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ニッコールクラブ会員展

「記憶のカタルシス」野澤正樹

撮影者プロフィール

のざわ・まさき 1965年生まれ。bisでの写真展は、2011年の「少年時代」以来2回目。各種フォトコンテストでの入賞歴も多く、2007年にはサロン・ド・ニッコールで年度賞1位を獲得。埼玉県久喜市在住。

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インタビュー

「記録のカタルシス」というタイトルですが、この作品のテーマを教えてください。

まだ30代の頃、人生の壁にぶつかり、自分とは?自分の存在とは何か?という問いについて深く考えることがありました。その答えを見つけるために撮り始めたのがこの作品です。それ以来、自分の気持ちを映し出しているような風景に出会うたびに20年以上シャッターを切り続けています。あとで写真をふり返ってみるとその時々で自分が何を思い、感じていたのかがよくわかります。

モノクロ・縦位置の写真で構成されています。

この作品では自分の気持ちを見る人により感じてもらいたいという思いから、私が何を見ているのか、ストレートに視点が伝わるモノクロ・縦位置にこだわって撮影しています。

この写真展を通じて伝えたいことは?

自分の存在に対する問いというのは誰しもが持ち、そしてその答えに悩むものだと思います。それでも、私自身、問いに対する答えとしてシャッターを切ることで、自分の存在に対する不安が和らぎ、気持ちが満たされていきます。精神的に不安定になったとき、自信を失ってしまったとき、壁にぶつかったとき、私の作品が、そこから心を修復する一つのきっかけになってくれればうれしいですね。

顧問講評 大西みつぐ

作者は、ご子息をずっと写し続けて、サロン・ドやカメラ雑誌月例でも活躍されていました。今回はそうした写真活動も含め、ご自身への問いかけが「主題」になっています。自分とはいったい何者なのか?シャッターを押す理由を対象ではなく「わたし」側にすべてを帰結させていくことは本来痛みのようなものを背負わねばならないのですが、「撮る」ことでしか解決されない表現への飽くなき挑戦という命題もそこには横たわっているようです。