松本 コウシ 写真展
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泳ぐ夜 其の弐
Castaway in the still night 2
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10/27 (木)
~11/2 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
作者が長年モチーフとしてきた「夜の写真」は、2種類がある。「ヒトとは関係がなかった事象のごとく自らを主張する風景」と「ヒトを受け皿とする夜の街を現した人物スナップ」である。2つの夜は、まるでコインの表と裏のように、決して交わることなく、蓋然性をもって存在すると作者は言う。後者の作品を展示する本展は、2009年開催の写真展「泳ぐ夜」の続編である。
たゆまなく流れる時間、一喜一憂する間もなく上書きされていく記憶。ヒトは矛盾と幻覚に抗い、何処かとりとめのない"物語 = 街"の中で居場所を求め彷徨っていた。
「泳ぐ夜」は、時の流れが残していく形見。時計の針を巻き戻すように人混みの中を歩く。どこかに失ってしまった"時の片"が落ちているはずだ。僕は夜の繁華街で何度もライカのシャッターを切った。真新しい廃墟のような街で時という幻影に埋没するヒトたちに向けて...。夜は制約から解放されたヒトの本能が蠢いている。自分が生きた現実を夜という回想の中で幻影へと変容させているのだろうか?
すべての情報をシャットアウトすれば、時間はいとも簡単に止まる。外的ファクターなどは所詮観念的な表象であったということだ。やがて、自分が生きているほんとうのゾーンだけが浮き上がってくるのだろう。この空っぽの日常に自らの手で如何なる時間を詰め込むのか?
生きること―、 いつしか美しき追憶となるべく時間たちへ― 。
Castaway in the still night
~ ルノワールへ捧ぐ ~
(松本コウシ)
カラー・モノクロ約50点(2点一組)
作者のプロフィール
松本 コウシ(マツモト コウシ)
1961年広島県生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業。84年「京阪沿線」(アサヒカメラ誌)で写真家としてデビュー。
25年以上にわたり、「夜」を写真の分野として追求している。
写真展に、「眠らない風景」(93年~94年キヤノンサロン銀座・名古屋・梅田)、「続・眠らない風景」、2009年「泳ぐ夜」(キヤノンギャラリー銀座・大阪・福岡)、「午前零時のスケッチ」(14年銀座ニコンサロン、15年大阪ニコンサロン)などがある。
写真集に、「眠らない風景1989-2003」(求龍堂)、「続・眠らない風景」(求龍堂)、「泳ぐ夜」(日本カメラ社)、「午前零時のスケッチ」(日本カメラ社)などがある。
宮下 正幸 写真展
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路(みち)の記
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11/3 (木)
~11/9 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
5年前の夏に、作者は関西を地盤とする民放局を定年退職した。そして、取材の相棒役だった可搬型ビデオカメラの代わりに、写真機を提げて街を歩くようになった。
当初は、気分も晴れ晴れと、まさに肩の荷を降ろした思いだったが、やがて、長年の間にこびりついたであろう「癖」に気付かされるようになった。
それは、無意識のうちに、時間軸で捉えるテレビの撮り方のまま、写真の場面に立ち合ってしまうことや、写真機を縦に構え直すと生じる漠とした居心地の悪さであった。「点(瞬間)で撮るな。線(時間)で撮れ」とは、写真の学校を卒業した作者がテレビ局の先輩から言い聞かされたことだが、改めて、テレビと過ごした時間の濃さを意識させられる写真へのスタートであった。
本展は、作者が住む奈良市を起点に、ほぼ、4、50km圏内の、かつてビデオカメラを担いで駆け抜けた大阪や京都の路上を、写真機でなぞり歩いた記録である。あの日々、テレビでは気付けなかった街の姿を、作者は垣間見た気がしている。
モノクロ50点。
作者のプロフィール
宮下 正幸(ミヤシタ マサユキ)
1951年大阪市港区生まれ。73年大阪写真専門学校(現ビジュアルアーツ専門学校 大阪)卒業。76年毎日放送入社。2011年毎日放送報道局映像センター定年退職。
藤本 篤史 写真展
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カーテンコール
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11/10 (木)
~11/16 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
彼の舞台は喝采と共に幕を閉じた。
カーテンで仕切られた境界。
舞台のあちらとこちら。
拍手を送る者と送られる者。
いつかは僕の劇も終わる。
僕が喝采を受ける者になるかどうかはわからない。
しかし今は観客として、僕のただ一人の祖父に拍手を送りたいと思う。
これらの写真を今は亡き祖父に捧げる。 (藤本篤史)
「自分自身」をテーマに写真制作を続ける作者。唯一の祖父が亡くなったことをきっかけに、自らの生といつか訪れるであろう死を見つめ直すシリーズ。
カラー50点。
作者のプロフィール
藤本 篤史(フジモト アツシ)
1991年群馬県生まれ。
受賞歴に、2014年コニカミノルタ「フォト・プレミオ」入賞がある。
米山 洋平 写真展
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光景
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11/17 (木)
~11/23 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
川口駅から10分ほど自転車をこいだところに自分のアパートがあり、そこからさらに10分ほど歩くと川があり、畑もあります。これはそんな自分の近所を歩き回って撮った写真です。
何故、近所を撮ったのかと問われれば、すごく簡単に言うとなんか気楽だったからです。
写真を撮れなくても川の近くに行けば釣りをしているおじさんや、犬を散歩しているおばさんがいて、そののんびりとした雰囲気はどことなく故郷鹿児島に似ているところがあり、それに引き寄せられたのかもしれません。
少なくない距離を歩いたような気もしますが、それでもこの街のことは何も知らない気がします。
ただたくさんの光景を見ました。
そして、それにシャッターを切るということは自分とこの街を一度切り離し、それと同時に目で名づけなおすことだったように思います。 (米山洋平)
モノクロ35点。
作者のプロフィール
米山 洋平(ヨネヤマ ヨウヘイ)
1983年鹿児島県生まれ。
写真展に、2010年「3.141」(Juna21新宿ニコンサロン、Juna21大阪ニコンサロン)、13年「サンポスル」(コニカミノルタプラザ)がある。
日本写真家協会 日本写真保存センター
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渡辺義雄の眼 伊勢神宮 イタリア・モスクワ
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11/24 (木)
~11/30 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
本展では、日本写真家協会の名誉会長を務めた故・渡辺義雄氏の作品「伊勢神宮」(1953年)、「イタリア」「モスクワ」(1956年)の写真原板から、新たにプリントした作品を展示する。写真原版は、同氏の遺族が同協会に寄贈した全作品の資料(写真原板約3万枚、プリント約5,000枚)の一部である。
「伊勢神宮」は、御垣内が初めて写真に収められたモノクローム作品で、式年遷宮の直前に撮影された。地面の白玉石がレフ板の役割を果たし、直射日光を受けた建物全体の素木(そぼく)の柱や千木(ちぎ)、堅魚木(かつおぎ)の飾り金具が光り輝いて、荘厳な建築美を醸し出している。
「イタリア」と「モスクワ」は、第二次大戦が終わって復興が進んでいたイタリア、途上にあるモスクワを訪れて撮影した作品である。西欧の文化や人々の暮らしぶりに対して、日本人の営みの差異を素朴に感じ取り、生きることへのたくましさに驚きの眼差しを向けている。渡辺氏の社会情勢を見る眼の鋭さが、短期間のスナップでありながら的確に表されている。時代を透視した味のある作品群である。
モノクロ約55点。
作者のプロフィール
渡辺 義雄(ワタナベ ヨシオ)
1907年新潟県三条市生まれ。25年小西写真専門学校(現東京工芸大学)に入学。国際文化振興会の写真部門や『NIPPON』の撮影、国際報道写真協会などの仕事に携わる。
53年伊勢神宮の第59回式年遷宮に際し、初の内宮、外宮の御垣内を撮影。以後、73年、93年と遷宮の際に神宮を撮り続けた。58年日本写真家協会会長、日本大学芸術学部教授、71年日本写真著作権協会会長に就任するなど積極的に戦後の日本の写真文化の再興と普及に努める。57年「アジア諸国のすがた」で日本写真協会年度賞、59年「コロンボの声」で世界平和協議会総会銀メダル、90年写真界で初の文化功労者に認定されるなど受賞多数。78年勲三等瑞宝章受章。90年~95年、設立に尽力した東京都写真美術館の初代館長を務め、退任後は名誉館長に就く。日本写真家協会名誉会長、ニコンサロン名誉館長など要職多数。写真集多数。2000年93歳で逝去。
セミナー開催のお知らせ【※要申込※】
日本写真家協会は、松本徳彦(日本写真家協会副会長)氏を講師に迎えて、セミナーを開催いたします。
写真フィルムの劣化対策と保存方法、写真アーカイブの構想や現況、日本写真保存センターの役割とフィルム保存の重要性についてお話を伺います。
ぜひご参加ください。
日時:11月25日(金)14:00~16:00 (受付:13:30~)
講師:松本 徳彦(日本写真家協会副会長)
会場:ニコンプラザ大阪 セミナールーム
申込先:公益社団法人 日本写真家協会 事務局(FAXまたはメールで事前にお申込みください)
FAX:03-3265-7460 メール: info@jps.gr.jp
※入場無料、定員80名、先着順。満席の場合のみ連絡いたします
※申込時ご連絡いただく内容 : 氏名、住所、電話、Eメール、JPS会員か一般か
※「11月25日(金)渡辺義雄展セミナーに申し込みします」と明記願います。