今回真一郎が撮影に訪れたのは動物園です。身近でありながらさまざまな動物に出会えるとあって、家族連れはもちろん、多くのカメラファンも訪れる場所です。「動物は撮影したことがないし、もし鳥が上手に撮れたら年賀状に使うのもいいな」と、期待を胸にふくらませやってきた様子。早速、動物たちの愛らしい姿、躍動する様子を捉えようとレンズを向けたものの、ブレてしまったり檻が邪魔をしたり、なかなか難しい! というわけで今回は、動物園で動物を撮るためのコツ、撮影アイデアをご紹介します。さて、真一郎は満足のゆく写真が撮れたのでしょうか?
撮影監修:斎藤 勝則
動き回る動物たちを捉えるために、あらかじめカメラの設定を行っておきましょう。
まずピントの設定ですが、AFモードはシャッターボタンを半押しし続けている間ピントを追い続けてくれる[AF-C/コンティニュアスAFサーボ]に設定します。AFエリアモードは複数のフォーカスポイントを使ってピント合わせをカバーする[ダイナミックAF]にしましょう。
また動いている動物の決定的な瞬間を逃さないよう、レリーズモードを[CH/ 高速連続撮影]に設定し、高速で連写できるようにしておきます。なお、動物園でのフラッシュ撮影は動物の目を守るため避けた方がよいでしょう。その他、動物園側の注意事項を守ること、また他の見学者の邪魔にならないよう注意を払うなどマナーを守って撮影を楽しんでください。
今回持ってきた機材は、D7200 18-300 VR スーパーズームキットです。動物園での撮影では望遠レンズが必須になりますが、DX 18-300mm f/3.5-6.3なら超望遠はもちろん広角もカバーできるため、これ1本で多彩な表現が楽しめます。また持ち運ぶ機材をシンプルにできるため、あちこち動き回る動物園での撮影におすすめの1本です。
動物園では檻や金網に囲まれて展示されている動物たちも多くいます。写真を撮る際には邪魔になってしまう檻ですが、望遠レンズのボケの効果を利用すれば檻を消して撮影することができます。まずレンズをなるべく望遠側にし、絞りを開放にして(F値を小さくして)より大きくボケるようにしておきます。次に、できるだけレンズを檻に近づけるようにしながら、檻中にいる動物にピントを合わせて撮れば、手前にある檻が大きくボケて消えたように写すことができるのです。
ただし、この効果を得るためには撮影者と檻と被写体となる動物の位置関係が重要になります。撮影者と檻の距離が近いこと、また檻と動物の距離がある程度離れた位置にあることが大切です。また太く頑丈な檻や細かく網目が入っている金網など、囲っている檻の種類によっては消すことができないものもあります。さらに檻や金網に太陽光などが当たって光ってしまっている場合、檻はボケて消えたとしても全体に白くぼんやりとした写真になってしまいます。なるべく日陰になっている場所を探して撮るとよいでしょう。
なお、撮影者と檻の距離が近い方が檻は消えやすくなりますが、動物園が指定している位置より前に出たり、設置している柵などを越えたりすることは厳禁です。条件が揃わない場所では無理せず、撮影可能な場所で撮影を楽しんでください。
ガラス越しに動物を撮影する場合には、ガラスの写り込みに注意しましょう。完全に消すというのはなかなか難しいかもしれませんが、より写り込みの少ない場所を探して撮るだけで印象は大きく変わります。移動できる場所であれば撮影位置を変えてみたり、その場でもレンズを向ける角度を上下左右と変えてみたり、またなるべくレンズをガラスに近づけて撮るのも有効です。白など明るい色の洋服はガラスに反射する場合も多いので、動物園撮影の際には黒っぽい服を着ていくというのもポイントです。
ただし、窓ガラスに太陽光など光が直接当たってしまう場所では窓ガラス全体が白く光ってしまいますので撮影は難しくなります。なるべく日陰になっている場所を探して撮影しましょう。
限られたスペースで飼育されている動物を、限られた位置から狙って撮影をする動物園。動く動物をしっかり捉えるということだけでなく、背景の入れ方や動物をどう切り取るかもポイントになります。檻や寝小屋、周囲のコンクリートなどの人工物を写さないような工夫をしたり、ときには大胆なフレーミングで被写体を大きく写し込んでみたりするのも良いでしょう。ここでは撮影時に気をつけたいポイントや撮影アイデアをご紹介します。
ホワイトバランスは、基本的に[オート]で撮影しておくとよいですが、撮影状況や光源によっては動物の毛並みや周囲の緑などが青みがかって写ってしまう場合があります。その際は、色味を確認しながらホワイトバランスを[晴天]などに変えて撮影してみてください。光源が同じでも動物が日陰にいるか日向にいるか、また撮影する動物によっても変わることがありますので、撮影中はこまめにチェックするとよいでしょう。