菅野 ぱんだ 写真展
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Planet Fukushima
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4/27 (木)
~5/3 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
実家である福島を撮りはじめて以来、私の視界には遠景、中景、近景という三つの層が形成されるようになる。それは三つの違う次元といってもいいかもしれない。たとえば近景に人間がいて遠景に風景があり、かつてそれらは同じ空間に一緒くたに存在していたはずなのに、あの事故をきっかけに今では放射能という異物によって遮られてしまっている。そしてその目に見えない中景はこの先もずっと私たちと風景の間に居座りつづける。そんな分断された空間を意識するかたわら、六年の歳月を経て最近あらたに気づいたことは、それは人によって時間の感覚が違うということである。速かったり遅かったり、長かったり短かったり、切れ切れだったり、あるいは一挙に溯行して震災以前に戻っていたり…。時の流れが違うということは、あの震災の意味も人それぞれだということであり、むろんそれは福島以外のどの地域の人々にとっても時の概念、そして震災に対する思いは個々に異なるものだろう。ただ現在の福島という空間における目に見えない中景(異物)の存在が、それぞれの時の感覚に特別な影響をもたらしている気がしてならない。 (菅野ぱんだ)
カラー・モノクロ約40点。
作者のプロフィール
菅野 ぱんだ(カンノ パンダ)
2001年NYU Film Production課程修了。02年に帰国以降、ポートレート、ランドスケープを中心に活動。生まれ故郷である福島県伊達市霊山町は福島第一原発から北西に50キロほどのところに位置し、震災当時ホットスポットと呼ばれる高線量の地点がところどころ観測された。現在は東京と実家である福島を行き来しながら作品制作を行っている。
写真展に、98年「プライベートルームII―新世代の写真表現」(水戸芸術館)、01年「SEVEN ROOMS」(福島県立美術館)、12年「写真新世紀仙台展」(せんだいメディアテーク)などがある。
受賞歴に、第13回写真新世紀展2004荒木経惟賞がある。
写真集に『海、その愛...』『南米旅行』『パンダちゃん』『コパンダちゃん』(以上リトルモア)、『1/41、同級生を巡る旅』(情報センター出版局刊)がある。
第42回木村伊兵衛写真賞 受賞作品展
原 美樹子 写真展
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Change
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5/4 (木)
~5/10 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
第42回(2016年度)「木村伊兵衛写真賞」(主催・朝日新聞社、朝日新聞出版)を受賞した原美樹子さんの受賞作品展。木村伊兵衛写真賞は、故木村伊兵衛氏の業績を記念して1975年に創設され、各年にすぐれた作品を発表した新人写真家を対象としている。選考は、写真関係者からアンケートによって推薦された候補者の中から、選考委員会が決定する。選考委員は、石内都、鈴木理策、ホンマタカシの写真家3氏と、佐々木広人(アサヒカメラ編集長)。
受賞の対象となった写真集『Change』(The Gould Collection)は、2015年に逝去したパリの写真集コレクター、クリストフ・クリゾンを追悼するために企画された、「グールドコレクション」シリーズの第1弾。原さんの写真と小説家スティーヴン・ディクソンの小説で構成されている。今回は長年に渡る作家活動と、原さんの持つ写真の力を評価された。
本写真展では、写真集に収録されている作品から約30点を展示予定。
作者のプロフィール
原 美樹子(ハラ ミキコ)
1967年富山県生まれ。1990年慶應義塾大学文学部卒業。1996年東京綜合写真専門学校研究科卒業。第13回キヤノン写真新世紀佳作、第8回ひとつぼ展入選。1996年に初個展「Is
As It」開催。以降、国内外のグループ展や個展で作品を発表。2007年には、ニューヨークで個展「Blind Letter」開催。2014年には、ゲティ美術館(ロサンジェルス)で開催された4人の日本人写真家による「In Focus:Tokyo」展に長野重一、森山大道、瀬戸正人とともに出品。ゲティ美術館、ヴィンタートゥアー美術館他に作品が収蔵されている。
藤原 香織 写真展
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森を見る / 森から見る
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5/11 (木)
~5/17 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
これらは東京23区内の「神社とその周縁」を撮影したものである。
撮影する神社を選ぶにあたり、縄文時代の遺跡が発掘された場所、もしくは遺跡の程近くに位置する神社を選んだ。
人々の信仰の場として選ばれたこれらの土地は、鎮守の森が生い繁る遥か昔よりの「聖地」である。
幾多の歴史を積み重ね、人々の営みと神社を取り巻く風景が大きく変容していることに違和感を感じながらも、ひとたび森へ足を踏み入れると聖地の存在感は今なお健在であるようにも思う。 (藤原香織)
作者のプロフィール
藤原 香織(フジワラ カオリ)
1981年千葉県生まれ。写真展に、2013年「ホログラム」(Juna21新宿ニコンサロン、Juna21大阪ニコンサロン)がある。受賞歴に、13年三木淳賞奨励賞、16年第15回「1_WALL」入選がある。
小倉 沙央里 写真展
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Rongに学ぶ
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5/18 (木)
~5/24 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
自然と共生したコミュニティ創り―そのインスピレーションを得るため、一年間、東ヒマラヤ(インド)のシッキムとダージリンの村に住まわせてもらった。
ヒマラヤのシッキムに最も古くから暮らすレプチャ族は、自分たちのことをRong(ロン)と呼ぶ。ロンの言い伝えでは、人は死んだら川を遡ってヒマラヤ山脈の一つ、カンチェンジュンガへ還っていくという。何百年もの間、ロンの人々は豊かな森の中で、森の精霊と対話しながら生きてきた。
17世紀にチベットから来たブティア族がシッキム王国を建国し、20世紀初めには英国の政策下、多くのネパール系の人々が移り住み、1975年にシッキム王国はインドに併合された。
ロン、ブティア、ネパリの諸民族が混在し、急激な変化にさらされながらも、変わらず続く大地に根ざした暮らし。
人と自然の繋がりから生まれた知恵、卓越した身体能力、焼き畑で育てられた伝統的な穀物とその多様性、村の人たちの、あたたかさ、逞しさ、誠実さ。
見えてきたのは、人として生きることの原点だった。 (小倉沙央里)
カラー約30点。
作者のプロフィール
小倉 沙央里(オグラ サオリ)
2007年学習院大学法学部政治学科3年卒業FTコース卒業。08年米国レズリー大学大学院で、北米大陸をキャンプ生活で横断しながらフィールドワークを通して生態系や環境教育について学ぶ。在学中にはUNESCOニューデリーオフィスでインターンとして働き、ブータンの国民総幸福を基盤にした教育政策を学ぶ。10年に修士課程修了後、能登のNPO「能登半島おらっちゃの里山里海」を経て、11年からインドの環境系シンクタンク「ATREE」の客員研究員として一年間ヒマラヤで活動。13年から米国カリフォルニア大学バークレー校で「環境プランニング」を専攻。ヒマラヤでの土地利用の変化について研究をまとめるとともに、気候変動、それぞれの土地の生態系に適応した環境デザインについて学び、修士号を取得。サンフランシスコのNGO「アライアンスフォーラム」を経て、16年ジンバブエにてNGO「ムオンデ•トラスト」とともに干ばつに強い伝統穀物について調査。17年からカナダのブリティッシュコロンビア大学にて博士課程に入学。
ホームページ http://saoriogura.info
久保 圭一 写真展
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潮まかせ 風まかせ
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5/25 (木)
~5/31 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
私は生まれ育った地域の撮影をライフワークとしている。今作では三重県南部の漁師町を中心に撮影を行った。
撮影をしていると村の人々が声をかけてくれ、夏の暑い日には冷たいお茶を、寒い日には温かいコーヒーを振る舞ってくれる。また、集落から集落の山道を歩いているときには、次の場所まで車で送ってくれる人もいた。人々のやさしさに惹かれ、土地の豊かさに魅了され、私はここに頻繁に通うようになった。
この地域には定置網(大敷)があるのだが、それはかつて行われていたように、集落共同で運営を行う地網の意味合いが強い。ここには助け合いの精神が息づいている。沿岸漁業は潮任せ、いい潮がくれば魚が獲れる。魚が獲れないといって自然に対して怒ってもしょうがない。
不漁が続いても良い潮が来て大漁になれば、みんな笑顔。大漁旗を揚げて入ってくる船。そこで待つ人々。漁師町全体が笑顔に包まれる。 (久保圭一)
カラー約45 点。
作者のプロフィール
久保 圭一(クボ ケイイチ)
1973年和歌山県古座川町生まれ。那智勝浦町在住。
主な写真展に、2010年「時を忘れしまち」(リコーフォトギャラリーRING CUBE/銀座)、
12年「うみとやまのあいだにあるもの」(キヤノンギャラリー銀座/銀座、キヤノンギャラリー名古屋/名古屋)、13年フォト・プレミオ 2013「あるべきようわ」(コニカミノルタプラザ/新宿)、14年「やさしさ」(伊勢和紙ギャラリー/伊勢市)がある。