大坪 晶写真展
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Shadow in the House #01/#02
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7/28 (火)
~8/3 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
Shadow in the House シリーズは、複雑な歴史を持つ家の室内に影を配して撮影している。場所は、チェコ共和国のプラハと奈良の大和郡山で、二つの家は所有者が重層的に入れ替わり、現在は公共施設として使用されている。
影は心理学的には生きられなかった自己の中に存在する他者であり、哲学者プラトンは、われわれが現実に見ているものはイデア(姿)の影に過ぎないと仮定した。
作者は、写真に長時間露光によって影を写し込むことにより、記憶の重層性について考え、個と社会、記憶と記録の関係性について提示している。
「Shadow in the House #01」
チェコ共和国プラハにあるBehal Fejer Institute(べトナ・ホラー・インスティチュート)は、1928年に個人の邸宅として建設された。第二次世界大戦中は軍事的に占領され、戦後の共産主義体制の元、政府から教会に貸与された。所有者のべトナ・ホラーは、政府により全ての私有財産を奪われ、家族とともにアメリカに亡命した。ホラーはその後故郷プラハに帰ることはなかった。1989年のビロード革命により、共産主義体制は崩壊した。その後、遺族が返還請求の裁判をおこし、2001年に返還された。現在、この施設は孫のIlona Wiss(イロナ・ウィス)によって管理されており、公共施設として人々を受け入れている。この写真群は、イロナの協力によって、歴史的背景と彼女が担父から聞いたいくつかの逸話をもとに撮影したものである。
「Shadow in the House #02」
旧川本邸(奈良県大和郡山市)は大正時代に建設された。1958年まで遊郭として使用され、風営法の制定により遊郭を廃業した後には、客を接待していた小部屋は下宿として間貸しされた。
2010年市民のボランティアにより改修が開始され、現在は市の指定管理施設として町の保存団体が管理している。14年に登録有形文化財に指定され、今後、市による耐震化工事を経て、本格的な活用が始まってゆく。今回は、奈良芸術祭「はならぁと」のプロジェクトの一環としてキュレーターや保存団体の方々の協力を得て撮影を行うことができた。この邸宅には、当初遊郭として多様な人々が行き来し、その後間借りした人々が生活した痕跡が部屋の随所に存在している。カラー15~20点。
作者のプロフィール
大坪 晶(オオツボ アキラ)
1979年兵庫県生まれ。2011年東京藝術大学先端芸術表現科専攻修士課程修了、13年プラハ工芸美術大学(AAAD)M.F.A。
写真展に、「Shadow in the Mirror」(11年Juna21新宿ニコンサロン、12年Juna21大阪ニコンサロン、14年奈良芸術祭「はならぁと」(奈良県大和郡山)、14年Gallery UNITE KYOTOGRAPIE KG+(京都)などがある。
海外の写真展では、12年DOX プラハ現代アートセンター(チェコ・プラハ)、13年MUNIKAT gallery (ドイツ・ミュンヘン)、同年B?hal Fejer Institute (チェコ・プラハ) 、同年Nordart2013(ドイツ・レンツブルグ)などがある。
中川 隆司写真展
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Historic Road Route 66
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8/4 (火)
~8/15 (土)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休 ※8/16(日)・17(月)休館
写真展内容
その道は、すでに地図上から姿と表記の両方が消滅し、文字通りヒストリックな道となりつつあるRoute66。歴史が浅いアメリカという新しい国にあって、かつてのフロンティアスピリットの歴史をアナログな姿で垣間見ることのできるこの道は、過去に断片的ではあるが何度も走っていた。今回は全走破を試みる事によって、あらためて時空を超越した旅の中に身を浸してみたかった。
この数千キロの長い道の途中には、いくつものヒストリックポイントが点在している。 自分も含め人はどんな小さく些細な歴史でも、それを大切に胸に秘める傾向がある。過去を振り返ることは、ノスタルジーだけにとどまらない、その時に経験した思いと時間が蘇り、胸かきむしられるほどの情感が込み上げてくる事も多々ある。
数十年の時を経てヒストリックポイントのモニュメントは、見事に時代の中で本来の役目を終え、静かに余生を送っている。しかしその反面、アメリカ人はこのように短い歴史の中でも建国スピリットを大切に現代に受け継いでいて、それが人々の中で未だに流れ続けていることも事実だ。それは彼らが作り上げた合衆国という多民族国家が、 短期間に出身国の違う白人が先住民と打ち解けかつ力で制圧し、西へ向かって進出しなければならない使命を完結させているということだ。赤の他人と友人関係を結ぶツールは笑顔と親しみやすいそのキャラクターだっただろう。この道はそんな親しみの最大公約数のアイコンを各地に刻み、整備されながら西へ向かって伸びていった。
アメリカンノスタルジックだけで語れない道、そして今は寸断され、役目を終えたRoute66。古いダイナーやおんぼろピックアップ、ビルボードにアメリカングラフィティに彩られる古き良きアメリカのイメージがすっかり定着した日本で、それらだけがこの道を代表するものではない事を知ることは大切なことだろう。
人々の明日への想いを乗せて大陸を切り開き、その役目を終えたヒストリックロード。 多くの人々の思いはこの道の路面に塗り込められノスタルジーとなり中空を風と共に舞っていた。(中川隆司)
カラー約50点。
作者のプロフィール
中川 隆司(ナカガワ タカシ)
1959年岡山県生まれ。78年東京造形大学映像学科卒業。
写真展(個展)に、91年「put them side by side」(スタジオエビスフォトギャラリー)、92年同展(佐賀町ブリュス)、98 年「analog and digital photography BMX Free style」(スタジオエビスフォトギャラリー)、04年「N・Y・O」(ギャラリーロケット)、06年「Border Line 」(銀座ニコンサロン)、06年「Border Line 」(ギャラリーローカス)、09年「On The Road」(gallery bauhaus)、13年「american suburbia」(銀座ニコンサロン)、グループ展に10年「THE COLLECTION」(gallery bauhaus)、11年「THE COLLECTION 4周年展」(gallery bauhaus)、14年「THE COLLECTION」」(gallery bauhaus)、同年「フォトマルシェ展」(アクシスギャラリー)がある。
今井 宏写真展
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Another Planet
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8/18 (火)
~8/31 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
急峻な山間にある母の実家で何度となく夏休みを過ごした作者にとって、ダム建設や地滑り改良の現場で働く技師たちはとても身近な存在であった。そんな人々の汗の結晶である構造物と自然の織りなす景観は、少年時代の作者にとっていつの日か尊いものになっていた。その後進学して土木工学を専攻しながらもITの世界に進んだ作者は、都会での忙しい仕事の日々に没頭していた。
そんなある日、羽田空港に向かう航空機の窓から見えた房総半島の自然と開発によって織り成された混沌とした光景に惹きつけられた。以来何度となく現地を訪れては、まるで異星(Another Planet)を探査するように撮影をした。
我々は我が家の裏庭で起こることには疎いものだが、目に見えない世界とばかり繋がるネット社会ではことさらであると作者は思う。
本作品の発表を通じて、まさに東京の裏庭である房総半島の驚きの光景や、その尊さを伝えたいと作者は願っている。モノクロ40点。
作者のプロフィール
今井 宏(イマイ ヒロシ)
1963年東京都生まれ。東北大学工学部土木工学科を卒業後、外資系IT会社に勤務。渡部さとる氏や金村修氏のワークショップで写真を学ぶ。
国内・海外のコンペで数多く入選し、六甲山国際写真祭を始めとする国際的なイベントで写真家として活動中。2014年に神戸ポートアイランドをテーマにエプサイトギャラリーで写真展を開催し写真集を発表。