忙しい毎日を過ごす瞬の息抜きは、週末を利用して出かける小旅行。出発の日、やってきたのは羽田空港です。旅のお供に欠かせないカメラですが、「そういえば、飛行機ってちゃんと撮影したことなかったなぁ」と気づいた瞬。搭乗手続きまではまだ少し時間がある様子。せっかく持ってきたカメラ、旅の気持ちが盛り上がる飛行機や空港の風景を撮らない手はありません。というわけで今回は、飛行機撮影初心者の瞬に、撮り方のいろはを伝授します。そうそう、撮影に夢中になって、飛行機に乗り遅れないよう要注意ですよ!
撮影監修:斎藤 勝則
止まっている飛行機はもちろん、場所によっては離着陸を撮影することができる展望デッキ。多くの飛行機ファンも訪れる撮影スポットですが、展望デッキには安全のためのワイヤー状のフェンスが張られており、ただそのまま撮影するだけではフェンスが写り込んでしまう可能性があります。こんなときは望遠レンズのボケの効果を利用した撮影がおすすめです。
レンズは焦点距離が長くなれば(望遠になれば)なるほど、被写界深度(ピントが合って見える範囲)が浅くなっていきます。つまり、望遠になればなるほど大きくボケるようになります。撮りたい飛行機を見つけたらレンズを望遠側にし、さらにフェンスにギリギリまで寄ってフレーミングします。遠くの飛行機にピントが合うことで手前にあるフェンスが大きくボケ、消えたように写すことができるのです。
なお、ワイヤーの写り込みを避けたいからといってワイヤーを強く広げたりワイヤーの隙間にカメラレンズを入れて撮ったりするのはマナー違反です。手すりにのぼるのも危険ですのでやめましょう。
今回持ってきたのは「D5500」と「AF-S DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR II」、「AF-S DX NIKKOR 55-300mm f/4.5-5.6G ED VR」のダブルズームキット。展望デッキからの飛行機撮影では望遠ズームレンズがおすすめです。その他、空港内の雰囲気を捉える撮影やスナップ撮影などに標準ズームレンズもあると便利です。
広角から超望遠の画角をこれ1本でカバーする18-300mmの高倍率ズームレンズ。1本で様々なシーンに対応できるので、飛行機撮影だけでなく旅に出るときのレンズとしてもおすすめです。
展望デッキで狙いたいのは、離着陸する飛行機の撮影。初心者の方が最初にトライしやすいのは遠くからこちらに向かって着陸してくる飛行機ではなく、滑走路を徐々にスピードを上げて飛んでゆく離陸の飛行機です。ピントの合わせ方、カメラの構え方、シャッターを押すタイミングの計り方など、動くものを撮影するよい練習にもなりますのでぜひチャレンジしてみてください。
動く飛行機を撮影する際は、早い動きを逃さない連写での撮影がおすすめ。カメラの全面左下側にあるボタンから、[高速連続撮影]を選んで設定しておきましょう。シャッターボタンを深く押し込んでいる間、連写することができます。
飛行機が滑走路にやってきたらカメラを構えシャッターボタンを半押しし、ピントを飛行機に合わせます。飛行機が動き出したらそれを追うようにカメラを横に振って適当な箇所で連写撮影します。飛行機の動き出しから飛び上がってゆくまでずっとシャッターを切り続けなければと思う方もいるかもしれませんが、やみくもに撮ればよい画が撮れるわけではなく、飛び上がる瞬間の前後、飛び立ってから水平線が背景にある間など、狙いたい画をイメージしタイミングを計りながら連写するとよいでしょう。
もうひとつ撮影時に注意したいのが、カメラの構え方と振り方です。徐々に加速していく飛行機を追いかけながらの撮影になりますので、最初に構えるときにしっかりと脇をしめカメラを安定させておきましょう。また、慣れないうちは飛行機を追いかけることに夢中になって、水平線に沿って平行にカメラが振れず斜めになってしまうケースが多々あります。離陸時、特に真横から飛行機を狙う撮影では、水平線が斜めになると目立ちますので注意が必要です。
旅に出るときのワクワクした気持ち、旅先から帰ってきたときの寂しくもホッとした気持ち、思いを持って行き交うたくさんの人たち……空港にはいろいろなシーンがあります。せっかく訪れた空港ですから、離着陸する飛行機だけでなく、空港のさまざまな風景を探して撮影してみましょう。どこかドラマを感じるような作品が生まれるかもしれません。
ミニチュア(模型)を接写したような効果をつけて撮影することができる[ミニチュア効果]。高い場所から見下ろして撮影できる空港では、このモードがとても効果的、かつユニークな作品を撮ることができます。飛行機はもちろん、空港ロビー内などでも見下ろして撮れる場所を探してチャレンジしてみてください。なお上手に効果を出して撮るには、空を入れないこと、奥行きを出しすぎないことがポイントです。