実家のある中国四川省成都市では春から夏にかけて老婆たちが道端でマグノリアの花(中国では黄果兰という)を糸に通して売っている。
人々はそれを買って胸につけたり部屋に飾ったりする。
この季節の町の中はいつもこの花の香りが漂っている。
実家に戻りこの花の香りを嗅ぐと幼いころの記憶が蘇ってくる。
日々変化する街並みや人々の姿から古い記憶と重なる情景が浮かび上がる。どれも見慣れた光景であり、初めて見たような気がする光景でもある。
私はカメラを通して、目の前の光景を確認する。
マグノリアの香りを嗅ぎながら、過去の自分と無数の会話をする。
(若山美音子)
中国四川省成都市生まれ。
四川大学外国語学部日本語学科卒業。
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。
2000年以降、写真を始める。
写真家 瀬戸正人氏に師事。
個展:
2017年 「True colors」(フォトギャラリー〈Place M〉 /東京)
2019年 「遠い呼吸 - A distant breath -」(フォトギャラリー〈Place M〉 /東京)
2021年 「遠い呼吸 - 曖昧な存在に問いかける-」(キヤノンギャラリー銀座/東京)
2021年 「遠い呼吸 - 曖昧な存在に問いかける-」(キヤノンギャラリー大阪/大阪)
グループ展多数参加。
写真集:
2020年「遠い呼吸 - A distant breath -」上梓(Place M)
日中写真交流協会会長
日本写真協会会員