この作品は三年前帰省した時に撮影した写真です。普段は家族と一緒に帰るのですが、人生で初めて一人で母親の実家に帰りました。その時はいつもの「喜び」とは違う心情になりました。
故郷とはいっても、私は地元の方言は喋れず、家族と友達以外、街の人とほとんど雑談をしたことがないとその時に初めて気づきました。子供の頃はここで育てられたのに、祖母の家以外どこに行っても印象が曖昧で、自分の身をどこに置けばいいのかわからなくなりました。
今、帰国することはとても困難になっています。帰国ができたとしても、子供の頃の故郷に帰ることはできません。「故郷」の「故」は「過ぎ去った昔の事」を意味している言葉で、もしかしたら、故郷は個々の「記憶」の中にしか存在しないものなのかと頭の中を駆け巡ります。
中国では「記憶」を水に例えることがよくあります。今、私は記憶の水の中で「故郷」へ遡っているのかもしれません。
中国生まれ
2020 日本大学藝術学部写真学科入学
2020 作品『サヨウナラ』「T3 PHOTO FESTIVAL 2020 学生ポートフォリオ展(ONLINE)」(入選)
2021 作品『Homesick』「日本大学藝術学部写真学科学生選抜展 GRIP2021」(入選)(ポートレートギャラリー、東京)
2021 作品『Surface』グループ展「Sobremesa」(参加)(新宿眼科画廊、東京)
2021 作品『AKIHI』五美術大学交流展(メイン展示)(推薦賞)(3331 Arts Chiyoda、東京)