熊野 寛喜写真展
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地上の欠片
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9/25 (木)
~10/1 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
単純なコンクリートは、75パーセントが砂や砂利、15パーセントは水、10パーセントがセ メントという割合で調合される。 世界的なコンクリートの需要は膨大で、地球上で水の次に消費量が多い物質であり、ダンプカー4億台分以上(年間)に相当する量のコンクリートが建設現場へと運ばれる。そして高層ビル、ダム、橋や高速道路などを造り上げ、私たちの暮らす環境の基盤を支えている。 本作品は、被写体である砂、砂利、泥や水から創造世界を創り上げる。一方、どれだけ創造性を持つ写真だとしても、写真である限り現実から切り離すことはできない。 作者は、「現実」と「非現実」の往復行為を繰り返す中で、作品の制作を行った。
作者のプロフィール
熊野 寛喜(クマノ カンキ)
1988年広島県生まれ。
写真展に、2011年 Island Bound 出展「能美島」( 福岡アジア美術館 )、同年 Exhibition M 出展「床の香り」( 福岡市美術館 )、12年 Exhibition Island 出展「跡」( 福岡県立美術館 )、13年 Exhibition M 出展「砂」( 福岡アジア美術館 )、同年 2013 International Photo Exhibition of Asian Student 出展「In Space」(Seoul National University of Science & Technology /韓国 )、 中国第15回国際写真芸術展出展 ( 麗水博物館/中国 )、Genesis 出展「地上の欠片」( 新宿コニカミノルタプラザ ) などがある。
第20回酒田市土門拳文化賞受賞作品展
山本 眞弓写真展
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風の民
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10/2 (木)
~10/8 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
地球誕生以来吹く風は、45億年の時を経て「人」を生み出した。この小さな惑星のそのまた小さな国、それが、フィリピンである。
フィリピンという国は、大小合わせて7107もの島々から構成されている。その中の一番大きな島がルソン島である。
そのルソン島の首都マニラには、生きるために職を求め、地方から流れ出てきた人々がたくさんいる。彼らは、心ならずも道端やレールロード、河川敷などの不法な場所に住居を構え、想像を絶する極貧のなかで生活しているのだ。また、都市計画のもとにその住居も追われ、新しい不法地帯へと移らざるをえない者もいる。
そんな状況の中、彼らは深い信仰のもとに神を信じ、救いを求めることで心の平安を保っている。そして、微笑みの心で明るく逞しく、助け合って生きている。
時には台風となって、人々を容赦なく痛めつける「風」だが、その「風」は、来世と現世の魂を運び、人の心と心を結ぶ懸け橋となる。そして、命を生み、育み、明日への希望を包み込んで、この島の人々を優しく見守っている。モノクロ作品。
選考委員講評
土門先生の名作「筑豊のこどもたち」は、2週間の取材で貧困にあえぐ炭鉱労働者の生活をカメラに収めた一冊である。
組写真の面白さは何年に亘って撮影したとか、何千枚も写した、ということは関係ない。「風の民」を写した山本氏もフィリピンの首都マニラでの取材は5回ほど行っているが、延べ1ヶ月半ぐらいのものである。
リアリズム写真はモチーフの発見がすべてである。レールロード、河川敷など不法地帯に暮らし、雑草のように「生きて行く」人々の生活ぶりが写真から伝わってくる。移動式バラック住宅を画面に取り入れるためにワイドレンズを多用した画面構成、住んでいる住居と人や小動物などの捉え方も鋭い。モノクロ写真でローキー調のプリント仕上げも成功している。
宮本武蔵の兵法「五輪書」水の巻に「観見二つの事。観の目つよく、見の目よわく」という言葉がある。観の目とは心の目の事で、山本氏の写真からは研ぎ澄まされた心の目を見ることができる。 (藤森 武)
作者のプロフィール
山本 眞弓(ヤマモト マユミ)
1940年京都府舞鶴市生まれ。99年写塾AIMにて有野永霧氏に師事。2009年ニッコールフォトコンテスト・モノクロの部においてニッコール大賞受賞。ニッコールクラブ阪神支部会員。
写真展に、05年「風のなかへ」、11年「風の化石」(以上、新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロン)などがある。
土門拳文化賞奨励賞
第20回土門拳文化賞奨励賞は下記の方々が受賞されました。
森島 輝雄氏(もりしま てるお) 「運河彷徨」
中村 明弘氏(なかむら あきひろ) 「風光るとき」
内山真衣子氏(うちやま まいこ) 「北京ロマンチカ」
高田 啓一写真展
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夢を追いかけて
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10/9 (木)
~10/15 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
「大学の4年間、全く情報保障(注)がなく、講義の内容が分からなかった」
「入学前に、〈情報保障を付ける〉と約束されたのに、その保障がなかった」
「情報保障がないため、講義の内容が分からず、毎晩泣いていた」
等、耳が不自由な学生から驚くような話を聞いた作者は、他の学生たちはどんな学園生活を送っているのか知りたくなり、全国各地に出かけ、ろう学生の話を聞いた。
医者、弁護士、教員など、大きな夢を抱いて入った大学で、聴覚障害への十分な対応をしてもらえない多くの学生の存在を知るとともに、日常生活を送る上での様々な困難さなども聞くことができた。
本展では、夢を追いかけて努力しているろう学生の姿と学生たちの思いを展示する。モノクロ約70点。
(注)身体的なハンディキャップにより情報を収集することができない人に対し、代替手段を用いて情報を提供すること。とくに聴覚障害者に対するコミュニケーション支援をさす。
作者のプロフィール
高田 啓一(タカタ ケイイチ)
1948年鳥取県八頭郡若桜町生まれ。72年鳥取県立境高等学校勤務(教員生活スタート)。76年鳥取聾学校転任。80年写真活動開始。81年鳥取聾学校において写真活動開始(顧問として退職まで28年間指導)。83年「日本フォトコンテスト」誌―白黒写真の部・年度賞5位。85年同年度賞4位。86年「アサヒカメラ」誌―モノクロプリントの部・年度賞次点(4位)。2001年「博報賞(障害児教育部門・団体の部)」受賞。07年NHK教育放送「ろうを生きる難聴を生きる 『写真でコミュニケーション』」に出演。09年鳥取聾学校を定年退職(33年間勤務)。日本海テレビ・山陰放送テレビ(テレビ朝日系列で全国放送)「生きる×2 写真に託すメッセージ」に出演。ニッコールクラブ会員。
写真展に、11年「あれから」(新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロン)などがある。
全日本写真連盟展
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全日本写真展2014
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10/16 (木)
~10/22 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
42回目を迎えた「全日本写真展 2014」のテーマは、身のまわりの暮らしや風俗、人間の営み、政治経済に至るまで、“あなたのセンスで現代を切りとろう”である。
展示する作品には、変貌する都市や農村、地方に残る昔ながらの暮らしなど、全日本写真連盟の会員をはじめとする全国のアマチュアカメラマンや高校生が、足で歩いて捜し出した“現代のひとコマ”が写し出されている。
本展は、「国際写真サロン」、「日本の自然」とともに全日本写真連盟が主催する代表的な公募写真コンテストで、一般の部、高校生の部の2部門に分けている。本作品展では入賞作品一般の部113点、高校生の部44点の合わせて157点を展示する。なお、入賞作品集を制作し、記録として残している。
本写真展は新宿ニコンサロンでの開催後、本年10月16日(木)~10月22日(水)、大阪ニコンサロンにおいても開催し、その後全国の主要都市を巡回する。
団体のプロフィール
全日本写真連盟は1926年(大正15年)に創設され、朝日新聞社が後援する全国的な組織で、現在約1万5000人の会員を擁する写真愛好家の団体である。
渡辺 眸写真展
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1968 新宿
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10/23 (木)
~10/29 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
作者が当時、新宿を愛する編集者にはじめて連れていかれたのは、新宿御苑近くのちどり街にあったユニコンという酒場だった。近くにはモダンジャズを聞かせるビザール、木馬、ピットイン、DIG、DUG等があった。DUGはいまでも健在である。花園神社境内での唐十郎の紅テント、ゴールデン街で女装した美しい人に出会い、グリーンハウスの風天たち。アンダーグランドという言葉に出会ったのもこの頃。下北沢でも吉祥寺でもない新宿が文化だった。
作者が新宿の坩堝に嵌っていた日々が続くある夜中、新宿周辺が群衆で大混乱になっているのに遭遇した。「10.21国際反戦デー」のデモだった。情報として知っていただけのベトナム戦争を、もみくちゃにされながらも、作者は全身で体験したのだった。
これらの写真群は1967年からボチボチ撮り始め、広場が通路になって、メディアでフォークゲリラと呼ばれた1969年の新宿西口までだが、その中でも1968年に撮ったフィルムが最も多かった。モノクロ93点。
作者のプロフィール
渡辺 眸(ワタナベ ヒトミ)
東京都生まれ。明治大学、東京綜合写真専門学校卒業。
主な写真展に、1985年「天竺」(ツァイトフォトサロン/東京・日本橋)、94年「猿年紀」(巡回展:ツァイトフォトサロン/東京・日本橋、G・ガーデン/東京・銀座、湯布院美術館/大分、ぎゃらりートラックス/山梨、ぎゃらりーississ/京都)、95年「水の呼吸」(Egg Garally/東京・渋谷)、95~99年「西方神話」(巡回展:WTCミュージアム/大阪、新宿コニカプラザ、札幌コニカ、ぎゃらりートラックス/山梨)、2001年~03年「Lotus」(巡回展:Egg Garally/東京・渋谷、ぎゃらりーississ/京都、聴潮閣/大分、他)、04年「てつがくの猿」(町家ぎゃらりー山田/京都、小坡美術館/伊勢市)、07年「全共闘の季節」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、13年「東大全共闘」(「日本写真の1968」展:東京都写真美術館)などがあり、主な写真集に、『天竺』(野草社)、『モヒタの夢の旅』(偕成社)、『猿年紀』(新潮社)、『西方神話』(中央公論新社)、CD-ROM写真集『西方神話』(デジタローグ)、『ひらいて、Lotus』、『てつがくのさる』(以上、出帆新社)、『東大全共闘1968~1969』(新潮社)、『1968 新宿』(街から舎)他がある。
パブリックコレクション:東京都写真美術館、eggギャラリー、ツァイトフォトサロン、フィリア美術館(山梨県北杜市)
菊地 一郎写真展
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標景 II
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10/30 (木)
~11/5 (水)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
作者はこの20年近く北海道から沖縄までの日本全国を旅してきた。その道中の車窓では被写体探しのアンテナを張り、気になる“モノ”を撮り続けた。
改めてその採集したコレクションを見ると、いかに風景の中には周りと調和せず、違和感のある人工物が存在するという事実に気付いた。そして点、線、形、色、記号などがフレームの中でせめぎ合い、その“モノ”が一番魅力的に見えるところで作画したものが本展である。いわゆる「人間の痕跡=しるし」で、標された風景というものである。カラー40点。
作者のプロフィール
菊地 一郎(キクチ イチロウ)
1971年生まれ。93年大阪芸術大学写真学科卒業。95年同大学研究生修了。98年同大学非常勤副手終了。以後フリーカメラマンとして活動中。
主な写真展に、97年「私的空間」(新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、2005年「記号景」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、07年「偽景」(新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、12年「標景」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)があり、写真集に、『memory holes』(ピエ・ブックス/02年刊)、『偽景』(冬青社/07年刊)などがある。