犬を飼っていた。
その犬は丸いものが好きで、散歩のたびに道端に落ちているボロボロのボールや謎の果物を咥えては家に持ち帰り、溜め込んでいた。
私にはそれらの何がよいのかさっぱり理解できなかったが、短い尻尾を振りながらそれらを咥えて自慢してくるその犬の笑顔を見ると、さっきまでボロボロだったボールや謎の果物が星のように光り輝いて映るので、私も不思議と楽しくなった。
しばらくして、私はカメラを手に取った。
ある日、誰であったか私の写真を楽しそうに眺めていたので気になって覗いてみると、そこには昔出会った懐かしい光が微かに浮かび上がっていた。私は人を楽しくさせるその光に再び魅了された。
それから、私は犬のように尻尾を振りながら光を溜め込むようになった。
これらがどこかの誰かの星になれるように。
(藤﨑 創)
1987年 東京都生まれ
2012年 早稲田大学大学院創造理工学研究科建築学専攻修了
2020年 写真表現中村教室入学、小宮山桂氏に師事