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2021年1月の星空

明るくカラフルな星々が夜空を彩り、にぎやかです。南西に輝く火星も含め、宵空全体が華やかに感じられます。すてきな一年になることを願いながら、2021年の星空巡りを始めましょう。

星空写真

本栖湖にて
オリオン座の足元の星リゲル近くから流れる川の星座であるエリダヌスです。残念ながら流れの最後にあるアケルナルは見られませんが、星をたどると、くねくねと蛇行しながら流れているのがわかります。エリダヌスに流れ星も飛んでくれました。

2020年11月13日 22時38分
ニコン Z 6+FTZ+AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED(17mm、ISO 6400、露出13秒、f/2.8)
撮影者:鈴木 祐二郎

1月の星空

南の空

南の空

2021年1月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た南の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、上弦(21日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

北の空

北の空

2021年1月1日ごろの22時、15日ごろの21時、30日ごろの20時に、東京で見た北の星空の様子です。大阪ではこの時刻より約20分後に、福岡では約40分後に同様の星空になります。
月は、満月(29日)の位置を入れてあります(時刻は21時)。

天文カレンダー

1日(金) 未明、月とポルックスが並ぶ
2日(土) 深夜~翌3日明け方、月とレグルスが接近
3日(日) しぶんぎ座流星群の活動がピーク(「今月の星さがし」で解説)
6日(水) 下弦(夜半に東の空から昇り、明け方に南の空に見える。下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
7日(木) 未明~明け方、月とスピカが並ぶ
10日(日) 未明~明け方、細い月とアンタレスが並ぶ
12日(火) 明け方、細い月と金星が接近
13日(水) 新月(下弦~新月は夜空が暗く、星が見やすくなります)
20日(水) このころ、夕方~深夜に火星と天王星が大接近(「今月の星さがし」で解説)
21日(木) 上弦(日没ごろに南の空に見え、夜半ごろ西の空に沈む)
夕方~翌22日未明、月と火星が接近
23日(土) 夕方~翌24日未明、月とプレアデス星団が並ぶ
24日(日) このころ、夕方に水星がやや見やすい(「今月の星さがし」で解説)
夕方~翌25日未明、月とアルデバランが並ぶ
27日(水) 夕方~翌28日明け方、月とポルックスが接近
29日(金) 満月。次の満月は2月27日です
30日(土) 宵~翌31日未明、月とレグルスが接近

1月の惑星

水星

夕方の西南西の低空に見えます。

24日に太陽から見かけ上最も大きく離れるので、この前後のころに見やすくなります。見やすいとはいえ、日の入り30分後(東京で夕方17時30分ごろ)の高度は10度未満なので、かなり低空です。低いところまでよく見える空が開けた場所で、スマートフォンのアプリなどで位置の見当をつけて探してみましょう。肉眼でも見えますが、双眼鏡を使うとよりわかりやすいでしょう。

12日ごろまで木星、土星と接近して見え、双眼鏡で3惑星を一度に眺めることができます。

金星

「明けの明星」として明け方の南東の低空に見えます。日の出30分前(東京で明け方6時20分ごろ)の高度は5度前後と非常に低く、建物などに隠されてしまうかもしれませんが、金星はとても明るいので、隠れていなければ低くても見つけられるはずです。スマートフォンのアプリなどで位置の見当をつけて探してみましょう。

12日に、新月前の非常に細い月と接近します。月のほうが金星よりも低くので見つけにくいのですが、意欲のある方は早起きして眺めてみましょう。

火星

「おひつじ座」にあります。日の入り1時間後(東京で夕方18時ごろ)に真南の空の高いところに見え、未明1時ごろに沈みます。明るさは約0等級です。

昨年10月の地球最接近から3か月過ぎ、当時よりは暗くなったものの、特徴的な赤っぽい色と共に、まだよく目立っています。明るい星が多い冬の夜空の中にあっても、引けを取らない輝きぶりです。遠ざかったことで小さくなったため天体望遠鏡で詳しく観察するのは難しいのですが、肉眼ではこれから先も当分の間は楽しめます。

21日から22日にかけて、上弦の半月と接近して見えます。色の対比も楽しみましょう。また、今月は火星と天王星が並んでいるので、火星を目印として天王星探しにもチャレンジしてみてください。

木星

12日ごろまで、夕方の西南西の低空に見えます。明るさは約マイナス2等級です。

先月下旬に土星と超大接近を見せましたが、今月も土星との間隔は小さいままです。また、今月は水星も近くにあり、3惑星が双眼鏡の視野内に収まります。ただし、非常に低いので、空が開けたところで探してみましょう。スマートフォンのアプリなどを使うと位置の見当がつけやすくなります。

低空にあるため、天体望遠鏡での拡大観察には向いていません。

土星

10日ごろまで、夕方の西南西の低空に見えます。明るさは約0.5等級です。

先月下旬に木星と超大接近を見せましたが、今月も木星との間隔は小さいままです。また、今月は水星も近くにあり、3惑星が双眼鏡の視野内に収まります。ただし、非常に低いので、空が開けたところで探してみましょう。スマートフォンのアプリなどを使うと位置の見当がつけやすくなります。

低空にあるため、天体望遠鏡での拡大観察には向いていません。

今月の星さがし

宵空高く輝く火星が天王星と接近します。火星を目印にして天王星を見つけるチャンス、双眼鏡で探してみましょう。夕空では水星がやや見やすくなります。

3日深夜、しぶんぎ座流星群

流星(流れ星)は、地球の周りにある小さな粒が地球の大気に突入し、発光して見える現象です。地球が公転して粒の多い場所に差し掛かると、普段よりたくさんの流星が飛びます。そのような場所はだいたい決まっているので、毎年同じ時期に流れ星が多く見えることになります。これが「流星群」の仕組みです。

流星群は100個以上が知られていますが、そのうちとくに活動が活発で「見やすい」流星群の一つが毎年1月初めに見られる「しぶんぎ座流星群」です。8月の「ペルセウス座流星群」、12月の「ふたご座流星群」と並んで年間三大流星群とされています。「しぶんぎ座」という星座は現存しておらず、この流星群にだけ名前を残しています。現在の星座では「うしかい座」「りゅう座」付近に当たります。

1月4日0時ごろの東京の空。流れ星は「りゅう座」「北斗七星」のあたり(放射点)を中心とした空全体に飛ぶように見える

しぶんぎ座流星群は活動期間が短く、ピークの前後数時間に出現が集中します。2021年は3日深夜23時ごろがピークと予想されているので、3日の深夜から4日の未明にかけて流れ星の数が増えるでしょう。ただし、下弦前の明るい月明かりが夜空を照らして流れ星の光をかき消してしまうので、実際に見える数はあまり多くなさそうです。

放射点(流れ星が飛ぶ中心となる点)は北東にありますが、流れ星は空全体に飛びます。狭い範囲を見つめるのではなく、空を広く見渡すようにすると、流れ星が見られる確率が高くなります。月や街明かりから離れた方向を中心に空を見上げてみましょう。

流れ星をじっと待っていると非常に冷え、注意力が低下したり体調を崩したりしやすくなります。手袋にマフラー、重ね着、靴下の重ね履き、携帯カイロなど、防寒準備を万全に整えて、無理をせずに楽しみましょう。流れ星を見つけて、良い一年のスタートを切れますように。

夕空の水星探し

太陽系の8惑星のうち最も内側を公転する水星は、目にする機会が少ない惑星です。肉眼でもじゅうぶん見えるほど明るいのですが、常に太陽の近くにあるため、日の入り直後か日の出直前に地平線の近くにしか見えず、観察が難しいのです。

水星を見るには、見かけ上太陽から最も離れる「最大離角」というタイミングを狙うのがポイントです。今月24日にそのタイミングがやってくるので、中旬から下旬にかけては水星を見つける好機です。ぜひ探してみましょう。ちなみに今回は太陽の東に離れるので「東方」最大離角と呼びますが、見えるのは「西」の空です。

1月8日から28日まで4日ごとの、日の入り30分後の西南西の空の様子(場所の設定は東京)。囲み内は拡大イメージ(視野6度)

最大離角で見やすいとはいえ、日の入りから30分後でまだ空が明るい時間帯に、水星の高さは地平線から10度ほどしかありません。10度というのは腕を伸ばして握りこぶし1個分くらいの幅ですので、相当低いことがわかるでしょう。建物などに隠されないように見晴らしの良い場所で探すことが重要です。

また、肉眼で見えるといっても、空の明るさに埋もれてしまいがちなので、双眼鏡を使って探すと良いでしょう。スマートフォンのアプリなどで方位と高度をよく確かめて、その方向に双眼鏡を向けると、水星が見つかるはずです。空が暗くなるにつれて、5分前までわからなかった水星が急に見つかることもあるので、根気よく探してみてください。

上旬に間は水星はまだ低いのですが、近くに木星と土星も見えるかもしれません。3つの中で一番明るい木星が最初に見つかるでしょう。反対に土星は低く暗いので見えない可能性もあります。やや難易度が高い現象ですが、双眼鏡の同一視野内に3つ惑星が見えるのは珍しい機会なので、ぜひ観察に挑戦してみてはいかがでしょうか。

火星と天王星が大接近

月や惑星は星々の間を動いていき、その速さがそれぞれ異なるので、様々な接近現象が見られます。先月は木星と土星の超大接近が大きな話題になりました。

接近現象の見どころの一つは、明るい天体が並ぶ美しさや面白さを眺めたり並び方の変化を追ったりすることですが、別の見どころとして、明るい天体を目印にして暗い天体を見つけるというものがあります。今月起こる火星と天王星の大接近はこのタイプで、普段なかなか見つけられない天王星を探すチャンスです。

1月12日から30日まで3日ごとの、21時の西の空の様子(場所の設定は東京)。囲み内は拡大イメージ(視野6度)。空の色(明るさ)が変わるのは月明かりの影響のため

天王星は空の条件が良ければ肉眼でも見え、少し街明かりがあるようなところでも双眼鏡を使うと比較的簡単に見ることができます。今月の場合は火星に双眼鏡を向ければ、その近くに必ず天王星も見えています。ほかの星の並び方も参考にして、どれが天王星か見極めてみましょう。一番近付くのは20日、21日ごろですが、このころは月明かりの影響が大きいので、15日ごろまでが見つけやすそうです。天体望遠鏡をお持ちであれば、赤っぽい火星の色と青緑がかった天王星の色とを見比べてみるのも面白いでしょう。

今月の星座

エリダヌス座

1月中旬の夜21時ごろ、南の空に「オリオン座」が見えます。その「オリオン座」の足元に輝く青白い1等星リゲルのあたりから、蛇行しながら地平線に向かって伸びているのが、川をモチーフにした星座の「エリダヌス座」です。明るい星が少ないため、街中で川の流れをたどるのは難しいのですが、双眼鏡で眺めながら一つずつ星をつないでみましょう。

「エリダヌス座」(銀河の画像クレジット:ESO DSS2 (AURA))

エリダヌス川は南の地平線へと流れていき、その終点には「川の果て」という意味の語に由来する1等星のアケルナルが輝いています。日本では九州南部よりも南でなければ見られない珍しい星なので、旅行などで南の地域へ行く機会があれば、ぜひアケルナルを見つけてみてください。シンガポール、オーストラリアと、南に行くほど見やすくなります。

二重星アカマル

川の流れの中ほどを過ぎたあたりにある星には、アカマルという面白い名前があります。かつてはこのアカマルが「エリダヌス座」の果てとされていましたが、中世に星座の領域が拡張され、アケルナルが端になったという歴史があります。

アカマルを天体望遠鏡で観察すると、美しい二重星であることがわかります。本州付近ではあまり高くなりませんが、機会があれば目を向けてみましょう。

銀河NGC 1300

アカマルよりも上流側に、NGC 1300というカタログ番号の銀河があります。中心を横切る棒構造と、その両端から1本ずつ伸びる長い腕が印象的な銀河です。川の流れの途中にある渦巻きのようにも見えますね。

望遠鏡を使っても見るのはなかなか難しいので、インターネットの画像検索などでお楽しみください。

真夜中の星空

夜遅く帰ってくる人のため、ちょっと夜更かしの人のため、真夜中の星空をご案内しましょう。

図は1月中旬の深夜1時ごろの星空です。2月中旬の深夜23時ごろ、3月中旬の夜21時ごろにも、この星空と同じ星の配置になります。

2021年1月中旬 深夜1時ごろの星空

「エリダヌス座」はほとんど西の地平線に沈んでしまいました。かつての川の果てであるアカマルも見えず、源流だけしかわかりません。川らしさは感じられないですね。

南西の空に「冬の大三角」が、東の空には「春の大三角」が広がっています。明るさでは冬のほうが目立ち、大きさでは春のほうが目立ちます。カラフルさは互角でしょうか。見比べて確かめてみましょう。2つの三角形の間には「かに座」「しし座」なども見えます。北東の空に高く昇った「北斗七星」も見つけてみましょう。

寒いときにはゆったり落ち着いて星空を眺めるのは難しいものですが、短い時間でも眺めてみると楽しいものです。防寒を万全にして、色とりどりの星々や様々な天文現象をお楽しみください。

星空観察のワンポイントアドバイス

季節の星座や天体の動きを観察する星空観察。実は、ちょっとした知識や下準備で、得られる楽しさが大きく変わります。ここでは、流星の見つけ方や星座の探し方、場所選びや便利なグッズなど、星空観察をよりいっそう楽しむためのポイントをご紹介します。

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