＜ニコンサロン＞
藤本 遥父について

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2023年10月24日（火）～2023年11月6日（月）　日曜休館

新しく買ったカメラで最初に撮りたいと思ったのは、地元で暮らす両親だった。
飛行機に乗って北へ会いに行く。たどり着いた先で父の写真、母の写真、そして二人の写真を撮った。
同性である母親と違い、父に対してはある種の「わからなさ」のようなものが常にあった気がする。私は父のことを一体どれほど知っているだろうか。今まで見過ごしてきたかもしれないいろんなことを、写真によって少しでも手に入れることはできるだろうか。

父はここ数年、夏になると雑草を集めている。近くの遊歩道や雑木林で摘んでくるそうだ。採取された草花は種類ごとに小さなジップ付きの袋に入れられ、植物図鑑で判明した名称が付箋に記される。時折、摘まれたばかりの草花が窓際で初夏の光に包まれていることがある。見覚えのある白くて小さいその花は、図鑑を見ればきっと名前が載っているだろう。しかし今はまだわからない。その花はただそこにあって、とても美しい。

（藤本 遥）