40年以上、埼玉県の北端に住んでいる。
ここは古くから人の営みがあり、多くの古墳が作られてきた。
大和にも負けない堂々とした前方後円墳もあるが、多くは小さな円墳、いわゆる土饅頭だ。
それらは長い時間の中で風景に溶け込み、神社や公園、微かな痕跡など、街の一部となった。
だれも墓とは気づかない。死の気配は時間が昇華させた。
ただ、その場に寄り添うモノたちだけは、気づいているかのように空間を演出している。
そこは祖先たちの存在の証であり、はるかに困難な時代を生きたであろう彼らの思念が滲みだし、今の災厄など些細なもの、と笑われているようだ。
閉塞感が充満した今、時代を繋いできた祖先たちに思いを馳せる。
(岡田 雄二)
1963年生まれ
個展
2007年12月 「北関紀行」(コニカミノルタギャラリーA)
2009年12月 「続北関紀行」(コニカミノルタギャラリーA)
2013年 4月 「続々北関紀行」(コニカミノルタギャラリーB)
2016年 4月 「北関紀行 Ⅳ」(コニカミノルタギャラリーA)