旅行が趣味の父・真一郎。今日は日帰り撮影一人旅と称し江の島にやってきました。お目当ては夕日の沈む海を撮ること。冬の澄んだ空気、人の少ない海岸、寒い季節こそ夕景の海を撮影するには最適と聞き出かけてきたようです。「せっかくここまで来たのだから、真っ赤に染まる美しい海をバッチリ収めたいね」と意気込む真一郎。美しい夕景を撮るためにワンランクアップした撮影にチャレンジしてみよう!
撮影監修:斎藤 勝則
海に限らず、風景撮影では広角から望遠まであらゆる構図に対応できるレンズがあると便利です。広角側では雄大さや奥行きなどを、望遠側ではダイナミックさ、迫力などを1本のレンズで表現できます。そして、風景写真で一番重要なポイントは手ブレを防ぐこと。特に今回は打ち寄せる波をしっかりと写し止めるためにも三脚は必須です。合わせて、シャッターを押す際に生じる手ブレを防ぐためリモコン(別売り)を揃えておくと便利です。リモコン撮影の際はレリーズモードダイヤルを「リモコン」に合わせます。次にMENUボタンの「リモコンモード設定」から「瞬時リモコン」モードを選べば、リモコンを押すと同時にシャッターが下ります。
三脚を立てカメラを固定、構図とピントを合わせたらリモコンのボタンを押してシャッターを切る。三脚を使った撮影の際は周囲への配慮を忘れずに
海を撮る際にやってしまいがちなのが、海を撮りたいという思いから無意識に水平線を作品の中心に入れてしまう構図です。これだと、水平線が作品内を上下均等に2分割してしまうことで、平面的で単純な構図になってしまいます。そこでまず、風景の中に曲線を探し画面に配置してみましょう。奥行きや広がりのあるダイナミックな1枚になります。また、海のように大きな被写体を撮る場合、ただ漠然と撮るだけでは単調な写真になりがちです。何を撮りたいのか、どこを撮りたいのかをはっきりさせ、その場所を中心にとらえるように構図を決め撮影してみると良いでしょう。
光の種類(太陽光、蛍光灯、白熱球など)によって、撮影した作品は赤みを帯びたり青みを帯びたりと実際に見たときと異なった色味になってしまうことがあります。そこで、光源の影響を受けている状況でも自分のイメージ通りの色味で写すための補正機能がデジタルカメラには備わっています。それがホワイトバランスです。通常ホワイトバランスは自動で光源を読み取り補正を行うオートに設定されていますが、夕景を撮る場合、ホワイトバランスの設定を変えることで意図的に、より赤みを強く出す写真を撮ることもできます。「曇天」や「晴天日陰」モードに設定すると赤みが強くなりますが、自分のイメージに合った色味を探していろいろと試してみると良いでしょう。また、露出を少しマイナスに補正することで空が暗くなり赤みがさらに強調されます。
よし、今日は良い作品が撮れたぞ!
今回の撮影では三脚を使って手ブレを防ぎ、さらにリモコンでシャッターを切ることでシャッターを押す際の振動による手ブレをなくす方法を紹介しましたが、もしリモコンがない場合は「露出ディレーモード」で撮影を行うと良いでしょう。「露出ディレーモード」はシャッターボタンを押してから一秒後にシャッターが下りる機能です。ボタンを押した瞬間の振動が収まってからシャッターが切れるため、ブレを防ぐことができます。
ただし、ボタンを押してからシャッターが切れるまで1秒のタイムラグがあるので、シャッターチャンスを狙うような撮影では注意が必要です。