2020年3月31日(火) 〜 2020年4月13日(月) <<臨時休館>>
2020年4月23日(木) 〜 2020年5月 2日(土) <<臨時休館>>
故・砂守勝巳は、沖縄米軍に所属するフィリピン人の父と奄美大島出身の母のもとに沖縄で生まれ、父と生き別れた後、プロボクサーとなった。その後、大阪で写真を学び、写真週刊誌の契約カメラマンを経てフリーとなり、自らの個人史を軸にした写真集『漂う島とまる水』で土門拳賞を受賞した。
2009年に砂守が亡くなるまでの3年間、娘のかずら氏が、助手として砂守勝巳の仕事に立ち会い、現在は彼女が作品を整理・保管・研究している。没後10年が経過した今、かずら氏の強い想いを起点に、未発表作を含めて写真を精査し、新たに展示する運びになった。
「コンタクトゾーン」とは、異なる言語や文化が交わっていく接触領域のことを指す。あらゆるものが混淆して線で区切ることのできない「コンタクトゾーン」という渚にこそ、砂守の立脚点があるのではないか。残された作品群は強い記録性に支えられ、移り変わる時代背景のなかでも、その都度、別の輝きを見せる。
この展示が、砂守勝巳という稀有な写真家と、彼の視線の先にあったものをあらためて考える契機になってほしいと願っている。
(監修 石川直樹)
1951年 沖縄本島に生まれ、奄美大島で少年時代を送り、15歳で大阪へ。プロボクサー(神林拳闘会)を経て写真家となる。
1975年3月 大阪写真専門学校(大阪ビジュアルアーツ専門学校)卒業。
1982年 大阪・釜ヶ崎を主題とした個展『露地流転』を開催
(キヤノンサロン:大阪・銀座・広島/大原画廊:奄美大島)。
1984年7月 大阪『釜ヶ崎』のドキュメント・フォト集『大阪流転』 で月刊プレイボーイ誌(集英社)の
ドキュメント・ファイル大賞奨励賞を受賞。
1989年1月 釜ヶ崎を主題とした写文集:『カマ・ティダ-大阪西成』 (IPC)を出版。
1992年7月 沖縄を主題とした『オキナワン・シャウト』(筑摩書房)を出版。
1993年 沖縄・奄美大島・マニラ(フィリピン)を主題とした写真展、『漂う島 とまる水』
(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)
1995年 長崎・ 雲仙普賢岳噴火の被災地を撮影した写真展『黙示の町』(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)
1995年 写真集『漂う島 とまる水』(クレオ刊)刊行
1996年 写真集『漂う島 とまる水』第15回 土門拳賞・第46回日本写真協会新人賞受賞。
5月-6月、個展『漂う島 とまる水:第15回土門拳賞受賞作品展』(銀座ニコンサロン:大阪ニコンサロン)
8月-9月 奄美大島、名瀬市(現奄美市 )50周年記念個展:『漂う島 とまる水』
(奄美文化センター2Fギャラリー)
1997年6月 写真は何を語れるか写真展:東京都写真美術館ギャラリー
1998年6月 写文集『オキナワ紀聞』(双葉社)刊行
1999年10月 自身の写真週刊誌時代のエピソードをちりばめた『スキャンダルはお好き?』(毎日新聞社)刊行
2000年2月 『沖縄シャウト(オキナワン・シャウト改題)』(講談社文庫)刊行
2001年 「現代写真の系譜2」展 新宿ニコンサロン/東京
2006年1月 「沖縄ストーリーズ(沖縄紀聞改題)」(株式会社ソニーマガジンズ)刊行
2009年6月23日 胃がんにより死去。57歳没。