Nikon Imaging
Japan
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銀座ニコンサロン 2017年5月

高田 恵 写真展

写真
still
4/26 (水) ~5/9 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

それらは輪郭のはっきりとした動詞や名詞、形容詞というより、何かを仄めかす 副詞や接続詞のようなもの。瞬きの最中に見失った些細なフレーム(コマ)という時間。
活動していた像を止めてしまえば、曖昧な円をした粒子の集合体に静寂が広がる。
朧げな記憶のピースとピースを結びつけるように、繋がっていなかったフレームとフレームを都合良く並べる。
劇的なアクションでもなければ、壮大な景色でもない。肌にしみこむような光に囲まれた中途半端な空間。懐かしさを覚える空気のせいで、目前の光景を夢の断片かと錯覚する。
始まりなのか、終わりなのか、消えるのか、それとも残るのか。
過ぎ去った時間を確認するように、「まだ(still)」という感覚に反応する。
※展示は16mmと35mmフィルムによる写真で構成されています。  (高田 恵)

モノクロ約70点。

作者のプロフィール

高田 恵(タカダ メグミ)
1978年東京都生まれ。アメリカで映画製作を学んだ後、動画広告制作に携わる。現代写真研究所 のクラスを受講。夜の写真学校 28期修了。
写真展(個展)に、2016年「m e g」 (Place M)がある。  

第36回土門拳賞受賞作品展
梁 丞佑 写真展

写真
新宿迷子
5/10 (水) ~5/23 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

新宿駅東口から歌舞伎町の方に吸い込まれるように歩いて行くと、もう胸がドキドキしてくる。人間の欲望が見え隠れする街が歌舞伎町である。その景色が好きで好きでたまらない。
キラキラ光っているネオンの下に、ダンボールを敷いてあおむけに寝ると、これがまた、気持ちいい。なんだか社会という歯車から外れたようで違った角度から自分のこととか色々なことを考えられる。悩んだ時はダンボールが最高だ。
様々な問題もあるが、この街が私は大好きだった。
しかし、2004年から当時の都知事の方針により、「歌舞伎町浄化作戦」また「歌舞伎町ルネッサンス推進協議会」が発足するなど“安全”で誰もが楽しめる街へと・・・
お金を払えば楽しみが買える“クリーンでクールな”街に変わり始めた。それが悪いとは言わない。しかし、それでは他の繁華街と同じだ。
かつての歌舞伎町は姿を消しつつある。

そういうことで、この街はだいぶ変わったが、誰かの『居場所』である事は今も変わらず、あたたかい、寂しさを漂わせている。
この街の、そういうところが当初の魅力が半減した今でも、変わらず私の足を向かわせるのである。
この街の行き先をしっかりと見届けたいと思う。(梁 丞佑)

受賞理由

毎日新聞社主催の第36回土門拳賞選考会には、千代田区一ツ橋の毎日新聞社で2月16日に開かれ、梁丞佑(ヤン・スンウ)氏に決定した。受賞対象となったのは写真集『新宿迷子』(禪フォトギャラリー)。
90人あまりの選考委員から推薦された12作品の中から梁丞佑氏の『新宿迷子』(禪 フォトギャラリー)、太田順一氏の『遺された家―家族の記憶』(海風社)、金山貴宏氏の『While Leaves Are Falling』(赤々舎)、藤本巧氏の写真集『私の中の韓国』(韓国にて出版)の5点が最終選考に残った。
梁丞佑氏『新宿迷子』は新宿・歌舞伎町を「居場所」とする人々、またそこで起こった諍いを夜間に捉えたスナップ・ショットの集大成。モノクロで写し撮られた人々からは裸のままの人間らしい活気に溢れた姿が浮かび上がり、読者は街、人間のもつ強烈な「臭い」に引き込まれる。
「主」を失った部屋のたたずまいを丹念に撮った太田順一氏の『遺された家―家族の記憶』、精神疾患を煩い変わりゆく母親と変わらない家族のつながりを記録した金山貴宏氏の『While Leaves Are Falling』、過激派組織「イスラム国」(IS)に故郷を追われ、逃れて暮らすヤズディ教徒を数年にわたり追った林典子氏の写真集『ヤズディの祈り』、1970年~90年の20年間にわたり韓国で市井の人々の暮らしを記録した藤本巧氏の『私の中の韓国』は梁丞佑氏の作品には及ばなかった。

作者のプロフィール

梁 丞佑(YANG Seung-Woo )
1996年 来日
2000年 日本写真芸術専門学校卒業
2004年 東京工芸大学 芸術学部 写真学科 卒業
2006年 東京工芸大学 大学院 芸術学研究科メディアアート写真領域 修了
現在フリーで活動中

受賞歴
2001年、2004年 フォックス・タルボット賞 一席
2003年 International Photography Awards Other Photojournalism Sec入賞
2004年 PDN Photo Annual 2004 Studentwork Section入賞
2005年 DAYSジャパン国際フォトジャーナリズム賞 日本国内ドキュメンタリー賞
2006年 第9回 新風社・平間至写真賞  大賞、他

個展
2004年 「外道人生」(東京工芸大学芸術情報館ギャラリー)
2005年 「君はあっちがわ僕はこっちがわ」(JCII 日本カメラ博物館)
2006年 「だるまさんが転んだ」(銀座ニコンサロン)
2007年 「LOST CHILD」 (ギャラリーニエプス)
2009年 「青春吉日」(サードディストリクトギャラリー)
2011年 「自ずからに由る」(サードディストリクトギャラリー)
2011年 「君はあっちがわ僕はこっちがわ2」(禅 FOTOギャラリー)
2012年 「the best days」(禅 FOTOギャラリー)
2013年 「We’re shit but champions」(Reminders Photography Stronghold)
2016年 「新宿迷子」(禅 FOTOギャラリー)
2016年 「青春吉日」(ブレッソン・ギャラリー) (韓国・ソウル)

グループ展
2012年 TOKYO PHOTO
2012年 nofound photo fair (フランス・パリ) 
2013年 「青春吉日」( in)(between gallery )(フランス・パリ)
2014年 「桜」( in)(between gallery )(フランス・パリ)
2017年 「さくら」(ブレッソン・ギャラリー)(韓国・ソウル)

写真集
「君はあっちがわ僕はこっちがわ」(新風舍)
「君はあっちがわ僕はこっちがわ2」(禅 FOTOギャラリー)
「the best days」(禅 FOTOギャラリー)
「新宿迷子」(禅 FOTOギャラリー)
「青春吉日」(NOONBIT出版社/ 韓国・ソウル)
「さくら」(NOONBIT出版社/ 韓国・ソウル)

百々 俊二 写真展

写真
日本海
5/24 (水) ~6/6 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

『楽土紀伊半島』を一部とし、『大阪』を二部、そして三部は、『日本海』を撮ると決めていた。8×10の大型カメラ、モノクロームの表現方法を選択した理由は、三脚を据えて、カメラを真ん中に被写体と相対する。どうしても見たい撮りたい対象を選び、持続的に成立させたい関係を求めるためだ。
日本地図をひっくり返して大陸側から見ると、日本海は大きな湖のようだ。日本列島は大陸や朝鮮半島とつながっているように見える。日本海沿岸は、かつて大陸からの文化が入ってくる表玄関だった。
「魂になってもなお生涯の地に留まる」
旅の中で見知る、ここを故郷とする人々と風土の記憶、日本文化の源の神話と伝説の地―日本海沿岸は、少子高齢化と過疎化が厳しい形で進んでいる現実がある。でも萩市のしだれ桜の下で菜園を楽しむ90才、佐渡の海の見える棚田の畝の草を刈る85才、吹雪の利尻島でひっそりと暮らす高齢の夫婦たち。それぞれの土地で根を張り悠々閑々と生きている。その姿は堂々としている。少年少女、子供たちはいつの時代もそうであるようにそこにいる、と感じられる嬉しい出会いがあった。(百々俊二)

モノクロ 55点。

作者のプロフィール

百々 俊二(ドド シュンジ)
1947年大阪府生まれ。
九州産業大学芸術学部写真学科卒業。98年ビジュアルアーツ専門学校・大阪 学校長就任。15年入江泰吉記念奈良市写真美術館館長就任。
主な写真展に、78年「大阪・天王寺」(銀座・大阪ニコンサロン)、85年「新世界むかしも今も」(銀座・大阪ニコンサロン)、92年「衆生遊楽バンコク」(銀座・大阪ニコンサロン)、95-96年「楽土紀伊半島」(新宿・大阪・札幌コニカプラザ)、99年「千年楽土」(銀座・大阪ニコンサロン)、2000年「千年楽土紀伊半島」(奈良市写真美術館)、01年「.com NY」(新宿ニコンサロン)、03年「沙羅双樹」ビジュアルアーツギャラリー、06年「花母」(Gallery OUT of PLACE)、07年「花母」「ベジタブル・キッチン」(Gallery Bauhaus/東京)、07年「Ha-Ha」(FOCALE galerie /スイス)、10年「大阪」(銀座・大阪ニコンサロン、Gallery OUT of PLACE、ZEN FOTO GALLERY)、16年「それぞれの時『大阪』~森山大道・入江泰吉・百々俊二~」(入江泰吉記念奈良市写真美術館)がある。
受賞歴に、96年日本写真協会年度賞、99年第24回伊奈信男賞、07年日本写真芸術学会芸術賞、11年第23回写真の会賞、第27回東川賞

主な著書に、71-77年『地平』1-10号、86年『新世界むかしも今も』(長征社)、93年『HORIZON』(共著)、95年『楽土紀伊半島』、99年『千年楽土』(以上、ブレーンセンター)、03年『沙羅双樹』(組画)、06年『花母』(Gallery OUT of PLACE)、09年『菜園+桜』(VACUUM PRESS)、01年『大阪』(青幻舎)、12年『遥かなる地平』、14年『日本海』(以上、赤々舎)

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