2020年1月 6日(月) 〜 2020年1月27日(月) 日曜休館
2020年1月 6日(月) 〜 2020年1月27日(月) 日曜休館
2020年2月27日(木) 〜 2020年3月11日(水) 日曜休館
“If apricot trees begin to bloom (あんずの木に花が咲き始めたら―)”
早春の不安定な気候を謡ったキルギスの伝承話の一節の始まり―。
春、山岳地帯からの雪解け水が川に流れ出る。昔からキルギスの民話では水は聖なる対象として描かれ、豊かなインスピレーションを生む源泉であり、人間の生活と密接に関わる存在として伝承されてきた。
キルギス共和国東部の天山山脈の氷河と雪解け水に発し、ウズベキスタン共和国東部のフェルガナ盆地までの約800kmに及ぶナリン川。この水はやがて、アラル海へと注ぐ。
2012年から14年に、キルギスを訪れた時に、このナリン川を中心とした村々に滞在した。14年2月、現地で知人の出産に立ち会った際に、病院の窓から何気なく撮影した静かな真冬のナリン川。今回キルギスとウズベキスタンを訪れ、この川の上流から取材を始め、人々の営みを記録した。源流の氷河は温暖化により縮小し、金の採掘が続く。水資源管理の問題などに直面しながらも、ナリンの水は、川の周囲に暮らす人々の日常に溶け込み、変遷しながら西流していく。
(林 典子)
1983年生まれ。
イギリスのPhoto Agency「Panos Pictures」所属。大学時代に西アフリカ・ガンビア共和国の新聞社「The Point」紙で写真を撮り始める。
第7回名取洋之助写真賞、さがみはら写真賞新人奨励賞、フランス世界報道写真祭「ビザ・プール・リマージュ」金賞、全米報道写真家協会(NPPA)組写真部門1位、第16回三木淳賞など受賞。
15年、世界報道写真財団によるJoop Swart Masterclassに選出。The New York Times、 ナショナル ジオグラフィック日本版、Der Spiegel、Newsweekなどに寄稿。
著書に、「キルギスの誘拐結婚」(日経ナショナルジオグラフィック社)、「ヤズディの祈り」(赤々舎)、「フォト・ドキュメンタリー 朝鮮に渡った日本人妻 60年の記憶」(岩波新書)など。