上瀧 由布子 写真展
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糸遊(いとゆふ)
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3/1 (水)
~3/14 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
『糸遊』
(糸遊とは晩秋や早春のころ、空中にクモの糸がゆらゆらと浮遊する現象のことを言います。)
数年前に両親が相次いで旅立ち、今は誰も住む人のいない家を月に一度訪れます。
伸びすぎた庭木の枝には蜘蛛の巣が張り、芝生には雑草が入り交じり、父母が季節の移り変わりを楽しんだ当時の面影はすっかり失われてしまいました。
その庭に独り佇むと、時の経過を感じるとともに、自分の根っこを喪失したような不安定な気持ちが芽生えてきます。
いずれは、手放さなければならないこの家も、父母の気配を感じる今はまだ手放す気にもなれず、少しずつ朽ちていく家の外壁や庭の荒れ模様に、日々のお散歩で出会う風景を重ね合わせるのです。
もしも光の指す方向に手を伸ばしてキラキラと光る蜘蛛の糸を丁寧にたぐり寄せることができるなら、何が見えてくるのでしょうか・・・。
私はそこに微かな望みを見いだしたいのです。 (上瀧由布子)
モノクロ約40点。
作者のプロフィール
上瀧 由布子(コウタキ ユウコ)
1966年東京都生まれ。千葉県松戸市在住。
国立音楽大学器楽部ピアノ科卒業。ピアノ教師、小中学校音楽講師を経て、2012年秋から写真家の中村 誠氏、小宮山 桂氏に師事。
写真展(個展)に、16年「空せ身(うつせみ)」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)がある。ホームページ http://kotakiyuko.com
千田 貴子 写真展
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草のゆりかご
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3/15 (水)
~3/28 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
眩しいくらいの光の中で青々と生い茂る草原を見つめながらいつか寂寥の谷の中に佇んでいる自分を発見した。
慣れ親しんだ土地を離れ、日々は一転、身の回りは目まぐるしく変化していた。
いつの間にか引かれていた境界線が揺るがされ、異なる領域を行ったり来たりと横断する。目には見えないその向こうにある何か、それは時には敢然とした姿で立ち現れ、また消えていった。
気付くと取り囲むすべてのものに儚さと愛しい思いを抱き、私は喪った遠い記憶を立ち返らせることに夢中になっていた。 (千田貴子)
カラー46点。
作者のプロフィール
千田 貴子(チダ タカコ)
1972年東京都生まれ。
写真展(個展)に、2003年「Glass-Walled Hemisphere」(ウィリアム モリス 珈琲&ギャラリー)、「ガラスの半球 Glass-Walled Hemisphere」(銀座ニコンサロン)、「Hemisphere vitre」(Galerie Plus du Sud/アルル)、06年「スモールワールド」(こどじ/新宿)、「Anonymous City」(新宿ニコンサロン、大阪ニコンサロン)、07年「きのうと今日のあいだ」(こどじ/新宿)、「千田貴子作品展2000-2006」(横浜みなと町ギャラリー)、08年「きのうと今日のあいだⅡ」、09年「きのうと今日のあいだⅢ」(以上、こどじ/新宿)、「沙漠の雨」(銀座ニコンサロン)、「Glass-Walled Hemisphere」(Gallery M/ソウル)、10年「櫻」(こどじ/新宿)、「ガラスの半球 Glass-Walled Hemisphere」(Ban Photo Gallery/愛知)、11年「アメリカ・シンドローム」(こどじ/新宿)、12年「かけらの集積」(ウィリアム モリス 珈琲&ギャラリー)がある。
グループ展に、95年「FOTOGRAFIA IN UMBRIA」(イタリア)、96年「東京パンチ」(原宿PAP FACTORY)、01年「第12回ヤング・ジャパニーズ・フォトグラファーズ展」(奈良)、02年「東川自由フォーラム2002 アンデパンダン展」(北海道東川町)、07年「STRATO FOTOGRAFICO 写真の地層展vol.9」(世田谷美術館 区民ギャラリー)、08年「2007年度ヤングポートフォリオ展」(清里フォトアートミュージアム)、「「記憶の小箱」私と祖父を繋ぐもの〜千田貴子+小布施隆俊」(サロン・ド・ヴェール/長野県小諸)、08年グループ13+1展「シルクロードへ -14人の眼-」(ニコンサロンbis)、10年グループ11+1展「シルクロードへ2008 -12人の眼-」(シリウス/新宿)、「Xからのメッセージ」(サロン・ド・ヴェール/長野県小諸)、「GAW展 パートⅦ in西脇」(兵庫)、11年「GALLERY HINOKI ART FAIR XⅢ」(ギャラリー檜/銀座)、「さもあればあれ」(こどじ/新宿)がある。
雑誌では、03年「流行通信(4月号)」、06年「日本カメラ(6月号)」、09年「アサヒカメラ(10月号)」、10年「世界(7月号)」で作品が掲載。フランス国立図書館と清里フォトアートミュージアムに作品が収蔵されている。
小林 惠 写真展
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潮路の譜
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3/29 (水)
~4/11 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
黒潮は台湾の東方から沖縄、奄美、トカラ列島、大隅諸島へと琉球弧を流れる。奄美あたりから太平洋側に向かう本流、その分流は五島、対馬島、日本海へと向かう。その温暖な海流は、島に豊穣をもたらし精神文化を育くみ、また悠久の潮路は幾多の歴史も覚える。
沖縄や奄美の島々では、旧暦の節目の行事が大切に伝承され、海の彼方は楽土でもある。憎めない妖怪「ケンムン」や「キジムナー」が語り話に伝わり、また祭りなどに現れる『仮面神』は南方起源を思わす。
先の大戦で唯一、本土決戦となった沖縄戦は米艦隊の慶良間諸島の砲撃から始まった。慶留間島、座間味島や伊江島でも『集団自決』や『米軍の土地強制収奪』の史実が今も語られている。トカラの島々は、日本の秘境と呼ばれる厳しい生活環境で高度経済成長とともに人口減少で集団移住した島もある。定期船が大型化した今も離島の労苦はあるが、島は変わり始めている。豊かな環境と、穏やかな島時間に魅せられた若者の移住が相次ぎ、島の産業伝承や新しい生業の模索で新しい風が吹いている。
これらの写真群は、沖縄の久高島から、五島列島の小値賀諸島までのいくつかの島々の記録の断片です。 (小林 惠)
カラー65~70点。
作者のプロフィール
小林 惠(コバヤシ ケイ)
1948年香川県豊島生まれ。日本写真専門学校卒。写真家・棚橋紫水氏に師事。広告代理店、福祉施設勤務の後、75年からフリーで写真活動を展開。日本写真家協会会員。
写真展に、74年「この子供たちの奪われたものは」(銀座ニコンサロン)、94年「小さな島を渡る風」(銀座ニコンサロン)、99年「咲く桜」(新宿ニコンサロン)、04年「過ぎしかの日」(銀座ニコンサロン)、2006年「臺灣島の記憶」(コニカミノルタプラザ)、08年「光の祝祭」(津田塾大学 津田梅子記念館)、10年「セイダッカ族・昭和の記憶 櫻と川中島 二つの村で」(新宿ニコンサロン)、「風景色 フクシマノート」(12年銀座ニコンサロン、13年大阪ニコンサロン)、14 年「フクシマノート」(BC Space Gallery/カリフォルニア)がある。15年「TAP review 2015/Spring」(米国)に参加。
写真集に、『心の島』(鯨吼社)、『光の祝祭』(著・小塩 節、日本基督教団出版局)などがある。