島の自然は強く、厳しく、優しい。祖父と祖母はそんな島の一部であるかのように、エネルギッシュでいつも自然体な人だった。二人はずっと島で生きていき、やがて亡くなれば、島の風や土になるものと思っていた。だから二人が、叔母の住む福岡で余生を過ごすと聞いた時は、驚き、そして、寂しく思った。
祖父は九十四歳。身体は元気だったけれど、物忘れが多くなっていた。祖母は八十八歳。怪我が続いて、介護施設と病院とを出たり入ったりしていた。二人だけで島で暮らすのは、だんだん難しくなってきていた。でも、だからといって、晩年になってどうして島を出なくてはならないのか。二人は長い間、そこで暮らしてきたというのに。
私は、島を離れることになった二人を、写真に残したいと思った。
(高重乃輔)
1987年埼玉県生まれ。学生時代、アフリカへの旅を機に写真を始める。新聞社記者を経て、フリーランスのフォトグラファー、ライターとして活動。
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