(水) | このころ、未明~明け方に金星と火星が接近(「今月の星さがし」で解説) 夕方~翌17日未明、月とレグルスが並ぶ |
18日(金) | 満月。次の満月は4月17日です |
20日(日) | 金星が西方最大離角(「今月の星さがし」で解説) 宵~深夜、月とスピカが並ぶ |
21日(月) | 春分 |
24日(木) | 未明~明け方、月とアンタレスが接近 |
25日(金) | 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります) |
28日(月) | 未明~明け方、細い月と火星が並ぶ |
29日(火) | このころ、未明~明け方に金星と土星が接近(「今月の星さがし」で解説) 未明~明け方、細い月と金星がやや離れて並ぶ 明け方、細い月と土星が並ぶ |
5日ごろまで、明け方の東南東の低空に見えます。
日の出30分前(東京で5時30分ごろ)の高度は5度未満と非常に低く、見つけるのはかなり困難です。観察に挑戦する場合にはスマートフォンのアプリなどで位置を確かめて、見晴らしが良いところで探してみましょう。肉眼でも見える明るさですが、双眼鏡を使うとわかりやすくなります。土星と接近しているので、一緒に探してみてください。
「明けの明星」として、未明から明け方の南東の低空に見えます。
日の出1時間前(東京で4時50分ごろ)の高度は15度前後と低いのですが、明るく目立つので、建物などに隠されていなければ簡単に見つけることができるでしょう。とても明るいので、位置がわかれば日の出の後でも見えます(太陽を見ないように注意してください)。
今月いっぱい、火星と接近して見えます。最も近づくのは16日ごろです。また、25日ごろからは土星と接近して見えます。こちらの最接近は29日ごろです。「今月の星さがし」を参考に、3惑星の離合の様子を追ってみましょう。29日には月齢26の細い月が金星と土星の下に並びます。
「いて座」から「やぎ座」へと動き、未明から明け方の南東の低空に見えます。明るさは約1.2等級です。
日の出1時間前(東京で4時50分ごろ)の高度は約10度と低めであまり目立ちませんが、近くに輝く金星を目印にすれば火星も簡単に見つけられるでしょう。火星と金星は今月いっぱい接近しています。また、月末から来月中旬ごろまで火星は土星とも接近します。「今月の星さがし」を参考にして、位置関係が変わる様子を確かめてみましょう。
低いため、天体望遠鏡での観察には向いていません。
太陽に近いため、見えません。4月以降、明け方の東の低空に見えるようになります。
「やぎ座」にあり、未明から明け方の東南東の低空に見えます。明るさは約0.8等級です。
日の出1時間前(東京で4時50分ごろ)の高度は10度未満とかなり低く、そのため目立ちませんが、下旬になると金星と接近するので、金星を目印にして土星を見つけられるでしょう。月末には火星も近づき、3惑星が集まっている光景が見られます。「今月の星さがし」を参考に、早起きして観察してみましょう。29日には月齢26の細い月も並びます。
低いため、天体望遠鏡での観察には向いていません。
夜明け前の東天で金星と火星が並んでいます。下旬からは土星も加わり、3惑星の共演が見られます。
夜明けが早くなったことから春の訪れが感じられる時期です。日の出の1時間ほど前(東京で5時ごろ、大阪で5時30分ごろ)に南東の空を眺めると、明けの明星の金星が眩しく輝く光景が目を引きます。少し低めですが、一目でそれとわかる明るさです。
金星の右~右下のあたりにも、やや目立つ赤っぽい星が見えるはずです。これは火星です。2つの惑星の間隔は16日ごろに最も小さくなります。並び方(角度)や間隔が変化していく様子を追ってみましょう。なるべく長期間にわたって観察するほうが、変化がわかりやすくなります。両惑星の色と明るさにも注目してみてください。
月の半ばごろからは、東南東の低空に土星も見えるようになります。土星の明るさは火星と同程度で、これも金星ほど目立つわけではありませんが、肉眼でもよく見えます(色は白~黄白色です)。土星は日が経つにつれて高度が上がり、金星・火星に近づいていきます。29日ごろ金星と土星が最接近し、この前後の数日間は3つの惑星が集合しているように見えるでしょう。双眼鏡で3つの惑星を一度に見ることもできそうです。火星と土星は4月5日ごろに最接近します。
夜明けの空では今後、4~5月に金星と木星が大接近、5~6月に火星と木星が大接近など、目立つ惑星同士の共演が続きます。6月いっぱいくらいまで明け方の空で見られる「惑星のダンス」を、早起きしてぜひお楽しみください。
6月下旬から7月中旬ごろに誕生日を迎える人の星座として名前が知られている「かに座」、見やすいのは初春の時期です。3月中旬の20時から21時ごろ、南の空の高いところに見えます。
「かに座」は一番明るい星でも3.5等級しかないので、街明かりや月明かりの影響があると見つけるのが難しい星座です。「ふたご座」のポルックス、「しし座」のレグルス、「こいぬ座」のプロキオンという3つの1等星でできる三角形の中あたり、と位置の見当をつけて探してみましょう。
暗い星座ですが形は比較的わかりやすく、かにの甲羅にあたる小さな四角形が目印になります。そこから伸びる手足の星も見つけてみましょう。
甲羅の4つの星の部分には、たくさんの星々が集まっています。「かいば桶(馬の餌桶)」という意味の語に由来する「プレセペ」という名前が付けられた散開星団(星の集まり)で、プレセペの南北にある星(2匹のロバ)が“かいば”を食べている姿に見立てたものとされています。英語では「ビーハイブ(蜂の巣)星団」とも呼ばれます。メシエカタログという天体リストの44番目の天体なので「メシエ44/エム44」という番号でも知られています。
空の条件が良ければ肉眼でも存在がわかるほど明るい星団で、双眼鏡を使うと多少の街明かりがあっても見つけられます。ポルックスとレグルスの間あたりを眺めてみましょう。天体望遠鏡で見る場合には、低倍率にして広い視野で観察するとよいでしょう。
また、プレセペ星団の南のほうにはM67という別の散開星団があります。プレセペ星団ほどではないものの、こちらも比較的見やすく、空の条件が良いところでは双眼鏡で簡単に見つけられます。双眼鏡や望遠鏡で2つの星団を見比べてみましょう。
かにの北のはさみの先にあるι(イオタ)星は黄色っぽい4等星と白い6等星が並んだ二重星で、小型の望遠鏡でも見やすい名天体の一つです。機会があればぜひ観察してみてください。
夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。
図は3月中旬の深夜1時ごろの星空です。4月中旬の深夜23時ごろ、5月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります(月が見えることもあります)。
南の空に「春の大三角」が大きく広がっています。三角形を作る星の一つ、2等星のデネボラは「しし座」の尾の位置にあり、そこから西に目を移して1等星レグルスなどをつなぐと、天を駆けるライオンの姿が見えてきます。今月ご紹介した「かに座」は、さらにその西にあります。
目を北天に向けると、高いところに「北斗七星」が見えています。ひしゃくの柄のカーブを南へと延ばすと、「うしかい座」のアルクトゥールス、「おとめ座」のスピカという2つの1等星を通る大きなアーチ「春の大曲線」が描けます。また、北東の空の低いところには「こと座」のベガと「はくちょう座」のデネブ、南東の空の低いところには「さそり座」のアンタレスと、夏を代表する1等星も見え始めています。
明け方の空に金星・火星・土星が昇ってくるのは、この3~4時間後です。ずっと起きて待っているのは大変なので、深夜の星巡りはほどほどにして一休みし、夜明けのメインイベントに備えましょう。
季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。