森田 剛史写真展
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続 きのくに
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6/28 (火)
~7/4 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
前回の展示を終え、僕は三人の写真行為が変わっていってしまう、もしかしたらこれで『良い思い出ができた』と終わってしまうかもしれないという不安がありました。
そんな僕の心配は本当にくだらないことで、展示をみた祖父と祖母は「こんなんやったらわたしらも撮ってみたいなぁ」と言いました。
なんて元気なじじいとばばあと思いながら僕は急いでカメラを用意。
じいにはニコンのF3、ばあにはペンタックスの67を渡しました。
三人で旅に出て撮影をするという僕たちのやり方に変わりはないですが、被写体、撮影者、アシスタントという境界が今はありません。
“祖父の肖像と祖父の選んだ土地を写し、和歌山という土地を繋いでいきたい”という思いはまだ見る人に伝わる形ではできていないかもしれません。
それでも撮影から発表というひとつの決着を終え、なお続いているこの写真行為の中間を僕はとても愛しく思っています。
この展示をもって三人の関係にまた一つ楔を打ち、次の展開が始まる。
そんなことを考えて、もういちど写真をおきたいと思います。 (森田剛史)
作者のプロフィール
森田 剛史(モリタ タケシ)
1990年生まれ。和歌山県和歌山市出身。2013年東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。
写真展に、13年「平成24年度東京ビジュアルアーツ写真学科卒業制作優秀作品展」(ニコンサロンbis新宿)、「肖像Ⅰ/planar」(J3gallery) 、14年「キノクニ」(Juna21新宿ニコンサロン、Juna21大阪ニコンサロン)がある。
平木 康之写真展
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夜の虫
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7/5 (火)
~7/18 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
何万、何十万枚と夜を撮り歩くうちに、作者は「夜の虫」になった。
被写体という名の餌を求め、あてもなく歩き出すと、それまで気にもとめなかった他の虫たちの存在や足あと、匂いなどが立ち上がって見えてきた。
カラー30点。
作者のプロフィール
平木 康之(ヒラキ ヤスユキ)
1974年東京都生まれ。2011年「GXR MOUNT A12」(リコー)モニターに選出。14年「夜の写真学校」で写真家・瀬戸正人氏に師事。
写真展に16年「夜の虫」(Place M)があるほか、同年9月「熱帯夜(仮題)」(Place M)を予定。
宮下 正幸写真展
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路(みち)の記
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7/19 (火)
~7/25 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
5年前の夏に、作者は関西を地盤とする民放局を定年退職した。そして、取材の相棒役だった可搬型ビデオカメラの代わりに、写真機を提げて街を歩くようになった。
当初は、気分も晴れ晴れと、まさに肩の荷を降ろした思いだったが、やがて、長年の間にこびりついたであろう「癖」に気付かされるようになった。
それは、無意識のうちに、時間軸で捉えるテレビの撮り方のまま、写真の場面に立ち合ってしまうことや、写真機を縦に構え直すと生じる漠とした居心地の悪さであった。「点(瞬間)で撮るな。線(時間)で撮れ」とは、写真の学校を卒業した作者がテレビ局の先輩から言い聞かされたことだが、改めて、テレビと過ごした時間の濃さを意識させられる写真へのスタートであった。
本展は、作者が住む奈良市を起点に、ほぼ、4、50km圏内の、かつてビデオカメラを担いで駆け抜けた大阪や京都の路上を、写真機でなぞり歩いた記録である。あの日々、テレビでは気付けなかった街の姿を、作者は垣間見た気がしている。
モノクロ50点。
作者のプロフィール
宮下 正幸(ミヤシタ マサユキ)
1951年大阪市港区生まれ。73年大阪写真専門学校(現ビジュアルアーツ専門学校 大阪)卒業。76年毎日放送入社。2011年毎日放送報道局映像センター定年退職。
筋野 健太写真展
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長春 2006-2015
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7/26 (火)
~8/1 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
中国・吉林省長春市。10年前の夏、作者が乗っていたタクシーが不意に大通りをそれた。渋滞を避けて裏道の小さな通りを進むと、黄土色の古びた建物が立ち並んでいて、人々のにぎわいがあった。ここはかつての満州国の首都、新京の日本人街跡だった。戦後日本人が去り、主に山東省から長春市に入ってきた人たちの街になった。
しかし作者が訪れたそのころには、もうすでに取り壊しのカウントダウンに入っていた。戦後ずっと住み続けた彼らは「私はこの家で生まれ、育った」と胸を張って言った。建物も人も自然の摂理のように、新たなものへと代わっていく。それらが繰り返され、土地の歴史が作られていく。それは仕方のないことだ。
それでも作者は失われゆくこの街に、身体を置き、往時の日本人たちに思いをはせ、住民たちと同じ時間を共有したかった。そうすれば、自分の存在を確認することができた。逆にそうしなければ自分の心は、スカスカだった。
街が壊されていったある日、作者は蓮の花を持った男を見かけ追いかけた。交差点で立ち止まったので、花のにおいを嗅ごうと、のぞき込んだ。しかしそれは造花だった。カラー約50点。
作者のプロフィール
筋野 健太(スジノ ケンタ)
1980年東京都生まれ。2001年中国・黒龍江大学国際文化教育学院修了。03年中央大学経済学部卒業。