猫は、私にとって単に可愛いだけではない、特別な存在です。長年ライフワークとして猫
を撮ってきました。
2017年の写真展「母と猫と私」では、老いていく母との確執のなかで、猫の撮影をしながら、彼らの姿を母娘の関係や自分自身に重ねました。
それから5年が経ち、介護や看取りは切羽詰まった問題となり、老いや病いは自分の身にも降りかかってきました。
その中で愛猫が亡くなりました。それは私が入院する直前で、まるで私に心配をかけまいとするような絶妙なタイミングでした。
最期のきわまで自立して生きようとし、悟った時には潔く死を受け入れたそのあっぱれな姿に、私は悲しみよりも、生きるしるべを失ったように途方に暮れました。彼女は私の子供であったと同時に人生の師でもあったと気づいたのです。
今、私は彼女の気配をそこかしこに感じ取りつつ、どうあるべきかを彼女に問いながら毎日を生きています。
(副田 道子)
1958年東京都生まれ
2004年から写真を始める。
市井に生きる猫を中心に、日常の中の身近なものや街の風景などを撮影している。
写真展
【個展】
2011年 「在るがままに 意のままに」(フレームマン.ギンザ.サロン)
2013年 「Lifeー在るがままに 意のままに」(フレームマン.ギンザ.サロン)
2017年 「母と猫と私」(ニコンサロン bis 新宿)
2018年 「在るがままに 意のままに 2018」(谷中ギャラリー猫町)
【グループ展】
2013年 「ねこらんまん展in百段階段」(目黒雅叙園)
2018年 「たくらだ猫の隣り歩き」(メゾンドネコ)
2019年 「たくらだ猫の隣り歩き2」(メゾンドネコ)