カンボジアの大湖トンレ・サップは、雨季にはメコン川からの逆流もあり、面積は5倍にも膨れ上がるという。この湖の周囲には、水位によって移動する船の生活者と、水面に浸らない高床式の家に住む人々が重ね合うように生活している地域がある。訪れた地は、ベトナム戦争から逃れた人々や、故あって国籍を持たず、平地に住めないカンボジア人も多いと言われている所だ。彼らの生活の糧は大湖の豊富な魚だ。最近大物が取れない、と漁師は嘆くが、漁から得る所得以外に国からの援助は無い。
生活の厳しさは、裸足で遊ぶ子供たちが多いことからも見て取れるが、そこに住む人々の表情は明るく、数多くの子供たちが笑顔で近づいてきた。母親の看護を受けていた重病と思われる青年は、カメラに向けて手を差し伸べてきた。寺子屋のような教室でせっせと勉強をしている少年たちも見かけた。この地から立派な社会人になった人も多いと聞く。子どもたちに、是非に頑張って欲しいと願う。
(古清水 輝光)
1944年 長野県生まれ。
定年後の65歳からカラー写真を、67歳からモノクロを始める。
2015年10月個展「成田空港人模様」Nikon Salon Bis新宿
2017年10月個展「Sapaからの手紙」Nikon Gallery新宿
2019年11月個展「メコン謹厚」Nikon Gallery新宿
国際サロン展入選 第79回(2018年)及び 第84回 (2024年)
全日本モノクロ写真展 関東本部長賞 2019年及び 朝日新聞社賞 2020年