かつては暴動が絶えず、激しい街だった西成は新たな時代へと向かっている。
インバウンド需要やリゾート化、再開発によりドヤ街は綺麗に整備されつつある。
それによりここで暮らす労働者や貧困層は今でさえ行き場を奪われている上に、観光地として認知されれば安宿もなくなり野宿もできなくなる可能性がある。
私は学生の頃に初めてこの地を訪れ、ぼろぼろになりながらも生きていくたくましい姿、弱さや優しさ、不器用さが滲み出た人間臭さに強く惹かれた。
彼らの存在が独特な街の雰囲気を成り立たせている。
この街と彼らは相互関係にあり、それが完全に切り離された時、両者はどうなってしまうのだろう。
労働者は減り、静かで平凡な日々が続いている。
退屈とも言える転換期だが、そこにも様々な生活や息遣いがある。
いずれ消えてしまうかもしれない今の姿を、この隙間の時代を私は保存したいと思った。
(坂東正沙子)
1986年 大阪府生まれ
gallery 176 所属
個展 | |
2008年 | 「sublimate」(galleria-punto/岡山) |
2019年 | 「月讀」(gallery176/大阪) 「異種交配」(gallery176/大阪) |
2020年 | 「Accelerator」(スタジオ35分/東京) 「RESIDUES」(gallery176/大阪) |
2021年 | 「Aerial」(gallery176/大阪) |
グループ展 | |
2009年 | 「同時代展」(同時代ギャラリー/京都) |
2019年 | 「YOSHITOMI PHOTO FESTIVAL」(吉富ノ庄/京都) 「1839當代藝廊×gallery 176交流展」(1839當代藝廊/台北) |