2018年4月10日(火) 〜 2018年4月16日(月) 日曜休館
2018年5月24日(木) 〜 2018年5月30日(水) 日曜休館
1995年から本と本の置かれている環境を主題に、夢中になって撮り散らかし続けて20年以上が経ちました。撮り溜めた写真を、『みすず書房旧社屋』、『先生のアトリエ』、『本の景色』の3つの主題にまとめ、写真集「BIBLIOTHECA」シリーズとして作ることができました。
本の内要について知りたかったのではありません。造本の美しさ、「モノ」としての佇(たたず)まいに惹かれ撮影を始めました。
本にまつわる数々について無知の私が、「モノ」として撮影するだけで良いのかという迷いが頭の隅に常にあり、それでも何ともいえぬ力に押され撮影を止めることにはなりませんでした。
シバンムシが夜空の星屑のように穿ち抜いた室町時代の経文の修復作業の側では、戦後の貧しい時代の子ども達がむさぼり読んだであろう「サザエさん」も修復中で、子ども時代を思い出しました。痛々しく包帯を巻かれたボロボロの本に驚き、小学1年生が付せんでブロッコリーのようにした辞書に笑い、時代、社会、人々の営みを背景に無限に広がっている「本」の世界の魅力に気づいていきました。
どこへも中判カメラ「ゼンザブロニカS2」(6×6判一眼レフカメラ 1965年発売)に、ニコンのレンズをつけ、モノクロのフイルムを装填、ジッツオ社 の三脚、小さなレフ版を担いで出かけました。
潮田 登久子(うしおだ とくこ/Ushioda Tokuko)
わが国における今日の写真表現の多様化には目を見張るものがあります。その中で土門拳(1909-1990年)氏が提唱したリアリズム運動は、写真文化の流れの一つを作ったといっても過言ではありません。
毎日新聞社では創刊110年記念事業の一つとして、1981年、土門氏の輝かしい業績をたたえ、「土門拳賞」を制定しました。授賞対象は、プロ・アマチュアを問わず、前年1月から12月までに作品(写真集、写真展など)を発表し、最も優れた成果をあげた写真家です。
選考は、写真家・評論家・学芸員など約90人の推薦委員から、推薦された作品と写真家を候補として毎年、選考会を開催し受賞者を決定します。
今年の正式発表は3月16日の毎日新聞紙上で行われ、「サンデー毎日」(4月8日号)グラビアで作品を紹介しています。受賞記念写真展はニコンプラザ新宿THE GALLERY 1・ニコンプラザ大阪THE GALLERYで開催され、受賞作品は土門拳記念館(山形県酒田市)で展示した後、同館に永久保存されます。
※第37回「土門拳賞」の選考委員を務めたのは以下の各氏です。
池澤夏樹(作家)
大石芳野(写真家)
鬼海弘雄(写真家)
中村征夫(写真家)
松木健(毎日新聞社東京本社編集編成局長)
毎日新聞社
東京生まれ。
1963年、桑沢デザイン研究所卒業。
1966-78年、桑沢デザイン研究所及び東京造形大学の講師を勤める。
1975年頃よりフリーランスの写真家として仕事を始める。
1978年、写真家・島尾伸三との間に娘・真帆が誕生。この頃から「冷蔵庫 ICE BOX」の撮影が始まる。
共編著:
夫・島尾伸三との共編著に中国、香港、マカオの庶民生活をレポートしたシリーズ以下がある。
『中華人民生活百貨遊覧』 新潮社・とんぼの本 1984年
『香港上海雑貨見物』 東京三世社 1986年
『凝裸儒的中華天地』 三交社 1994年
『中国のかわいいおもちゃ』 平凡社 1997年
『極楽マカオ案内』 平凡社 1999年
『マカオで道草』 大修館書店 1999年
『中国庶民生活図引 食・遊・癒』 弘文堂 2001年
『中国製造 香港・澳門』 パロル舎 2004年
主な写真集:
『冷蔵庫 ICE BOX』 BeeBooks 1996年
『HATS』 パロル舍 2004年
『みすず書房旧社屋/Serie BIBLIOTHECA 1』 幻戯書房 2016年
『先生のアトリエ/Serie BIBLIOTHECA 2 』 幻戯書房 2017年
『本の景色 BIBLIOTHECA/Serie BIBLIOTHECA 3 』 幻戯書房 2017年