森は、木や草、動物、昆虫、菌類など、多様な生き物で成り立っています。そして、それらの生き物が互いにその生命に関係し依存しあって、生態系を築いています。
森の奥深くに一人たたずんでいると、森の生き物が相互に作用してか、森全体が生きているような不思議な感覚に襲われることがあります。ガサガサと何かが草むらをかき分けるとき、また、逆に全くの静寂が広がるときにも、森全体に監視されているように感じることがあります。冷たい風雨が叩きつける稜線から標高を下げて森の中へ入るとき、風雨は木々に遮られ、森全体に守られているように思われます。かわいらしい花やキノコ、自然の造形を見つけたとき、おとぎ話の物語が浮かんできます。
言葉では言い表せない森に溢れる神秘的な感覚に魅了され、森を歩き撮影を続けてきました。森が生き物の濃密な集合体であるならば、森に息づく個々の命や光景を撮影し、それを編み上げることで、森の不思議な魅力を伝えられないだろうか。このような考えに基づいて展示を構成しました。
(山之内 徹)
1957年 東京都生まれ
1983年~2017年:ソフトウェアの研究者/技術者としてIT企業に勤務
1987年~1992年:北アルプスを中心に山岳写真を撮影
1990年:雑誌「岳人」写真賞 年間準優秀賞受賞
1993年~2012年:写真活動を中断
2013年~現在:自然風景写真撮影を再開(写団薬師入会、前川彰一氏に師事)
2019年:雑誌「フォトコン」月例ネイチャーフォトの部年度賞受賞
2020年1月:Bar 108(両国)にて個展「雪山賛歌」開催
公益社団法人 日本写真協会、写団薬師 会員