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ニッコールクラブ会員展

「煙突の見える街」山田康

撮影者プロフィール

1941年、新潟県生まれ。早稲田大学理工学研究科卒業。全日本写真連盟・静岡あかね支部所属。過去の展示に「煙突の見える街」(2006年、新宿ニコンサロンbis)、「サガン・サー・イン・モンゴル」(2016年、しずぎんギャラリー四季)など。

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インタビュー

2006年に、同じタイトルの展示をされています。

今回と同様、前回も、静岡県富士市の製紙工場地帯に立ち並ぶ煙突をモチーフにして展示しました。その時は周辺に暮らす人びととの関わりに注目して撮影しましたが、今回はその続きではなく、視点を変えてまとめました。

今回のテーマについて教えてください。

前回の展示から10年以上経つ間に、日本経済の構造が変わり、製紙業は衰退しました。それは270本から190本ほどに減った煙突の数にも表れています。工場からの荷物を運搬するためにつくられた、地元のローカル線・岳南鉄道も廃線が検討されました。
しかし、富士市は新幹線や鉄道、東名高速道路が通る交通の要所です。それらに囲まれた工場の煙突を撮ることで、日本の経済と工場との関係を意識しました。

煙突の魅力とは?

かつては黒い煙(けぶ)を排出し、公害の源とされていましたが、現在は白い蒸気を元気よく吐き出しています。その近くに立つと、建造物の巨大さに圧倒されるとともに、工場の活力を感じます。また、工場の従業員と、その家族の生活が煙突一本に支えられているように思え、今日もよく頑張っているな、と元気をもらいます。

顧問講評 三好和義

静岡県富士市の工場地帯。巨大な煙突をテーマに据え、バリエーション豊かにまとめています。変わりゆく街の姿が、山田さんの温かい視線で美しく切り取られています。この街に暮らす人びとの毎日の生活を工場が支えている、そんな様子が、作品から浮かび上がってきます。また、煙突に対する愛情も見えます。1点1点からストーリーが感じられる作品です。