Nikon Imaging
Japan
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大阪ニコンサロン 2015年4月

松本 コウシ写真展

写真
午前零時のスケッチ ONE OF THESE MIDNIGHT SKETCHES
3/26 (木) ~4/1 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

解体される古い社宅、その前で博物館への旅立ちを静かに待つ0系新幹線。同じ時代にあって同じように役目を終えたモノ達だが、それぞれには異なった将来が待っている。出発はいみじくも午前0時だった。
今の世の中は物質としての寿命ではなく、ヒトが必要とするか否かでモノの在り方(運命)が変わる。
消えゆくモノたち、残されるモノたち……
だがこれらのモノたちが時間や時代を超え、ひとつの風景・事象として夜、俄に立ち上がる瞬間がある。ヒトの手を離れた風景達は、闇という摩訶不思議な時空間の中で、誰も知らないドキュメンタリー(物語)のクライマックスをひっそりと迎えていた。
作者は25年の間、ライフワークとして夜を彷徨し、写真を撮ってきた。誰も見たことのない光景、自分の想像力を超えた何かを探し見つけたい―、ただそれだけのセンチメントが、夜という摩訶不思議な時空間に作者を縛り付け、地図のない旅へといざなった。
本作は全国22府県を7年の期間を費やし、当て処もなく風景との出逢いを求めた作品集である。カラー35点・モノクロ8点。

作者のプロフィール

松本 コウシ(マツモト コウシ)
1961年広島生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業。84年「京阪沿線」(アサヒカメラ)にて写真家デビュー。
写真集・著書に「眠らない風景」「続・眠らない風景」「泳ぐ夜」「午前零時のスケッチ」などがあり、25年間にわたって、夜という写真分野を追求している。

百々 武写真展

写真
草葉の陰で眠る獣
4/2 (木) ~4/8 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

作者は東京から奈良に生活の場所を移し、日々の暮らしのなか、緑豊かな奈良は単純に美しいと思った。
奈良盆地から吉野へ向かうと熊野古道が現れる。林道を登り辿り着いた山間の集落で、土や水に触れながら暮らす人に出会い、すべてが圧倒的な存在でこちらにむかってきた。
台風や大雨による崩土による被災、大雪などの自然災害。産業がないことで進む少子高齢化、切実な現実がある。しかし自然とともに根を張った人の暮らしが強烈で、生き生きと輝いていた。
自然や動物、人間も交わりながら、あるがままを受け入れ生きるもの同士が、ただ生命を生きている。気の遠くなるような時間を渾然一体となって風土の形成は続く。
風景は人がいることで成り立つことを教えてくれる。自然とともに生きることの豊かさを体感させてくれる人との出会いが僕の記憶を呼び起こす。季節が巡るように生命が巡り、生と死のグラデーションが土地に生命を芽吹かせ、世界に豊かな色彩を与えていた。奈良県吉野以南を巡り奈良の風景というより日本の原風景にたどり着けたように思う。カラー80点。

作者のプロフィール

百々 武(ドド タケシ)
1977年大阪生まれ。ビジュアルアーツ専門学校・大阪卒業。自然と密接に関わりながら独自の風習を育んでいる日本列島に点在する離島を巡る作品を写真集、写真展で発表。奈良県吉野以南を主に撮影した写真集「草葉の陰で眠る獣」は2015年1月、赤々舎より刊行。
主な写真展に、2001年「西蔵行路」(新宿ニコンサロン)、05年「潮のみち」(再春館ギャラリー)、07年「矢切の渡し」、09年1月「波浪」、2月「波流」(以上ギャラリー街道)、7月「島へ」(ビジュアルアーツギャラリー・大阪)、10月「Voyages」(パリ日本文化会館/フランス)、12月「Voyages 日本の新進作家展」(東京都写真美術館)、10年「八咫烏」(1月ギャラリー街道・4月こどじギャラリー)、4月「海流のなかの島々」(心斎橋アセンスギャラリー)、11年「島波」(ビジュアルアーツギャラリー・大阪)、12年「海流 Quiet Boys展」(MIO PHOTO OSAKA)などがある。

市川 恵美写真展

写真
日日の木(にちにちのき)
4/9 (木) ~4/15 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

2011年3月、福島第一原発事故から間もなく、初産をひかえた娘が里帰り避難をしてきた。作者は身重の娘と近くの佐鳴湖を散歩する日々が始まり、一本のヤナギの木まで歩くのが日課となった。その木は名木でもなければ稀少種でもない。何の変哲もない日常の光景を象徴して立っていた。その木は、人の世の日日の暮らしの、取り立てて語ることもない普通の明け暮れが、何よりも幸せではないかと教えていた。
撮り続けたヤナギの木は、風雨に晒され、次第に傾き、倒れかかり、今年に入って、ついに地面に倒れた。命あるものの無常の理に心を乱された。ところがある日、倒れた木の幹に若い芽を見つけたのだ。一本の木は土に還って行く。しかしそこにまた新しい命が生まれるだろう。
撮影にかけた三年余の間に、娘は二人目の出産を果たした。新生の命は太陽の光を浴びて、すくすくと育っている。カラー45点。

作者のプロフィール

市川 恵美(イチカワ エミ)
1948年生まれ。「アサヒカメラ」年度賞一位を始め、「日本カメラ」「フォトコンテスト」各誌で年度賞(2000年~)受賞。2011年第17回酒田市土門拳文化賞受賞。日本写真協会会員。
主な写真展に、05年「佐鳴湖日記」(ニコンサロンbis21)、10年「うらうへ」(新宿コニカミノルタプラザ)、11年「うらうへ」酒田市土門拳文化賞受賞作品展(土門拳記念館・新宿・大阪ニコンサロン)、12年「Free radical」(ギャラリー・コスモス/東京)などがあり、写真集に『うらうへ』(冬青社・10年)、『Free radical』(iPad専用フォトアプリ App store・12年)、雑誌掲載に「佐鳴湖日記」(フォトコンテスト・05年10月号)、「うらうへ」(日本カメラ・10年3月号)、「Free radical」(アサヒカメラ・12年11月号)、同(ニッコール年鑑2011-2012)などがある。
作者Webサイト http://www.emi-ichikawa.com/

juna21 蕭 又滋写真展

写真
列車プロジェクト ―台湾
4/16 (木) ~4/22 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

本展は、一人の個体が人群にいる時に最も無防備な表情を撮影した作品である。
このシリーズでは、作者はできるだけ駅構内や踏切など人の混雑するところを避け、線路に隣接する人気のない場所から撮影した。
高速で走り抜ける列車の窓をフラッシュで連続撮影し、乗客の表情を捉える。このような撮影方法は、客観的視点から、列車の種別の相対的な違いによって示された空間や社会的効果を研究する意味もある。乗客たちの奇妙な姿勢や眠い表情は、作者に無意識や夢などの心理学的な精神状態を連想させた。
なお作者は、本展開催のため写真を整理し、解読するプロセスを通じて、列車のような公の場所で生じる空間性や台湾列車の文化性などの問題を示唆することができ、一人ひとりの表情より、列車の中にいる人々の関連性や状態の類似性などの問題に着眼しようとしている。
また、人間は個人主義の枠のなかでは、かえってより他人と交流することを強く求めていくという欲望があるように思っている。カラー58点・モノクロ1点。

作者のプロフィール

蕭 又滋(Arron Hsiao)
1980年生まれ。2004年国立中山大学卒業(電気工学専攻・修士)。11年視丘写真芸術学院卒業(台北)。12年写真新世紀佳作、第7回写真「1_WALL」ファイナリスト。
写真展に、11年「雨傘」(個展:視丘写真芸術学院/台北)、12年「小徑」(グループ展:ガーディアン・ガーデン/東京)、「列車計畫」(グループ展:東京都写真美術館)、13年「星體的殞落」(個展:八樓當代藝術中心/台北)などがある。

juna21 瀬頭 順平写真展

写真
コミュニケーション
4/23 (木) ~4/29 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

作者は街中を歩き回ってスナップを撮っていたが、最近は直感的に共感できると感じた人に、その場で写真を撮らせてもらうようになった。
相手には「ただレンズをじっと見て欲しい」とお願いし、撮影中も無言でただお互い向き合っているだけだが、全力で相手を見ると相手も全力で見返してくれる。
初対面の人と無言で向き合うのでお互いに緊張するが、それでも余計な先入観が無く相手の視覚的な個性をストレートに感じることができるように思う。また、お互いに向き合っている短い時間、会話は無くても作者と被写体との間には連帯感のような不思議さが生まれてくる。凝視することで何かしらの発見があり、その度に感動してシャッターを切る。
写真を見返すと、無言の時間に被写体に浮かんだ表情には「何か」が写っているように見える。言葉の無いコミュニケーションを、表情が代行しているのだろうか。われわれが気付かずに遣り過ごしている表情の断片を、カメラは偶然切り取ったのだろうか。
写真は人間のどんな感情を表しているのか。作者はその容易に分からない部分を見てもらい、何かを感じ取ってもらいたいと思っている。

作者のプロフィール

瀬頭 順平(セトウ ジュンペイ)
1978年埼玉県生まれ。2004年神戸学院大学薬学部卒業。12年大阪ビジュアルアーツ専門学校写真学科夜間部卒業。
写真展に、13年「西海岸」、14年「2013年度 コニカミノルタ フォト・プレミオ 年度賞受賞写真展」(以上コニカミノルタプラザ)などがある。

2015年 ニコンサロン特別企画展
Remembrance 3.11
畠山 直哉写真展

写真
陸前高田 2011―2014
4/30 (木) ~5/13 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

写真

作者は1958年に陸前高田市で生まれ、筑波大学で大辻清司氏に写真を学んだ後、東京で写真家として活動していたが、2011年3月11日に大津波が東北地方を襲ってからは、頻繁に故郷に帰り、日々変わりゆくその姿を写真におさめるようになった。これまでにも東京都写真美術館、3331アーツ千代田、水戸芸術館、中京大学Cスクエア(名古屋)、ハウスマルセイユ写真美術館(アムステルダム)、ボストン美術館(米国。本年4月5日より)など、折に触れて発表されてきた震災後の陸前高田の風景が、昨年12月までの撮影分の中から60点余りセレクトされ、今回展示される。
東日本大震災のあと作者は、津波以前にあった故郷の平和な眺めと、津波によって激変した眺めを対置させる方法を試みてきた。それは2012年に河出書房新社から出版され、その翌年フランスでも翻訳出版された写真集「気仙川」によく表れている。そこでは震災がもたらした時間的な亀裂が主題となっていた。
今回の「陸前高田 2011-2014」は、その亀裂の後になお続く時間、というものが主題となっている。被災物が片づけられ、廃墟が取り壊され、大規模な土木工事が始まり、新しい建物が少しずつ出来、と、停止してしまったかに思われていた時間は、実は刻々と動いていた。地面に伏した人間がよろよろと起き上がる姿を見るようであるが、これは陸前高田が津波という亀裂の後で、自身の過去を何とか新しく制作しようとしている姿とも言える。こうやって日々制作され積み上げられる過去から、やがて未来が現れてくるようにと、作者は願っているようだ。
カラー約60点。

作者のプロフィール

写真

畠山 直哉(ハタケヤマ ナオヤ)
1958年岩手県陸前高田市生まれ。東京在住。筑波大学芸術専門学群にて大辻清司に師事。1984年に同大学大学院芸術研究科修士課程修了。以降東京を拠点に活動を行い、自然・都市と写真のかかわり合いに主眼をおいた、一連の作品を制作。2001年に中村政人、藤本由紀夫とともにべネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館にて展示。2011年に東京都写真美術館で個展「畠山直哉 ナチュラル・ストーリーズ」(平成23年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞)を開催など、国内外の数々の個展・グループ展に参加。2012年、べネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館に参加(国別参加部門金獅子賞受賞)。作品は、国立国際美術館、東京国立近代美術館、東京都写真美術館、サンフランシスコ近代美術館、ヒューストン美術館、ヨーロッパ写真館(パリ)、ビクトリア・アンド・アルバート美術館、テート(ロンドン)などに収蔵されている。

(PHOTO : Marc Feustel 2009)

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