小林 紀晴写真展
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ring wandering 悲しき迷走
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11/19 (水)
~12/2 (火)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
作者が生まれ育った八ヶ岳の裾野は冬の寒さが厳しい。その季節、あたかもすべての生命が凍てついたしまったかのように死を強く連想させる。夏のあいだ迷走しながら生長した植物は、冬にその痕跡をあらわにする。
一方、古く縄文の時代から人々はこの地で野生動物を追ってきた。追われる動物たちもまた迷走する。枯れた草木は罠のように立ちはだかる。やがて捕らえられ、大地に滴る動物の血は体温とひきかえに湯気をあげる。そのさまは生の象徴のようにも、生と死の交換のようにも映る。
人もまた冬枯れのなか、植物と動物のあいだで迷走する。
3つの回帰の輪は冬にだけ触れあい、重なる。より死と生があらわになる。それらは悲しくも美しい。
【リングワンダリング】(英:ring wandering)
人が山中などで方向感覚を失い、無意識の内に円を描くように同一地点を彷徨い歩くこと。
作者のプロフィール
小林 紀晴(コバヤシ キセイ)
1968年長野県生まれ。東京工芸大学短期大学部写真科卒業。アジアを旅し作品を制作する。2000~2002年渡米。「DAYS ASIA」で日本写真協会新人賞受賞。写真展「遠くから来た舟」で第22回林忠彦賞受賞。現在東京工芸大学芸術学部写真学科教授。
写真集、著書に『ASIAN JAPANESE』『homeland』『days new york』『はなはねに』『昨日みたバスに乗って』『写真と生活』『メモワール』『kemonomichi』『美女の一瞬』など多数。
石川 竜一写真展
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絶景のポリフォニー
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12/3 (水)
~12/16 (火)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
この島は、人間の欲と悲しみにふりまわされてきた。だからこそ平和で豊かな南の島を夢見てきたし、そうであろうとしてきた。ただそれは、抑えることのできない欲と、それによって生まれるカオスをいつも孕んでいる。
力強い自然があり、普通と思われる生活があり、楽しいこともそれなりにある。そんななかで作者たちは、解消しようのないフラストレーションを抱えながら、起こるはずのない特別な瞬間を待ち、毎日を、ただ悶々と過ごしている。
当然のことだが、全ての存在や出来事は等価ではない。この世界でそれぞれが全く別のものとして別の価値をもち、主張し合っている。主体となるものや、時間、状況、対象、どれかが少しでも違えば、全てのものが変化し、また全てが同じように揃うことはない。そして、そんな一つ一つのことにほとんど意味はない。全てのことはつながり、そのつながりのなかでだけほんの少し、それぞれに意味が生まれる。
今そこにあるものを、できる限り受け入れること。「研ぎすます」や「無駄を削ぎ落とす」ということは技術的なことではなく、自分の経験や培ってきた概念をできる限り捨て、今この時と向き合うことだ。そうすることで、これまでの鎖から解放され、また新しい「何か」が入ってくる。捨てて捨てて捨てて、今この時に捨てられずに残ってしまっているもの。それが今の自分のどうしようもないクソッタレのアイデンティティに他ならない。 カラー40点。
作者のプロフィール
石川 竜一(イシカワ リュウイチ)
1984年沖縄県生まれ。2006年沖縄国際大学卒業。大学在学中に写真と出会う。08年前衛舞踊家しば正龍氏に師事。10年写真家勇崎哲史氏に師事。11年東松照明デジタル写真ワークショップ(3期生)に参加。12年「okinawan portraits」で第35回写真新世紀佳作受賞。
写真展に、10年「脳みそポートレイト」(沖縄県立博物館・美術館1F県民ギャラリー)、「瞑」(ギャラリーoMac写真、コンテンポラリーダンス)、11年「FRAGMENTS2」(沖縄県立博物館・美術館1F県民ギャラリー)参加、東松照明デジタル写真ワークショップ終了展(沖縄タイムスビル)、「Open Okinawa 沖縄幕開け!展」に@space tropical 参加。写真、コンテンポラリーダンスで出演、12年「沖縄本土復帰40周年写真展 OKINAWA 0 POINT」参加、13年「FRAGMENTS3」(沖縄県立博物館・美術館1F県民ギャラリー)参加、13年「FRAGMENTS3」に写真、コンテンポラリーダンスで出演、14年森山大道ポートフォリオレビュー展出品、「RYUICHI ISHIKAWA」(gallery ラファイエット)、清水穣キュレーショングループ展「show case #3」(@eN arts)などがあり、写真集に『SHIBA踊る惑星』(10年、自費出版)、『しば正龍 女形の魅力』(13年、自費出版)、『RYUICHI ISHIKAWA』(14年、写真集形作品)、『絶景のポリフォニー』『okinawan portraits』(以上14年、赤々舎)などがある。
松本 コウシ写真展
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午前零時のスケッチ
ONE OF THESE MIDNIGHT SKETCHES
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12/17 (水)
~12/29 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
解体される古い社宅、その前で博物館への旅立ちを静かに待つ0系新幹線。同じ時代にあって同じように役目を終えたモノ達だが、それぞれには異なった将来が待っている。出発はいみじくも午前0時だった。
今の世の中は物質としての寿命ではなく、ヒトが必要とするか否かでモノの在り方(運命)が変わる。
消えゆくモノたち、残されるモノたち……
だがこれらのモノたちが時間や時代を超え、ひとつの風景・事象として夜、俄に立ち上がる瞬間がある。ヒトの手を離れた風景達は、闇という摩訶不思議な時空間の中で、誰も知らないドキュメンタリー(物語)のクライマックスをひっそりと迎えていた。
作者は25年の間、ライフワークとして夜を彷徨し、写真を撮ってきた。誰も見たことのない光景、自分の想像力を超えた何かを探し見つけたい――、ただそれだけのセンチメントが、夜という摩訶不思議な時空間に作者を縛り付け、地図のない旅へといざなった。
本作は全国22府県を7年の期間を費やし、当て処もなく風景との出逢いを求めた作品集である。 カラー35点・モノクロ8点。
作者のプロフィール
松本 コウシ(マツモト コウシ)
1961年広島生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業。84年「京阪沿線」(アサヒカメラ)にて写真家デビュー。
写真集・著書に「眠らない風景」「続・眠らない風景」「泳ぐ夜」「午前零時のスケッチ」などがあり、25年間にわたって、夜という写真分野を追求している。