沖縄の海ではウミガメたちが、のんびりと暮らしています。
彼らは満潮になると、海草を食べに海岸近くの浅瀬にやってきます。
私はそこで彼らとひと時を過ごします。
なかでも「花子」と呼ぶウミガメは人懐っこく、私の周りをくるくる泳いでくれます。
ある日、数時間ほど一緒に過ごしたとき、海草を夢中に食べていた花子が動きをとめ、何かを気にするように水面を見上げると泳ぎ始めました。これはきっとサンゴの海に帰るのだろうと、ついて行くのをやめると後ろを振り返り「こっちに来ないの?」という仕草を見せました。そこで再びついて行くと、餌場を変えただけでした。
私がそばにいることを許してくれていると感じたのは、この日からだったかもしれません。
本写真展では、子供たちに海の環境問題を伝える写真絵本「海に生きる!ウミガメの花子」の作品に加え、そこに収めきれなかったウミガメの暮らしぶりや仲間たちをご紹介いたします。
豊かな自然の中で生きる花子たちの世界をお楽しみください。
(黒部 ゆみ)
沖縄の水中写真家 奈良出身
学生時代に友人と訪れた沖縄旅行で透き通る青い海に感動し、そのまま移住を決意。石垣島、沖縄本島でスクーバダイビングのインストラクターとして活動する。その後、独学で水中写真を始め、水中写真家に転身。水中保全活動にも取り組むなかで、次第に環境の変化や、海の生き物と人が出すゴミとの関わりに問題意識をもつようになった。「生き物と人との関わり」をテーマに写真を撮り続けている。
2020 [受賞]地球の海フォトコンテスト(自由・ビーチ)部門 優秀賞
2020 [執筆]「唐獅子」コラム連載|沖縄タイムス
2021 [受賞]地球の海フォトコンテスト自由部門 優秀賞
2022 [著作]「海に生きる!ウミガメの花子」|偕成社
2022 [展示]「海に生きる!ウミガメの花子」|ジュンク堂那覇
2023 [展示]「琉球より、海の声」写真展|LUMIX BASE TOKYO/「東京写真月間2023」企画展
2023 [展示]「琉球より、海の声」巡回展|東川町文化ギャラリー/「東京写真月間2023」企画展
2023 [講演]「海に生きる!ウミガメの花子」|島尻教育事務所