ある日、ふと思い立って本を被写体にしてみた。
モノトーンであることも相まって抽象化された写真からは、本来の意味が徐々に失われ、代わりに別のなにかが浮かび上がってくるようだった。私は、読書とは別の方法で本自体が孕む豊かさを表現できることに気づいた。これらの作品はその過程を記録したものである。
よく見知った、馴染み深いものを手繰るときであっても、写真は、未成の概念を一瞬にして描きだすことがある。それは新たな空間や想像力の母型として機能するのだ。あたかも光と影が共鳴し、互いを生み出すかのように。
私は、被写体が何かというよりも写真となった被写体がどのように知覚されるかに関心を持っており、そこに自由を見ている。
(小玉 真由美)
◇【トークイベント】小玉真由美「母型」
本展の関連イベントとしてトークイベントを開催いたします。
なぜこういう写真を撮ろうと思ったか、写真に撮った本を今度は本にするということ、展示と写真集との触れ合い方などのお話しをゲストと語っていただきます。
※参加費無料です。当日直接会場にお集まりください。
※ご来場多数の場合、入場を制限することがございます。ご了承ください。
タイトル:「写真になった本」
日時:2024年12月27日(金)16:30~17:30 ※16:15~入場受付開始
会場:ニコンサロン(ニコンプラザ東京内)
登壇者:小玉真由美 ゲスト:芳田 賢明(イメージングディレクター/フォトグラファー/株式会社DNPメディア・アート所属/日本写真芸術専門学校 非常勤講師)
定員:20名(当日先着順、参加費無料)
1964年岡山県生まれ
2024年京都芸術大学美術科写真コース卒業
2024年京都芸術大学美術科写真コース卒業制作展展示