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第22回(2020年度)三木淳賞受賞作家新作展 飯沼珠実写真展「機械と心 -白くて小さな建築をめぐり」を開催

ニコンプラザ東京の写真展会場「ニコンサロン」にて、第22回(2020年度)三木淳賞受賞作家新作展 飯沼珠実展「機械と心 -白くて小さな建築をめぐり」を2023年11月21日(火)より開催いたします。

作家のコメント

私が養蚕・製糸に興味をもったきっかけは、長野県松本市出身の父の実家が、かつて養蚕農家を営んでいたことにあります。父の思い出話は、都心に生まれ育った私にとっては、映画の中の出来事かのように感じるくらいの距離があり、しかしながらそこに吹く風や滴る汗が、いままさに自分の肌に感じられるような、生き生きとしたものでした。そして同県岡谷市に現在も続く現場に通うようになりました。

それを知り学ぶ手がかりとして、養蚕・製糸の「建築らしさ」に注目しました。この背景には、これまで「建築」を被写体に作品制作に取り組むなかで、自分の関心が建物そのものには留まらず、建築物を起点として、都市や土地固有の歴史、個々人の営みの痕跡やその集積の広がりも、「建築」として捉えるようになったということがあります。

私がみた養蚕・製糸の世界は、その経糸に合理性や利便性を追求する機械時代、緯糸に人間の個性や心が織り込まれた織物のようでした。人間が機械の主人なのではなく、あるいは機械が人間を追いやるのでもない。機械と人間が、共に生きられる日常を創造してきたようなのです。心が機械にみえること、機械に心を感じること、カメラを通して現場をみつめてみると、歴史の織物は少しずつほつれ、その隙間に立ち現れる景色からは、不思議と写真表現の歩みのページをめくるような感覚が湧いてきました。見ることと見られること、モノのナラティブ、全体ではとくに目立たない存在の「存在」、日常の連続と不連続など。このような経験を手がかりに、「白くて小さな建築」をめぐる景色の断片を掬いたいと思いました。

飯沼珠実(いいぬま たまみ)氏プロフィール

1983年、東京都生まれ。「建築の建築」をテーマに、人々の記憶の集積としての建築物、建築物の住処としての都市や風景を被写体として写真撮影に取り組む。2008年から一年間、ライプツィヒ視覚芸術アカデミーに留学、2013年までライプツィヒに在住(2010年度ポーラ美術振興財団在外研修員)。2014年から一年間、シテ・アンテルナショナル・デ・ザール・パリに滞在。2018年、東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。現在は東京を拠点に活動。

主な個展に、「JAPAN IN DER DDR―東ドイツにみつけた三軒の日本の家」(ニコンサロン、2020)、「建築の瞬間」(ポーラ美術館アトリウムギャラリー、2018)、「建築の建築」(POST、2016)など。主な企画展に、「Von Ferne. Bilder zur DDR」(ヴィラシュトゥック美術館、ミュンヘン、2019)、「Requiem for a Faild State」(HALLE 14 ライプツィヒ現代アートセンター、ライプツィヒ、2018)など。第22回(2020年度)三木淳賞受賞。

第22回(2020年度)三木淳賞受賞作家新作展 飯沼珠実「機械と心 -白くて小さな建築をめぐり」

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「ニコンサロン」について

ニコン創立50周年を記念して1968年1月に銀座三丁目に開設された、写真文化の普及・向上を目的とする写真展示場です。開設記念となる第1回写真展「木村伊兵衛の眼」を開催以来、写真の展示や講演会の開催など、多くの写真家・写真愛好家の方々に写真活動の場を提供してきました。プロ・アマの壁を取り払い、企業戦略に影響されず、あらゆる分野の優れた作品の展示場として運営してまいります。

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