Nikon Imaging
Japan
プレミアム会員 ニコンイメージング会員

大阪ニコンサロン 2016年4月

岩波 友紀写真展

写真
もう一度だけ/One last hug
-津波に奪われた命-
3/31 (木) ~4/6 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

東日本大震災の津波は、多くの命を奪い去った。津波がほかの自然災害と大きく違うのは、被害にあった人たちがどこにいるかわからなくなることがあることだ。4年半がたった時点でいまだ行方不明者数は2,573人にのぼる。
震災後から現在まで行方不明の幼い我が子を捜す3人の父親を作者は取材してきた。その状況はすべて自然災害だけではない要素を含んでいる。石巻市立大川小学校では地震後も校庭にとどまり続け、避難が遅れたことで多くの児童が犠牲となった。南相馬市原町区萱浜では、原発の爆発によって捜索の自衛隊員や警察官がいなくなった。大熊町でも原発事故によって捜すどころか町に入ることすらできなくなった。助かったかもしれない命、せめて野ざらしにされることはなかった命があった。
「復興」の言葉があふれる中で、父親たちは震災から5年を迎えようとする今も、同じことが繰り返されないことを願いながら、愛する我が子を捜している。あの日から一歩も前に進めない孤独な戦いがあり、続けることを可能にした仲間の支えがあった。願いはひとつ。「もう一度だけ、この手で抱きしめたい」。
カラー22点・モノクロ28点。

作者のプロフィール

岩波 友紀(イワナミ ユキ)
1977年長野県生まれ。フォトジャーナリスト。2001年から活動を始め、アジアや中東、バルカン半島などの写真を撮る。03年から日本の大手新聞社のスタッフフォトグラファーとして、東京や仙台、大阪、福島を拠点に国内外のニュースやストーリーを撮影。現在はフリーとして福島市に居を構え、東日本大震災と福島第一原発事故の取材も続ける。
コニカミノルタプラザ(東京)やOCHA(神戸)などで写真展を開催するほか、Southeast Museum of Photography(フロリダ)、Corden|Potts Gallery(カリフォルニア)、THE POWER HOUSE ARENA(ニューヨーク)などで作品を展示。受賞歴に、「フォト・プレミオ」(コニカミノルタ)、「Prix de la Photographie Paris」銀賞、「CRITICAL MASS TOP50」などがある。オンライン新聞「The PHOTO JOURNAL」主宰。

宮嶋 康彦写真展

写真
地名(ぢな) 妣(はは)の國(くに)から
4/7 (木) ~4/13 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

地名(ちめい)は文化であり、風土を統括した貌を持つ。人々の暮らしに寄り添い、一人ひとりの命と歴史と交差している。
2006年ころから、作者は国内各地の心ひかれる地名を旅してきた。古い土地の名前が消滅していくことへの危機感もあった。初めて訪れる町の、初めて触れる土地の名前は、どこか、懐かしさを伝えた。おそらく、靴底が土地の来歴に触れるからに他ならないからだろう。
日本の各地を歩きながら、なんども作者が訪問することになったのは山陰の村里であった。鳥取と島根には、記紀神話を背景にした、日本の原形ともいうべき地名が受け継がれている。「八雲」「夜見ケ浜」は神話的だが、「森坂」「鵜峠」などは土地柄を表し、「神庭(かんば)」「八雲」には日本人の心性が表れている。そしてなによりも、いつの間にか作者は、地名を詩のように感じるようになった。
撮影した肖像写真が女性なのは、その母性が出雲と伯耆の産土神と婚姻をし、はらみ、産み、生きる人々という幻想の所産である。

作者のプロフィール

宮嶋 康彦(ミヤジマ ヤスヒコ)
1951年長崎県生まれ。文章の富と写真の富を融合させて、新たな富を創出する試みを続けている。原料の楮(こうぞ)から育てた自作の手漉き和紙に、プラチナプリントを行う作品を制作。
受賞歴に、85年「ドキュメントファイル大賞」がある。主な著作に『脱「風景写真」宣言』、『写真家の旅』、『汎自然』、『母の気配』などがある。
宮嶋康彦写真塾主宰。立教大学異文化コミュニケーション研究科兼任講師を歴任。東京造形大学写真専攻領域講師。

juna21 平野 敦写真展

写真
Slumdog
4/14 (木) ~4/20 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

~俺たちはスラムドッグだからさ。だけど、自分の家族、仲間、仕事には誇りをもっているよ~

2013年7月、作者はインドの大規模スラムであるダラヴィスラムを訪れた。ダラヴィスラムの主な仕事はリサイクル業で、いたるところにリサイクル工場が所狭しと並んでいる。アルミニウム工場では朝9時頃から作業が始まる。まずアルミニウム製品を細かく粉砕したものを炉に入れ、熱しドロドロになるまで溶かす。昼過ぎにはさらに粉を追加し、かさを増していく。粉を追加するたびに黒煙とともにアルミニウムが舞い、作業をしている男たちの服は瞬く間に黒ずんでいく。夕方には屋根の隙間から光が差し込み、黒煙と混ざり合いながら光の筋となって工場内を照らしている。

スラムドッグとはスラムの負け犬という意味である。
この言葉が使われたのは、08年に上映された『スラムドッグ・ミリオネア』である。この映画のモデルになったダラヴィスラムで、作者は仲良くなった人たちに「自分がスラムに住んでいることをどう思う?」と質問した。
「早くスラムを出てもっと楽な暮らしをしたい」という答えが返ってくるに違いないと思っていたが、彼らは「ダラヴィスラムで仕事をすることに誇りを持っている。この仕事は自分にしかできないことだから」と口を揃えて答えた。
貧しい人々が暮らすスラム地区というものは、確かに貧しい街なのかもしれない。しかし、彼らはそこで自分の家族、仲間、仕事に誇りをもって日々を生きている。

作者のプロフィール

平野 敦(ヒラノ アツシ)
1992年東京都生まれ。14年日本写真芸術専門学校卒業。同年から株式会社アキューブに勤務。

juna21 小須田 翔写真展

写真
TOKYO Riverbed
4/21 (木) ~4/27 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

本展では、東京の都市部を取り巻くように存在する、荒川および多摩川の河川敷を撮影した写真を展示する。
土手道を歩きながら、ふと開けた河川敷の隅に目をやると、草木が隆々と茂っている場所がある事に作者は気づいた。それは河畔(かはん)林(りん)と呼ばれる場所で、河川に沿うように繁茂した森林を指す。都市部では防災上の観点から定期的に伐採されることが基本であるが、自然保護の目的で残されていたり、水生生物や野鳥の生態系を保つために人工的に作られることもある。
闇に浸っている河畔林に作者は足を踏み入れる。
シルエットだけが残された木々の間から、色づいた不自然な夜空が見える。手の届く距離にある物体を認識できないのに、遠くの明かりがやけに光って見えることを不思議に感じる。どこか遠い場所に来てしまったようで、作者の恐怖心をより一層引き出すのであった。

子供の頃に見た木々の細部や、風に揺れる葉先も、暗やみの一部としてほとんどが隠されている。作者には捉えることができない秘密めいた日常が、違った形で送られているようだった。私たちが眠るすぐそばで、私たちの意思とは関係なしに、植物たちは好き勝手に繁茂と枯渇を繰り返しているのであった。カラー約30点。

作者のプロフィール

小須田 翔(コスダ ショウ)
1985年東京都生まれ。2010年日本写真芸術専門学校フォトアートコース卒業。
受賞歴に、14年「キヤノン写真新世紀」佳作、15年「写真1_WALL」審査員奨励賞がある。

ゴトーマサミ写真展

写真
Style
4/28 (木) ~5/4 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

3つの川が1つになり大阪の北部を流れる淀川。その河川敷には今も様々なスタイルが存在する。
その単調な毎日の生活は、痛いような暑さと痺れるような寒さを繰り返し、未来への不安と恐怖に急き立てられながら、永遠に続きそうな不揃いな階段を淡々と上る。孤独と疎外感に包まれ、気が付けばエネルギーは消耗し、逃げだす気力はもうほとんど無い。時にその階段はなんの予告もなく突然終わりを告げることもある。
これは自由なのか、それとも束縛なのか。
そんな多くの失望と暗闇の中、時折一筋の光がふと差し込み、そこにあるものを優しく照らし、ほんの一瞬ではあるが、この理不尽な世界でさえも幻のように美しく見せてくれる。それは微かな希望であり、ほんの少しの安らぎと勇気を与えてくれるようだ。
今日も、淀川の河川敷には、静かな時間がゆっくりと流れている。 (ゴトーマサミ)

モノクロ35点。

作者のプロフィール

ゴトーマサミ
大阪府生まれ。2002年からフリーランスになり、現在、モノクロ専門のレンタル暗室(大阪)を運営。
主な個展に、09年「近所の公園Ⅰ」(ギャラリー遊気Q/大阪)、11年「道草をくう・近所の公園Ⅱ」(NADAR/OSAKA)、12年「Plants portrait」(ギャラリーiTohen/大阪)、14年「淀川スタイル・近所の公園Ⅲ」(Photo Gallery壹燈舎/大阪)、「Drifting」(新宿ニコンサロン、大阪ニコンサロン)、二人展に「Plants」(ギャラリーiTohen/大阪)、「Plants Ⅱ」(ギャラリーiTohen/大阪)がある。

ニコンイメージングプレミアム会員
ニコンイメージング会員