ゴトーマサミ写真展
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Style
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4/28 (木)
~5/4 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
3つの川が1つになり大阪の北部を流れる淀川。その河川敷には今も様々なスタイルが存在する。
その単調な毎日の生活は、痛いような暑さと痺れるような寒さを繰り返し、未来への不安と恐怖に急き立てられながら、永遠に続きそうな不揃いな階段を淡々と上る。孤独と疎外感に包まれ、気が付けばエネルギーは消耗し、逃げだす気力はもうほとんど無い。時にその階段はなんの予告もなく突然終わりを告げることもある。
これは自由なのか、それとも束縛なのか。
そんな多くの失望と暗闇の中、時折一筋の光がふと差し込み、そこにあるものを優しく照らし、ほんの一瞬ではあるが、この理不尽な世界でさえも幻のように美しく見せてくれる。それは微かな希望であり、ほんの少しの安らぎと勇気を与えてくれるようだ。
今日も、淀川の河川敷には、静かな時間がゆっくりと流れている。 (ゴトーマサミ)
モノクロ35点。
作者のプロフィール
ゴトーマサミ
大阪府生まれ。2002年からフリーランスになり、現在、モノクロ専門のレンタル暗室(大阪)を運営。
主な個展に、09年「近所の公園Ⅰ」(ギャラリー遊気Q/大阪)、11年「道草をくう・近所の公園Ⅱ」(NADAR/OSAKA)、12年「Plants portrait」(ギャラリーiTohen/大阪)、14年「淀川スタイル・近所の公園Ⅲ」(Photo Gallery壹燈舎/大阪)、「Drifting」(新宿ニコンサロン、大阪ニコンサロン)、二人展に「Plants」(ギャラリーiTohen/大阪)、「Plants Ⅱ」(ギャラリーiTohen/大阪)がある。
桜井 里香写真展
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岸辺のアルバム
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5/5 (木)
~5/11 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
本展の展示作品は、今、作者が住んでいるところに近い多摩川で起こっている日々の出来事(イベント、コミュニティの活動、災害、護岸工事、事件・事故、等々)を、Facebookで写真関係の知人たちに伝えたいという個人的な思いから始まった。
その反響が予想以上に大きく、多くの人たちに励まされながら、毎日多摩川へ出かけて行き、そこで見たことを一日一枚写真でアップしていくという試みを作者はここ2年ほど継続してきた。
東京や川崎郊外の多摩川流域は、1977年にテレビドラマ『岸辺のアルバム』の舞台になった場所だ。作者はその脚本家である山田太一氏の作品に影響を受けてきた世代でもあり、撮り進めていくうちにこの作品の中の八千草薫が扮する母親の感じている疎外感のような不安定な意識にどこか共感する世代になっていることに気が付いた。
撮影方法はセルフポートレイトで、日々変化していく多摩川の河川敷やそこに集う人々の中に分け入って、そんな作者自身の姿を写し込んだ。他者を傍観したり、イベントに関わったり、時には事件に遭遇することもありながら、今そこに生きる人々の中に踏み込む行為を繰り返していたようだ。
しかし、やがて、予想もしなかったことに作者は気付いた。それは、作者自身の現在が作品の中に露わになっていることである。
現在という時代に生きる一人の女、母親、個人としてその存在に分け入って考えようとする行為がこの作品に繋がっていったのだと作者は思っている。カラー50点。
作者のプロフィール
桜井 里香(サクライ リカ)
1964年東京都生まれ。83年東京都立工芸高等学校デザイン科卒業。88年東京綜合写真専門学校研究科卒業。
写真展に、86年「CONTEMPOLAROIDO Ⅶ」(ポラロイドギャラリー)、87年「写真と記録展」(オリンパスギャラリー東京)、89年「遊歩都市」(ミノルタフォトスペース新宿)、90年「第二回「期待される若手写真家20人展」」(パルコギャラリー)、91年「私という未知へ向かって-現代女性セルフポートレイト展」(東京都写真美術館)、13年「写真の地層展 vol.15」(世田谷美術館)、13年「スクエア25展 vol.11」(京橋ギャルリーソレイユ)がある。
神田 開主写真展
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壁
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5/12 (木)
~5/18 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
心細いまでの人の気配を辿っていった先に現れる白い壁の姿は偉容であり、例えようのないくらい異質である。壁の上に立ちその境界のみをじっと見つめていくとダムという場所のもつ特異な光景が立ち現れてくる。
コンクリートの壁に堰き止められ流れを失ったその際には様々なものが流れ着き、深く濁った澱の中に沈み込んでは漂い出る。
人の手によって管理される秩序的な壁面側とは対照的に、その光景は偶発的かつ流動的で、季節や天候、時間帯の機微によって様々な表情を垣間見せる。その様はまるで地平の向こうに広がる星雲のようであり、そこ(底)は吸い込まれるように深く仄暗い海溝のようでもある。
異なる光景のコントラストは境界をより明確に形づくり、際立たせる。
その対照性が生みだす光景こそが、自然美と人工美の混じり合うダムという場所への尽きぬ興味を確固たるものにしているのではないかと思える。 (神田開主)
モノクロ約20点。
作者のプロフィール
神田 開主(カンダ アキカミ)
1986年埼玉県生まれ。群馬県出身。2009年日本写真芸術専門学校卒業。11年同校研究科修了。
写真展(個展)に、「真昼の夜空」(09年Juna21新宿ニコンサロン、10年Juna21大阪ニコンサロン)、12年「追想の地図」(Juna21新宿ニコンサロン、Juna21大阪ニコンサロン)、14年「地図を歩く」 (銀座ニコンサロン)、グループ展に15年「私はここにいます 9th-The here in there-」(salon-de-vert)がある。
写真集に、14年『地図を歩く-Northern kantō-』(冬青社)がある。
第35回土門拳賞受賞作品展
山内 道雄写真展
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DHAKA
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5/19 (木)
~6/1 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
ダッカへは2013年の5月5日から7月28日までと、2015年の4月22日から7月19日までの2回の渡航で、合わせて半年近く作者は滞在した。バングラデシュの首都・ダッカの人口は約1,500万人である。経済の中心であるモティジール地区と下町風のオールドダッカの間に位置するグリスタン地区に拠点となる宿をとって、作者は人混みの中を歩いた。
ダッカは気さくでその人らしさをまる出しで生活している人が多い印象を受けた。そんな人や街を受け止める気持ちで作者は写した。今回の写真展は、人の息づかいや街の喧噪、光、雨期の湿気、作者の視線などが感じられる、そのときのダッカの生々しい記録となることを作者は目指した。
外輪船や馬車、無数の小さな渡し舟などオールドダッカに広がる昔ながらの街並みは、このままでは長くは存続できないだろうと作者は感じる。世界遺産としてなんとか残せないものか、などと思っている。
カラー40点・モノクロ20点(予定)。
受賞理由
「DHAKA」は、約1,500万人が暮らすバングラデシュの首都・ダッカの下町、市場などの雑踏をエネルギッシュに歩き、そこで出会った人々がつかの間に見せた表情のスナップショットの集大成である。カラーとモノクロで写し撮られたダッカの人々は、裸のままの人間らしい活気にあふれ、見る者は人と人が交錯する息づかいに引き込まれる。
なお、最終選考には、山内氏の作品の他に、画一化されていない昔ながらに続く地方の個人商店を丹念にとらえた池本喜巳氏の「近世店屋考」、地球と人間の営みをグローバルに問い続け、開発や自然災害、都市の崩壊と創造を追い続けた広川泰士氏の「BABEL」、フィリピンに取り残された日系人を訪ね歩き、薄れゆく戦争の記憶に警鐘を鳴らした船尾修氏の「フィリピン残留日本人」の3作品が残った。
作者のプロフィール
山内 道雄(ヤマウチ ミチオ)
1950年愛知県生まれ。早稲田大学、東京写真専門学校(現東京ビジュアルアーツ)卒業。82年フリーランスとして、自主ギャラリーを中心に写真発表を始める。
主な写真集に、『街』(蒼穹舎)、『人へ』(私家版)、『上海』(私家版)、『HONG KONG』(蒼穹舎)、『野良猫』(mole)、『TOKYO、東京』(ワイズ出版)、『Calcutta』(蒼穹舎)、『HOLIDAY』(YK出版)、『TOKYO UP CLOSE』(ラットホールギャラリー)、『東京2005-2007』(蒼穹舎)、『基隆』(グラフィカ編集室)、『人へⅡ』(蒼穹舎)、『DHAKA』(東京キララ社)、『香港1995-1997』(shashasha)、『DHAKA2』(禅フォトギャラリー)がある。受賞歴に、97年伊奈信男賞、2011年林忠彦賞がある。