2021年8月5日(木)~2021年8月18日(水) 日曜休館、8月12日(木)~2021年8月15日(日)休館
島々を渡る風は穏やかな陽の光にも似て、暮らす人々を優しく包み込んでいました。
初めての男木島で広がる海のうつくしさに心を奪われていると、通りかかったもんぺ姿のお母さんが話かけてくれました。写真を撮らせてもらうと、それがご縁なのか、朝日タ日など行く先々で出会うようになりました。翌朝は宿の前で待っていてくれ、大きな袋を見せて「いちじく、一緒に食べよ」と笑っていました。
小豆島の中山千枚田の虫送りの日は、あいにくの大雨でした。棚田をゆっくりと下りる松明の列は幻想的でまさに日本の原風景そのものでした。虫送りとは、田の害虫を退治し豊作を願う伝統行事です。
農村歌舞伎も大切なハレの日です。邪魔にならないように撮影させていただいていたら「これを着て好きに撮ったらいいよ」と法被を手渡されました。あのときの感動は忘れられません。
瀬戸内海では大小300を超える数の島で人々の暮らしが営まれています。もちろん、そのすべてを訪ねることなど出来ませんが、この写真たちは6年の間に私が訪れた島々の風景と、こころ優しい人の姿です。
6年ぶりの男木島、港で遊ぶ子どもたちがいました。大きくなっていたけど面影はあります。「久しぶり」と声をかけたら恥ずかしそうに笑いながら近づいてきました。
島の小高い丘に登ると、さざ波が輝き風が島々を渡るのが分かります。しま風は今日も人々を彩っているのです。
(山初 律子)
写真を初めて30年になります。
カメラを持ったきっかけは、お祝いに頂いたカトレアの花の美しさに魅せられ、写真に残しておきたいと思ったからです。
社団「彦」(故・矢野建彦先生)指導の撮影会・研修会にて写真を学ぶ。
2003年から写真家 染谷學氏に師事。
姫島、淡路島、瀬戸内の島々を訪ね、多くの方々との出会いを楽しみながら作品制作・展示を続けている。
兵庫県川西市在住。
個展
2007年10月 「子狐の舞う島で」(銀座ギャラリアートグラフ)
2008年8月 「子狐の舞う島で」(アートギャラリーIKEDA)
2013年5月 「はじまりの島」(ニコンサロンbis大阪)
2014年2月 「はじまりの島」(淡路人形浄瑠璃資料館)