写真展内容
私は岐阜県養老町で生まれた。
静かで清くて、何もない。
空虚感と憂鬱。
ああ、田舎なんだと、さめざめ思う。
家を出て、生まれ育った町を見る。
やっぱり何もない。
ただそこにふるさとがある。
ただそこに家族がいる。
それだけのことが温かいことだと知った。
ああ、おまえは何をわかっている。
カラー42点。
作者のプロフィール
寺倉 弓恵(テラクラ ユミエ)
1985年岐阜県生まれ。13年名古屋ビジュアルアーツ写真学科夜間部卒業。
私は岐阜県養老町で生まれた。
静かで清くて、何もない。
空虚感と憂鬱。
ああ、田舎なんだと、さめざめ思う。
家を出て、生まれ育った町を見る。
やっぱり何もない。
ただそこにふるさとがある。
ただそこに家族がいる。
それだけのことが温かいことだと知った。
ああ、おまえは何をわかっている。
カラー42点。
寺倉 弓恵(テラクラ ユミエ)
1985年岐阜県生まれ。13年名古屋ビジュアルアーツ写真学科夜間部卒業。
撮影指導を織作峰子顧問が行なう海外撮影ツアーの、参加者による作品展である。
募集開始数日で定員を超える人気となった南イタリアの撮影ツアーは、白壁と円錐形屋根のアルベロベッロ、丘陵地帯にぽっかり浮かぶロコロトンド、洞窟住居サッシが一面に広がるマテーラ、ナポリ民謡で有名なソレント、リゾート地アマルフィー海岸、おなじみのナポリ、そしてナポリ湾の小さな島プローチダを6泊8日の日程で巡った。
アルベロベッロでは民族舞踊、マテーラではモデル撮影会、アマルフィー海岸ではチャーター船で海上から撮影と、バラエティーに富んだ撮影もあり、楽しみながらシャッターを押し続けた参加者の作品を展示する。
ニッコールクラブ会員で「地中海の青い風と色彩あふれる南イタリア」海外撮影ツアーに参加した41名。
鉄道の車窓から目にとめた風景をとらえた作品である。
風景は、特別ではない普通の山や川、海、村、田畑、道、町、集落など、身近な景色だが、車窓を流れる景色の中から、半ば反射的に、しかししっかりと意識的に撮ったものばかりである。
車窓から見る風景・景色は途切れることなく連続的で、いつも作者の時間的、地理的な移動とともに次々と流れ、変化する。動画で記録するなら、それは作者のそのときを写すことになるだろう。そして、静止画でその場を選び、切り取って写す景色は、過去から今日までの作者自身をあぶりだすことになるのではないか。作者はそのようなことを思いながら撮影を続けた。
意識的には初めて見る景色ばかりなのだが、ずっと以前にどこかで見たような気がする。
プリントして隅々までゆっくり見ていると、いろいろなものが写っていることに気づき、いろいろなことを想像させ、また過去の記憶につながらせる。
なお撮影地は、滋賀、京都、奈良、大阪、兵庫、岡山、広島、島根、の各府県で、撮影時期は、2012年1月~2013年9月である。カラー40点。
後藤 安男(ゴトウ ヤスオ)
1946年兵庫県生まれ。71年大阪外国語大学中国語学科卒業。82年フォトグループABCに参加し、写真を撮り始める。ニッコールクラブ会員(心斎橋支部所属)。
主な写真展に、2011年「8月6日 広島平和記念公園の人々」、12年「私図鑑『構造物』」(以上、ニコンサロンbis大阪)がある。大阪府茨木市在住。
作者は芸術家の赤瀬川原平氏を中心に結成された路上観察学会が「トマソン」と呼んでいたものに興味があった。
トマソンとは都市の中で自然発生的に生まれた「建築物に付着し美しく保存されている無用の長物」のこととされている。
誰が作った訳でもない観察者によって初めて発見されるトマソンを記録するのにはカメラが不可欠だった。作者もカメラ片手に、まるでトマソン探知機にでもなったかのように路上を歩くと、たくさんのそれらしきものに出会うことができた。
面白いと思った対象にシャッターを切る。それらは表現を目的としたものというよりは、記録、採集と呼ぶに近い行為であったが、同時にトマソン的になるものを発見した際、作者自身に感情的な動きが生じたことも確かだった。
これはかなり写真的な行為で、その気持ちのざわめきを求めることは、作者が写真を撮る動機のかなり根源に近いところにあるものだ。そしてその気持ちのざわめきは決してトマソンという物体を発見した時だけに限らなかった。それから作者は「はっ!」とした時は自分の体に任せてシャッターを切ることにした。カラー31点。
河田 幸大(カワタ ユキヒロ)
1987年生まれ。夜の写真学校第24期修了。
彼の視線は真っ直ぐ遠くに伸びる。その視線の先に何がみえているのか、また、みえてきたのかを私は知りたい。
和歌山県を流れる河川「紀ノ川」の上流から撮影を始め、下流へと向かい撮影を続けた。
祖父、祖母、作者の三人で車に乗り、河川から半径500メートル以内の風景と祖父を写真に収める。そんな日帰りの撮影旅行を続けるうちに、三人には役割ができた。
作者と祖父の関係をつないでいるのは写真しかないのかもしれない。それでも一人の人と向き合うということは、その人を作った環境、人生、考えと向き合うということだ。
撮影を続けて知った彼の佇まいは、作者が写真にしたいと思った紀州の土地そのものだった。
緩やかに、しかし確実に変化を続ける和歌山の土地の記録、そして写真で関係をつくり、お互いの視線をぶつけあいながら同じものをみた作者たちの記憶である。カラー31点。
森田 剛史(モリタ タケシ)
1990年生まれ。2013年東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。
写真展に、13年「平成24年度東京ビジュアルアーツ写真学科卒業制作優秀作品展」(ニコンサロンbis新宿)、「肖像Ⅰ/planar」(J3Gallery)がある。