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李 致寧蓬莱

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蓬莱は、中国東部の海に隣接した小さな町である。この地名は、古代中国で東の海にある、蓬莱という仙人が住む仙境の一つに由来している。
中国最古の地理書『山海経』には、「蓬莱山は海中にあり、大人の市は海中にあり」という文が記されている。この「市」とは蜃気楼のことで、真夏の雨後には光線の屈折で発生し、仙境だと思われている。
蓬莱市の長島は蜃気楼の名所として古来より有名である。
私の故郷は長島で、三歳までそこで暮らしていたが、実際にはあまり記憶に残っていない。そこは山東省における唯一火葬を行わずに埋葬が認められている都市である。長島の人々は、死後に遺体がなければ、海中にある常世の国へは行けないと信じており、なかなか火葬を受け入れずにいる。
蜃気楼のように漂うこの伝説、特定の時間にしか現れない島や、先祖が暮らしていた故郷、そして見えない仙境に私は深く惹かれた。
そして夏にもう一度長島を訪れるためにフェリーに乗った。

（李 致寧）