飯沼 珠実写真展
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FROM LE CORBUSIER TO MAEKAWA
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9/1 (火)
~9/7 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
2013年に東京藝術大学に入学して以来、上野の森が作者の通学路になった。そこには、ル・コルビュジェの日本で唯一の建築、国立西洋美術館がある。それに向かい合う位置に前川國男の東京文化会館がある。前川國男は、ル・コルビュジェの弟子で、国立西洋美術館の建設をサポートし、またその別館を手がけた。その先を進むと、木々の隙間から、ダークトーンの赤紫色をした煉瓦の積み重なりが見えてくる。作者が上野の森で一番好きな前川建築、東京都美術館だ。
東京都美術館は、森と対話をしているようにみえると作者はいう。森が見せる多様な表情、毎日の天気や日差し、流れる季節と、繰り返す木々の繁茂と落葉、そういった自然の営みに、この建築は呼応しているように感じる。東京都美術館の呼吸、上野の森との関係性や距離感の調律は凛々しく、同時に日本人らしい奥ゆかしさがきらめいている。
前川建築を撮影していて、ふと「わたしもこんなふうに歳を重ねていきたい」と憧憬を抱いている自分に作者は気づいた。建築を撮っていたはずだが、それはどうやら人間を撮ることと、ほとんど同じことのようなのだ。
カラー24点。
作者のプロフィール
飯沼 珠実(イイヌマ タマミ)
1983年東京都生まれ。2006年武蔵野美術大学卒業、08年多摩美術大学大学院博士前期課程修了。08年から13年までドイツ・ライプツィヒに滞在(10年度公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修員)。13年より東京藝術大学大学院博士後期課程およびシテ・インターナショナル・デザール・パリにて、研究制作活動に取り組んでいる。
Jui 写真展
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Through the Wormhole
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9/8 (火)
~9/14 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
ワームホール(Wormhole)とは、時空に空いた虫食い穴のことである。異なる世界をつなぐ抜け道として、ここは何もかもあると同時に何もかもない流動的な世界である。
見えないリアリティも含めて多重な現実と共に生きることで、複数の世界のあいだを交差しながら、どこにも行けることと、どこにもいけなくても生きていける喜びを身体で覚える解放的な一瞬である。うごめく生命の原初へ潜りながら、軽やかに空へ飛翔することを繰り返すことによって、ここは生き生きとするわれわれの生命の戯れの場所である。通り抜けること、世界をめぐる経験を一新することで、我々はとどまりなく世界の鮮烈さに出会うことになるでしょう。
「作品が存在することとは、ひとつの世界を開けて立てることを意味する」(ハイデガー)。
イメージなき写真を求め、言葉に表わせない知覚しえぬ何かをいかに可視化するという写真の実践的活動を通して、わたしは今、「あるある」と「ないない」の間 ―この厚みのある豊かな沈黙の中間地帯に身を委ねている。一つの神聖の闇をくぐり抜けた先は、ライトボックスのように光っている。(Jui)
カラー18点。
作者のプロフィール
Jui
1970年中国杭州市生まれ。95年来日(後に日本国籍取得)。
主な写真展(個展) に、2007年「カフカラス」(新宿ニコンサロン)、09年「CAOSMOS」(新宿ニコンサロン)、13年「Catching the Bird」(銀座ニコンサロン)、14年同展(大阪ニコンサロン)がある。
全日本写真連盟
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全日本写真展2015
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9/15 (火)
~9/21 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
本展は、「国際写真サロン」、「日本の自然」とともに全日本写真連盟が主催する代表的な公募写真コンテストで、一般の部、高校生の部の2部門で作品を募っている。
43回目を迎える今年のテーマは、身のまわりの暮らしや風俗、人間の営み、政治経済に至るまで、“あなたのセンスで現代を切りとろう”である。展示する作品には、変貌する都市や農村、地方に残る昔ながらの暮らしなど、全日本写真連盟の会員をはじめとする全国のアマチュアカメラマンや高校生が、足で歩いて捜し出した“現代のひとコマ”が写し出されている。
本展では、入賞作品一般の部113点、高校生の部44点、合計157点を展示する。大阪ニコンサロンや全国の主要都市を巡回するほか、全入賞作品を収録した作品集の制作も行う。
モノクロ・カラー計157点。
グループのプロフィール
全日本写真連盟は1926年(大正15年)に創設され、朝日新聞社が後援する全国的な組織で、現在約1万4,000人の会員を擁する写真愛好家の団体である。
初沢 亜利写真展
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沖縄のことを教えてください
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9/22 (火)
~9/28 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
2012年に東北被災地、北朝鮮の写真集を出版したのち、作者は次のテーマを沖縄と定めた。
ニュースを見ていてもなかなかわからない沖縄のこと。知りたいと思っても、複雑過ぎて内実が見えない。作者は13年後半から1年3カ月にわたり滞在し、そこに住む様々な立場の人たちと徹底的に対話をもち、本島中を駆け巡り撮影を続けた。
感情を学べるような1冊を作りたい。それが長期滞在の目的だった。14年から15年、沖縄は想像以上に激しく揺れていた。政治を抜きにして語りようのない1年だった。
辺野古の現場にも足繁く通った。この島では、まだ戦後が終わっていなかった。基地反対運動は日常の延長線上に存在していた。本土復帰から43年、常に我々の都合で沖縄を語り、一方的にイメージ化してきたことに作者は改めて気付かされた。
戦後70年を経て、日本人としてどのように沖縄に向き合うべきか?
「楽園イメージ」の内奥にある多様な現実に眼を向けながら過ごした日々を報告し、共に考える2015年下半期にしたいと作者は思っている。
ジャーナリズムではない。あくまでも個人的な眼差しの報告である。
作者のプロフィール
初沢 亜利(ハツザワ アリ)
1973年フランス・パリ生まれ。上智大学文学部社会学科卒。第13期写真ワークショップ・コルプス修了。イイノ広尾スタジオを経て写真家としての活動を開始する。第29回東川賞新人作家賞受賞。
写真集に『隣人。38度線の北』(徳間書店)、イラク戦争開戦前後のバグダッドを撮影した『Baghdad2003』(碧天舎)、東日本大震災翌日から1年を追った『True Feelings -爪痕の真情-』(三栄書房)がある。15年に写真集『沖縄のことを教えてください』(赤々舎)を刊行。
岸本 絢写真展
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彼の地
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9/29 (火)
~10/5 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
敷居を跨ぐと広がる景色は、作者に田舎の古民家を訪れた様な錯覚を抱かせた。海を渡った彼の地には、祖国の断片が残されていた。
終戦直後まで日本の統治下にあった台湾と韓国には、その当時日本人によって築かれた家屋が未だ現存している。戦後彼らは帰国を余儀なくされ、多くの家屋は取り壊される。一方残されたそれらは、現地の人々の住まいとして利用された。時を経て家屋は形を変えていく。それでもなお家々からは、祖国を離れた先人たちの生活の匂いを感じ取ることができる。
日本の外に今もなお生き続ける日本。そこに満ちる空気は、いびつに積もった時間を感じさせる。住居という空間を通して、植民地の歴史の痕跡を垣間見る。モノクロ約30点。
作者のプロフィール
岸本 絢(キシモト アヤ)
1989年大阪府生まれ。2012年上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業。15年日本写真芸術専門学校フォトフィールドワークゼミ卒業。