Nikon Imaging
Japan
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銀座ニコンサロン 2013年12月

上本 ひとし写真展

写真
海域
11/20 (水) ~12/3 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

瀬戸内海、周防市徳山湾沖合にある大津島に、人間魚雷「回天」の基地跡と資料を展示した回天記念館がある。太平洋戦争末期、悪化した戦局を逆転させる願いを込めて発案命名された「回天」は、大型魚雷を人が操縦し、敵艦に体当たりする特攻兵器である。
作者がこの島を初めて訪れたのは二十代前半の、写真を始めた頃で、買ったばかりのカメラを肩に、少し気取った格好で題材探しに大津島に渡った。同年代の青年が祖国のため、愛する家族を守るため、自らの命を犠牲にして散っていった事実を目の前に、高度経済成長期(物欲時代)を育った自分の甘さが情けなく、逃げるようにこの島をあとにしたという。そして還暦を前にして、やっとこの島を再び訪れ、カメラを向ける気持ちになった。
基地は周防灘周辺の大津島、光、平生と大分湾大神にあり、出撃を果たすため猛訓練に勤しんだ訓練海域がある。大型魚雷を改造して作られた回天は、操舵が極めて難しく、訓練中の事故で多くの殉職者を出している。この海景はその訓練海域である。
とうてい当時の緊迫した精神状態を写真に表現することは出来ないが、海の色、島影は今も変わらずここにある。戦後七十年を迎える今、作者は当時の事実を少しでも次の世代に残したいと願っている。モノクロ40点。

作者のプロフィール

上本 ひとし(ウエモト ヒトシ)
1953年山口県下松市生まれ。75年頃より写真を始める。76年コンテスト中心に写真活動。81年から10年間写真活動休止。92年ニッコールフォトコンテストを中心に写真活動を再開。第40回同コンテスト入選。93年第41回同コンテストでニッコール大賞受賞。以降10年間、同コンテストで連続入選入賞。2000年第51回山口県芸術文化振興奨励賞。01年第49回ニッコールフォトコンテストでニッコール大賞、長岡賞受賞。この頃より作家活動に入る。06年第6回さがみはら新人奨励賞。現在靴店を経営しながら作家活動を行っている。
主な写真展に、02年「恐迷夢」、04年「都私夢」カプセルホテルから見た東京、05年「峠越え」2003.8.23~2005.2.28空景、07年「OIL2006」、10年「周防国景」(以上、銀座ニコンサロン、大阪ニコンサロン)などがあり、写真集に『「峠越え」2003.8.23~2005.2.28空景』(日本カメラ社・05年刊)、『OIL2006』(冬青社・07年刊)があり、現在『海景』(蒼穹舎刊)を準備中である。

中川 隆司写真展

写真
american surburbia
12/4 (水) ~12/17 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

作者は2013年4月に1ヶ月をかけ、ロサンゼルスよりシカゴ、シカゴからロサンゼルスまでレンタカーにて撮影の旅を敢行した。
一般的なアメリカを象徴する西海岸と東海岸。しかし国土の大半は海に面する事のない土地が占めている。それらの土地には摩天楼もなければ、リゾートもない。おしゃれな店もなければセレブもいない。あるのは、生活に使われる道路と商店。いるのは、その土地に生まれ、そこで生涯を終えるであろう人々。利用される事もないだだっ広い広大な土地と生活に酷使され続けた車達だ。
旅の中、毎日違うモーテルに身をよせ、おんぼろレンタカーを走らせる。ある地では、雪が降り道路が凍結している。ある地では、あまりの集中豪雨の為に店内に軟禁状態になる。ある地では、あまりの暑さに車内の水が枯渇した。また、ある地では、舞い上がる砂塵に視界を遮られ、アクセルを緩めざるをえなかった。
そこは誰も行かないアメリカ。行く理由のないアメリカ。人々はどこか寂しげで、ドライで空っぽで、空虚なアメリカ。どこを切り撮っても、一昨日見た風景に思えてしまうアメリカだ。
何を食べても、日本人の舌の味蕾には響かない食べ物。作者はこのアメリカンドーナッツの端から中心を走り、撮り、疲れて眠り、やさぐれながら長旅を続けた。そして、アメリカの背骨は、この超大国の郊外にこそ存在する事を改めて確信した。
そんな愛すべき何もない「american suburbia」を印画紙に定着させた作品を展示する。カラー40点。

作者のプロフィール

中川 隆司(ナカガワ タカシ)
1959年岡山県生まれ。東京造形大学映像学科写真科卒業。
主な写真展に、91年「Put Them Side By Side」(スタジオエビス Photo Gallery)、92年同(佐賀町ブリュス Photo Gallery)、98年「Analog and Digital Photograph BMX FREE STYLE」(スタジオエビス Photo Gallery)、2004年「N÷Y÷0」(Gallery Rocket)、06年「Border Line Arizona Nevada」(銀座ニコンサロン)、「Border Line California New Mexico」(Gallery ローカス)、09年「On The Road」、10年「The Collection」、11年「The Collection 特別展」(以上、Gallery Bauhaus)などがある。

吉永 友愛写真展

写真
長崎-キリシタンの里
12/18 (水) ~12/28 (土)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

日本ではキリスト教禁教の時代が280年あまり続いた歴史がある。特に長崎県にキリシタンが多く、弾圧に耐えながら信仰を守り続けてきた。
明治6年(1873)、禁教が解け、カトリックに復帰した人々は、自分たちの祈りの場である教会を、過酷な労働奉仕で長い年月をかけて造った。現在も長崎には多くの教会とカトリックの集落が点在している。
被写体の長崎市外(そと)海(め)地区は、現在、市街から車で約1時間で行けるが、禁教当時は山を越えて一日かかったという。
断崖と狭い浜が交互に続き、民家や小さい畑が山の斜面に点在する細長い町で、禁教時代に迫害や弾圧に耐えながら、貧困のなかで密かにカトリックの信仰を守り続けてきた土地、いわゆるキリシタンの里である。
海と山の匂いが混ざり合った谷あいの町に、今も熱心なカトリック信徒が多く、文明社会のなかで彼らは信仰を心の糧とし、質素に、心豊かに暮していて、信仰の深さからくる優しさがあった。
展示する写真は、昭和52年(1977)から約15年間、勤務の合間に撮影してきた記録だが、一昔前のキリシタン集落の生活風土から、作者は日本におけるキリスト教の歴史、つまり、迫害と闘ってきた信仰の強さを感じて欲しいと願っている。カラー2点・モノクロ50点。

作者のプロフィール

吉永 友愛(ヨシナガ トモナリ)
1944年長崎市生まれ。27歳から長崎の写真クラブで写真を始め、勤務の傍ら写真を撮り続ける。79年から全国公募写真展「視点」奨励賞2回、特選3回、入選12回、2007年第10回平間至写真賞奨励賞受賞。
主な写真展に、10年「出津(しつ)の里」(長崎出津教会信徒会館)、11年5月「ひぐれどき」、11月「唐寺の盆」(以上、長崎南山手美術館)などがある。

12/29 (日) ~1/4 (土)
年末年始休館
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