さわやかな青空が広がったある日の朝、真一郎はD7100を持って鎌倉にやってきました。古都・鎌倉には歴史的なお寺が数多くあります。春から夏に向かうこの時期、散策をするには気持ちの良い季節です。というわけで早速、真一郎もお寺を巡りながら撮影を楽しんでいる様子。すると次第に、晴れていたはずの空にどんよりとした雲が広がり、通り雨がやってきて……。様々な被写体に出会えた今回のお寺を巡る撮影旅、真一郎は無事、写真に収めることができたのでしょうか?
撮影監修:斎藤 勝則
お寺での撮影でまず気をつけたいのが、撮影マナーです。参拝客の邪魔にならないよう十分な配慮が必要です。また、三脚やスピードライトの使用を禁止していたり、本堂内など撮影禁止の場所があったり、お寺の多くは撮影ルールが決められています。ルールをきちんと守りながら撮影を楽しんでください。
お寺に来てまず撮るものといえば、やはり山門や本堂などの建築物です。たとえば本堂の全体像を捉えようと思ったとき、標準~望遠レンズで全体が入らなければ広角レンズで撮影を行います。広角レンズを使って撮影すると、レンズの特性により被写体がゆがんで写ります。
このゆがみが作品に独特の表現を生み出すのですが、建築物を撮る場合、垂直、水平がゆがんでいると気になってしまう場合があります。撮影後、垂直のゆがみが気になった場合は、「アオリ効果」機能を使えば垂直に補正することが可能です。また建築物の撮影では、水平が取れているか確認しながら撮影することが基本となりますが、もし撮影後に写真が傾いてしまっているのに気づいても、「傾き補正」機能を使えば水平に補正することが可能です。自分のイメージに合わせていろいろと撮影、補正してみましょう。
MENUボタン→画像編集メニュー→「アオリ効果」で編集したい画像を選択。マルチセレクターの上下左右ボタンで補正
MENUボタン→画像編集メニュー→「傾き補正」で編集したい画像を選択。マルチセレクターの左右ボタンで補正
[Fnボタン機能]を[ファインダー内水準器]に設定した上でFnボタンを押すと、ファインダーの下部に水準器インジケーターを表示させることができます。カメラが傾いているほどインジケーターの表示が左右に伸び、正位置になると中心部のみの表示となります。ファインダー撮影をしながら水平が取れるので、三脚が使えない場所でも便利です。
「撮影の前に、まずはお参りしよう」。神仏を祀る神聖な場所であるという気持ちも忘れずに
撮影開始時は、抜けるような青空が広がっていました。このような晴天や西日の射す夕方など、直射日光が強く当たる天候下では被写体に明暗差が生じやすくなります。そんなときには、「アクティブD-ライティング」を設定しておくと良いでしょう。「アクティブD-ライティング」とは、ハイライト部分の白とびや暗部の黒つぶれを軽減してくれる機能のこと。お寺の屋根をあおって撮るときや暗い本堂の中から外を撮るときなどにはとても効果的です。
さて、撮影を続けていると、いつの間にか空にはどんよりとした雲が。日差しが弱まると先ほどに比べ写真全体のコントラストが落ちるため、「アクティブD-ライティング」はオフに。そして「ピクチャーコントロール」の設定を「風景」や「ビビッド」に変更してみましょう。全体のトーンが上がりメリハリが出るのでおすすめです。
天候や日差しの状態に応じてカメラの設定をこまめに変更する。このひと手間を行うことで表現の幅が格段に増え、撮影をする楽しさもより増していきます。
三脚が使用できない場所では手ブレ度も増すため要注意。撮影した写真は拡大して必ずブレチェックを!
手ブレを起こしてしまうようならば、ISO感度を400~800程度まで上げよう。背面にあるボタンを押しながら、コマンドダイヤルを回して変更する
お寺の境内には様々な被写体が溢れています。趣ある山門や本堂だけでなく、境内に咲く色鮮やかな花々や青さを増した美しい新緑、お寺それぞれで趣向を凝らした庭園の風景など、いろいろなものに目を向けてみましょう。ここでは、撮影のヒントと構図のアイデアをご紹介します。
今回使用したレンズ「AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-6.3G ED VR」は、広角から超望遠までをカバーする超高倍率ズームレンズです。歩きながらの撮影では、多くの機材を持っていくのは得策ではありません。その点18-300mmは、これ1本でお寺にある様々な被写体をカバーすることができる優れものです。そしてもう1本プラスするならば、おすすめはマイクロレンズ。「AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G」は、境内に咲く花や雨の滴などのクローズアップ撮影だけでなく、標準に近い画角で単焦点レンズならではの大きく美しいボケを活かした写真を撮ることも可能。表現の幅がぐんと広がる1本です。