ある日の午後、料理好きのひかりは新しい料理のレパートリーを増やそうとインターネットでレシピを検索中。と、いつの間にかブログやSNSに掲載されているおいしそうな料理の写真に夢中になってしまいました。「このブログの写真はどれもおいしそう♪ あ、この撮り方素敵!……私の作った料理もこんな風に撮ってみたいなぁ。でも、料理の写真って専門的な感じがして難しそう。私にも撮れるのかな?」。というわけで今回は、自分で作った料理をリビングでも簡単に「おいしい写真」にするコツをご紹介します。ひかりと同じような悩みを抱えている皆さん、必見です!
撮影監修:斎藤 勝則
「おいしい写真」を撮るためのひとつめのポイントは「色」です。色鮮やかな野菜の色やこんがりとした焼き色など、料理の色を見たままに撮ることが「おいしい写真」の鉄則です。
デジタルカメラでの撮影では、光源(太陽光、蛍光灯、白熱球など)によって赤みを帯びたり青みを帯びたりと実際の見た目の色とは異なった色に写ってしまうことがありますが、それを補正し、正確な色を再現してくれるのがホワイトバランスです。リビングは蛍光灯や白熱球を使った照明、窓から入る陽射しなどのいくつかの光源が混在している場所ですので、ホワイトバランスの「オート」や「電球」などの設定ではうまく色が再現できない場合があります。そこでおすすめしたいのが「プリセットマニュアル」です。
「プリセットマニュアル」は、どのような光の状態であってもその場での正確な色を再現してくれるホワイトバランス設定です。専門的な機能のようで難しく感じるかもしれませんが、コピー用紙を用意するだけで簡単に設定できますのでぜひチャレンジしてみてください。
手順1
液晶画面の左側にある[MENU]ボタンを押し、撮影メニューの[ホワイトバランス]→[PREプリセットマニュアル]を選んでマルチセレクターの▶を押します。
手順2
[取得データ] と[撮影データ]のうち、[取得データ]を選んで▶を押します。新たにデータを取得するかを尋ねてきたら、[はい]を選んでOKを押します。撮影方法の注意書きが表示された後、インフォ画面が表示されます(インフォ画面上の[PRE]が点滅します)。
手順3
あらかじめ用意しておいたコピー用紙を料理を撮影する場所に置き、画面いっぱいに紙を入れて撮影します(ピントが合わなくてもシャッターを押すことができます)。
手順4
インフォ画面に[取得に成功しました]と表示されればOK。そのまま取得したプリセットマニュアルで撮影することができます。取得に失敗した場合は、手順3からやり直してください。
昼間であれば窓から入る自然光で撮るとよりおいしそうに撮れるのでおすすめ。室内の照明は消し、窓からの日差しが強い場合は白い無地のレースのカーテンをひいて撮影するとやわらかな光になって○
「おいしい写真」を撮るためのもうひとつのポイントは「光」です。料理写真を撮るときに "シズル感"という言葉を使うことがありますが、これは食欲や五感を刺激するような感じを写真で表現するという意味。例えばステーキを撮るときジュージューと音がするようなアツアツ感、ジュワっと溢れる肉汁、コクのあるソースがトロリと落ちる様子など、料理の質感や表情を写真で表現するのです。
そこまで表現するとなると専門的な知識も必要になりますが、ちょっとした工夫でも十分"シズル感"を出すことができます。それが「光」の向きです。光源が料理の後ろからあたる状態、いわゆる逆光の状態で撮影してみましょう。逆光は料理に適度な光を当て、立体感と質感を生み出してくれるのです。ただし、逆光は手前が陰になってしまいがちですので、料理の手前に「レフ板」を置くとよいでしょう。前方からも「光」を当てて、料理全体を明るくきれいに写すことができます。
「レフ板」はふたつに折った白い紙を使うのがおすすめ。料理の暗い部分が明るくなる位置を探し、立てて置いてみよう
料理写真は斜め上からのアングルがおいしく見える角度だといわれています。食べようとする人の目線と同じになり臨場感が生まれ、料理の立体感も出やすい角度です。ですが、料理の撮り方に決まりはありません。料理によっていろいろな撮り方を試して、皆さんなりの「おいしい写真」を探してみてください。ここでは構図や絞りなど、「おいしい写真」を撮るためのちょっとした工夫やコツをご紹介します。
室内の撮影では外の撮影に比べ光が弱いため、シャッタースピードが遅くなりがちです。手ブレをするようならば、ISO感度を上げてシャッタースピードを確保しよう
「おいしさだけでなく、テーブルコーディネートや盛り付けも全部見せたい」「いつもとは違う雰囲気の料理写真が撮りたい」という方におすすめなのが真上からのアングルです。"シズル感"を出す撮り方とは違い、真上からのアングルは立体感が抑えられるため、デザイン的な可愛さやおしゃれな雰囲気を出すことができるのです。