2020年7月21日(火) 〜 2020年8月 8日(土) 日曜休館
2020年7月21日(火) 〜 2020年8月 8日(土) 日曜休館
2020年8月20日(木) 〜 2020年9月 2日(水) 日曜休館
熊野の風景を繰り返し撮影しています。何度同じ場所を訪れても、それは常に新しい経験であり、飽きることはありません。場所の証明としての写真より、世界に触れたことの結果を手に入れようとしているのです。対象を決めて撮影しても、撮ったものを見ると必ず新たな発見がある。撮影者という主体と共に客観性を含むことは写真の大きな魅力です。カメラの目は純粋だから、あるがままの世界を手に入れることができるかもしれない、そう思わせてくれるところがあります。
写真は撮ったものを見せることだと思われがちですが、「写真を撮ること」と「撮った写真を選ぶこと」は別の作業です。イメージとして表れてくるものを見つめ、それらを並べていくと、前後のイメージが手を結び、新しい時間が流れ出す。断片的な要素が観者の記憶を立ち上がらせることもある。目とこころはそれぞれに働きながら、深く関わり合っている。そのことを写真は実感させてくれます。
(鈴木理策)
<新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止いたしました写真展の会期を変更して開催いたします>
1963年和歌山県新宮市生まれ。1987年東京綜合写真専門学校研究科卒業。1998年、地理的移動と時間的推移の可視化を主題に東京から新宮のお燈祭りまでをシークエンスで構成した写真集『KUMANO』(光琳社出版)を発表。翌年に出版した2冊目の写真集『PILES OF TIME』(同前)により第25回木村伊兵衛写真賞を受賞。一貫して「見ること」への問題意識に基づき、熊野、サント・ヴィクトワール山、桜、雪、花、ポートレート、水面等のテーマで撮影を続ける。写真集に『知覚の感光板』(赤々舎)、『Water Mirror』(Case Publishing)、『Etude』(SUPER LABO)、『SAKURA』(edition nord)、『Atelier of Cezanne』(Nazraeli Press)など。主な個展に「意識の流れ」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館, 2015年・東京オペラシティギャラリー, 2015年・田辺市立美術館, 2016年)、「水鏡」(熊野古道なかへち美術館, 2016年)、「Mirror Portrait」(タカ・イシイギャラリー, 2016年)、「熊野 雪 桜」(東京都写真美術館, 2007年)など。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科教授。