動物園で生きる動物を撮って久しく、そこは私のユートピアです。
2015年の初冬の陽が傾きかけた頃、いとも悲しげな叫び声が多摩動物公園の丘陵に響き渡り、姿は見えずとも心を揺さぶられた狼との出会いでした。
残念なことに日本の野生の狼は、明治の初めに絶滅して今はもう居ませんが、自然界では雄と雌のペアを中心に8-10頭の群れを成し、縄張りを持ち、仲間間の順位に従って、強い絆で結ばれています。
誰に習ったのか、動物園で生まれた彼らも又、厳しい狼社会の掟に準じ、コミュニケーションが維持されています。
遠吠えは、そのコミュニケーションの一つのパフォーマンスであり、仲間間の連絡や意思の伝達の手段のようです。
私はこの狼の遠吠えと、互いに交わす視線に溢れる信頼の絆を、写真に撮りたいと思いました。
(佐藤 玲)
東京都出身
10歳の頃より父の指導で写真の撮影、現像などを始める。
2009年 二科展初入選(初出品)
2012年 二科展写真部展 写真弘社賞 受賞
2015年 個展「ATHLETE・私はアスリート」(ニコンサロンbis新宿)
2016年 二科展写真部展 イーストウエスト賞 受賞
2020年 二科会写真部 会友推挙
2021年 第46回 JPS展 2021 銀賞 受賞
2021年 第19回 日本写真作家協会展 銀賞 受賞(創作部門)
2023年 第71回 二科会写真部展 会友賞 受賞