「たまに赤ちゃんで、たまに老人みたいね」
寝転ぶ妹を見て、母が言った。
数年前に実家へ帰ることになった作者は、家にこもりがちに過ごしていた妹の写真を撮り始めた。写真の大半は実家から2～3km圏内の光景だが、年月とともにその様子は少しずつ変化していく。内にこもったり外へ出ようとしたり、揺れ動く4年間の記録である。
カラー49点。
齋藤 茜(サイトウ アカネ)
1984年東京都生まれ。2008年一橋大学社会学部卒業、任天堂株式会社入社。在職中に、京都造形芸術大学通信教育部美術科写真コースに入学、16年同学卒業。退職後、第3回キヤノンフォトグラファーズセッションファイナリストになる。
一度は行ってみたい場所、見覚えのある風景、何度も訪れたい所。
季節を変え、時間を超え、レンズを選び、ファインダーをのぞくとき、目に飛び込んでくる風景はまさに一期一会。
自然光のなか撮影をすることで、季節の色がさまざまな色となり飛び込んでくる。その瞬間こそがわくわくドキドキの瞬間。桜色に染まった湖面、水しぶきに際立つ新緑、真っ赤に燃え上がる紅葉、雪化粧をした白樺並木……。感動が生まれる四季の一瞬。
2011年開催の第5回写真展から、写真展のタイトルを、故・管 洋志氏が名付けた「四季の詩」に改め、第6回となる本展では心に残るカラー写真を展示する。
カラー45点。
【ニッコールクラブ城北支部】
1975年、東京の城北地区周辺のニコン製カメラの愛好家約80名が集まり設立。ニッコールクラブ会長を務めた故・三木淳氏を招き、2回にわたり「写真はこうして撮るのだ」をテーマに講演を行うほか、さまざまなテーマで写真制作に取り組む。2002年に初の写真展「見飽きない写真展」（ニコンサロンbis新宿）を開催。その後、05年、07年、09年、11年に続き、今回で6回目の写真展開催となる。
この写真展は、日本大学芸術学部写真学科4年生による選抜展である。同大学において写真の技術や理論、そして表現領域を専門的に3年間学び、その成果としての作品が優秀であった8名の学生が選抜された。
写真は本格的なデジタル時代を迎え、昨今その技術的な進歩は目を見張るものがある。また、写真が誕生して以来の銀塩写真も未だに健在である。同大学ではこれらの技術を自由に学べ、そこから応用し新旧技術を取り入れたハイブリッドな写真表現も登場している。今後、これらさまざまな写真技術を使いこなし、新たな写真表現に挑戦するのは、今回選抜された学生たちをはじめとする若い世代の力であるという考えのもとに行われる写真展である。
【日本大学芸術学部写真学科】
1921年日本大学法文学部内に芸術学部の前身である美学科を設置。39年日本大学専門部芸術科に写真科を設置。江古田に校舎が移転。49年新制大学設置基準により日本大学芸術学部となる。09年写真学科創立70周年、11年日本大学芸術学部創立90周年、14年写真学科創立75周年を迎え、現在に至る。
本展では、「写真は楽しい！」をキーワードに撮影した作品を展示する。
南北に長い日本には四季があり、春は桜を代表とする花木たちが残雪の山を背景に咲き誇る。その景観は、息をのむような美しさを感じる。足元の公園にもカラフルな花木たちが咲き乱れている。夏は青空を背景に高原を吹き渡る風に涼しさを感じる。秋は寒い冬を迎える前のひと時、木々たちの彩りが最も映える。冬、しんしんと音もなく降り積もる雪は神秘性すら感じる。
このような風景はいつまで残っているかわからない。写真は記録とも言われる。季節ごとの趣を変える自然風景に魅せられて、撮影行で支部員たちが出合った、いつまでも残しておきたい風景を「楽しみながら」捉えた作品である。
カラー42点。
【ニッコールクラブやえす・しゃらく支部】
ニコン塾やニコンカレッジを受講した有志（34名）が集まり、2009年に発足。隔月ごとに撮影会・例会を繰り返し開催し、会員の技術向上を図っている。年に一回、日頃の写真技術の向上と懇親を兼ね、宿泊撮影ツアーを実施。
12年に会員からの発案で第1回支部展（INSTANCE／新宿）、第2回支部展（13年ニコンサロンbis新宿、14年ニコンサロンbis大阪）を開催。
彩の国・埼玉の比企丘陵に小高い物見山が見える。その一面に埼玉県こども動物自然公園がある。その公園内の四季や子供たちが動物と触れ合う姿など、園内に限定し、支部会員個人の視点で撮影した作品を展示する。
カラー45点。
【ニッコールクラブ彩の国支部】
2007年に会員12名により発足。同年から毎月月例会を開き、会員同士の友好と写真技術の向上を図り、毎年の会報フォトコンテストやニッコールフォトコンテストに応募。13年度から支部キャラバンを開始。15年度から10周年記念の写真展を目標にして16年6月まで撮り続け、今回の写真展開催となる。
株式会社ニコン 映像事業部
株式会社ニコン イメージング ジャパン
齋藤 茜 写真展
