銀座ニコンサロン 2017年1月
写真展内容
私は生まれ育った地域の撮影をライフワークとしている。今作では三重県南部の漁師町を中心に撮影を行った。
撮影をしていると村の人々が声をかけてくれ、夏の暑い日には冷たいお茶を、寒い日には温かいコーヒーを振る舞ってくれる。また、集落から集落の山道を歩いているときには、次の場所まで車で送ってくれる人もいた。人々のやさしさに惹かれ、土地の豊かさに魅了され、私はここに頻繁に通うようになった。
この地域には定置網(大敷)があるのだが、それはかつて行われていたように、集落共同で運営を行う地網の意味合いが強い。ここには助け合いの精神が息づいている。沿岸漁業は潮任せ、いい潮がくれば魚が獲れる。魚が獲れないといって自然に対して怒ってもしょうがない。
不漁が続いても良い潮が来て大漁になれば、みんな笑顔。大漁旗を揚げて入ってくる船。そこで待つ人々。漁師町全体が笑顔に包まれる。 (久保圭一)
カラー約45 点。
作者のプロフィール
久保 圭一(クボ ケイイチ)
1973年和歌山県古座川町生まれ。那智勝浦町在住。
主な写真展に、2010年「時を忘れしまち」(リコーフォトギャラリーRING CUBE/銀座)、
12年「うみとやまのあいだにあるもの」(キヤノンギャラリー銀座/銀座、キヤノンギャラリー名古屋/名古屋)、13年フォト・プレミオ 2013「あるべきようわ」(コニカミノルタプラザ/新宿)、14年「やさしさ」(伊勢和紙ギャラリー/伊勢市)がある。
写真展内容
1976年、私は初めてパリを訪れました。10代から憧れていたパリにやっと来たという喜びでいっぱいでした。街並の美しさ、それにも増して、素晴らしい人々との出会いは、掛け替えのないものでした。のちに2度もパリに住むようになり、通算12年にもおよびました。
2015年11月13日 金曜日、パリで同時多発テロが起き、多数の人々の命が奪われ傷つきました。またパリに住む大切な友人アラン・ジュフロアが、12月に亡くなりました。この2つの不幸な出来事は私に言葉にならないほど強い失望感を与えました。彼との記憶、そして沢山の人々との出会いの記憶が走馬灯のように蘇ってきました。
傷ついたパリの人々にとって、その心を癒すのは容易ではありません。しかし、「いつも通りに過ごすこと、それは、テロに負けないということ」パリの人々にそう教わった私にできることは、今までやってきたように人々に会いに行って向き合い、肖像を撮ることでした。
これらの作品は、40年のパリに生きる人々の記録であり、私の写真家としての「原点」と言える作品なのです。 (ハナブサ・リュウ)
モノクロ約60点
作者のプロフィール
ハナブサ・リュウ
1949年大阪府生まれ。70年、銀座ニコンサロンでの写真展「もうひとつなにか」でデビュー。78年から4年間、91年から8年間パリに滞在。東京とパリを中心に活動し、アーティストの肖像、ファッションや料理、ホテルや建築、芸術作品など、ヨーロッパ文化の真髄をテーマにしている。日本写真家協会会員。ニッコールクラブ顧問。
写真展に80年「パリに生きる女たちの肖像」(銀座ニコンサロン)、01年「BAROQUE」(新宿ニコンサロン)、07年「美の王国」(銀座ニコンサロン、大阪ニコンサロン)、15年「身体作品」(銀座ニコンサロン、大阪ニコンサロン)など多数がある。写真集に『フェミニテ パリの女たちの肖像 1979-1983』(思索社)、『プレザンス』(七賢出版)、『BACK』、『PARIS PARIS』(以上、新潮社)ほか多数がある。共著に『ルーヴル美術館』『パリ オルセー美術館』(平凡社)など、著作に『美しいヌードを撮る!』(平凡社)がある。