菊地 一郎写真展
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標景 II
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10/30 (木)
~11/5 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
作者はこの20年近く北海道から沖縄までの日本全国を旅してきた。その道中の車窓では被写体探しのアンテナを張り、気になる“モノ”を撮り続けた。
改めてその採集したコレクションを見ると、いかに風景の中には周りと調和せず、違和感のある人工物が存在するという事実に気付いた。そして点、線、形、色、記号などがフレームの中でせめぎ合い、その“モノ”が一番魅力的に見えるところで作画したものが本展である。いわゆる「人間の痕跡=しるし」で、標された風景というものである。カラー40点。
作者のプロフィール
菊地 一郎(キクチ イチロウ)
1971年生まれ。93年大阪芸術大学写真学科卒業。95年同大学研究生修了。98年同大学非常勤副手終了。以後フリーカメラマンとして活動中。
主な写真展に、97年「私的空間」(新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、2005年「記号景」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、07年「偽景」(新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、12年「標景」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)があり、写真集に、『memory holes』(ピエ・ブックス/02年刊)、『偽景』(冬青社/07年刊)などがある。
石川 博雄写真展
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風景の消息
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11/6 (木)
~11/12 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
日々の暮らしのなかで、気になる風景や光景を目にすることがある。それは、他の人には何でもない風景だが、作者には気になるのだ。そして、その風景は次々と姿を消して、新しい風景へと変わってゆく。
セネガルの環境学者ババ・ティオウム氏がこんなことを言っている。
「結局 私たちは愛着のあるものだけを大切にし、理解し得るものだけに愛着を感じ、教えられたことだけを理解する」
私たちは見慣れた風景には愛着をもてないのだろうか。
今は存在しない風景の消息を、本展の作品に尋ねてほしい。モノクロ61点(予定)。
作者のプロフィール
石川 博雄(イシカワ ヒロオ)
1951年愛知県生まれ。2003年「静かな時への誘惑」で第12回林忠彦賞受賞(山口県周南市)。
主な写真展に、99年「木花物語・あなたと暮らした街」(銀座ニコンサロン)、01年「木花物語・風と出会った時」、02年「静かな時への誘惑」(以上、新宿コニカプラザ)、04年「月をマツモノタチヨ」(コニカミノルタプラザ)、06年「花に咲いている時間」(銀座ニコンサロン)、09年「手のなかの詩」(コニカミノルタプラザ)、10年「旅の途中」(ギャラリー蒼穹舎)などがある。
矢口 清貴写真展
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パイパティローマ
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11/13 (木)
~11/19 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
沖縄県八重山諸島、日本最南端の有人島波照間島には、パイパティローマという伝説がある。
「1648年波照間村の百姓男女約40~50人が大波照間(パイパティローマ)という南の島へ逃避した。そのことで波照間村の有力者松茂氏は、石垣島地頭の守恒氏の船に乗り、上国したところ、越度があったと罷免された。八重山へ帰る途中、南の島に漂着した。二人をはじめ、船中の人々は翌年与那国島に到着し、帰ってきた」(『八重山島年来記(琉球王府)』)
島人が重税を苦に逃避したパイパティローマとはどこなのか。
琉球海溝に沿って、沖縄~宮古~八重山~台湾~ルソン海峡が並んでいる。史記にある波照間・与那国に最も近い島々は、台湾の蘭嶼(らんしょ)、フィリピン北端のバタン諸島である。これらは直径約450㎞の海域にあり、八重山諸島~沖縄諸島とほぼ同等の距離にある。
豊穣も厄災も海の彼方からやってくる。
沖縄・八重山に色濃く残る南への志向性、その源へ漕ぎ出そう。
永遠の楽土、パイパティローマを探しに。
カラー約40点。
作者のプロフィール
矢口 清貴(ヤグチ キヨタカ)
1978年兵庫県尼崎市生まれ。一級建築士。沖縄・八重山を舞台に、眼には見えない世界、此岸と彼岸、マブイ(魂)、人々の営みを追い続けている。2008年アサヒカメラ(2009年1月増大号)フロント・グラビア掲載。09年第10回上野彦馬賞九州産業大学フォトコンテストにて日本写真芸術学会奨励賞受賞。10年「Tokyo Graphic Passport 2010 Portfolio Viewing Award」(デザイン誌+81主催)にてMy Favorite Artist賞受賞。11年雑誌「正論」にて八重山の“暮らし”(2月号)、“まつり”(3月号)、“自然”(4月号)連載。今年(2014年)窓社より初写真集『マブイ 魂は廻る』出版予定。
主な写真展に、09年「魂は廻る―マブイハメグル」(Juna21新宿・大阪ニコンサロン)、10年「パティローマ」(仲底商店ギャラリー/沖縄県・波照間島)、13年「アイヅ」(帝塚山Gallery Limelight/大阪)などがある。
阿部 祐己写真展
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新しき家
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11/20 (木)
~11/26 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
私の母方の実家は代々農業を生業としてきた。築83年になる母屋の建て替えが決まり、私は二つの家を撮影する機会に恵まれた。
いつもと変わらず農家は畑に通い、傍らで新居の工事が進む。ハウスに絡む蔦のように骨組みに巻き付いたコードが血管にも見えて、次第に肉を付け人の住処になっていく。まだ人の匂いがしない家も年月と共に皺が刻み込まれ、在りし日の平屋のように柱も少しずつ曲がり、いつか歳を重ねた老人のような面影を見せる日が来るのだろう。
毎年繰り返されてきた農作。農家の住処であり続けた家。ずっと続くと思っていた景色も少しずつ変わり、いつか訪れる節目。畑が広くなり冬を越えて、また新しい年がくる。
私は家と人の一生を、どこか重ね合わせて撮影していた。 (阿部 祐己)
カラー約30点
作者のプロフィール
阿部 祐己(アベ ユウキ)
1984年生まれ。2011年日本写真芸術専門学校卒業。同年写真新世紀において作品「ボイジャー」佳作入選。12年同「HALO」佳作入選。13年キヤノンフォトグラファーズセッションにおいてファイナリストに。14年三菱商事アートゲートプログラム入選。
中井 菜央写真展
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未明
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11/27 (木)
~12/3 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
祖母が遺した日記帳。
そこにはこう記されていた。
「生きていても意味のないものに私はなっていく」
晩年、アルツハイマーを患った祖母は、自分の中から抜け落ちて行く記憶の断片をひろいあつめるように日常を記録していた。
記憶をなくしていく祖母との時間の共有。
それは想像以上に喪失感を伴うものだったが、人の記憶を記録する写真の重要性について、再び考える時間を与えてくれた。
この作品は祖母が残した言葉がきっかけとなりはじまった。
祖母のように、人は生きて行く中で避けることのできない現実と直面し、戸惑う。それでも生に向き合い、未来に期待を抱き、光と闇の間を漂い続けるものなのだ。
限られた人生の時間の中で人々が発している、わずかな光と丁寧に向き合いたい。
人が確かにこの世に生き、何かを模索したのだという証を私は撮りたいのだ。 (中井 菜央)
作者のプロフィール
中井 菜央(ナカイ ナオ)
1978年滋賀県生まれ。2005年日本写真芸術専門学校卒業。08年第30回写真「ひとつぼ展」入選。第4回名取洋之助写真賞奨励賞受賞。10年第2回写真「1_WALL」入選。
写真展に、08年第30回「ひとつぼ展」(ガーディアンガーデン)、09年第4回名取洋之助写真賞受賞作品展(富士フォトサロン/東京・大阪)、10年第2回写真「1_WALL」展(ガーディアンガーデン)などがある。
HP http://www.nakainao.jp/