藤田 満写真展
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海に日は照る
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10/23 (水)
~11/5 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
作者は、“あの地方へ10日間ほど”といった大雑把な計画で、年にいく度か遠出の旅に出る。
旅行案内書などを使うが、それは沢山の人が来そうな所を避けるためで、五所平之助の俳句「冬の田のすっかり雨になりにけり」や「菜の花に少年海を好みけり」などを口遊むとしーんとした情景が思われて、じっとしていられなくなる。
地形図のなかで、“津”と名のつく町や湾の浦や海峡や深い入江、河口などを辿り、そこに港、集落などの記号を見つけ、等高線を重ねて浮かぶ風景、そんな場面を幾つか描けた地方へ行ってみる。それはいつも、何でもない普段の景色だ。
2012年、作者はコンデジカメラを持って海を歩いた。そして国の周りはみんな海だということを、知っていて知らなかった、ということに気づいた。
海は飄々と、はてしなく人の暮しを見てきた。海を見ていると少年になる。カラー60点。
作者のプロフィール
藤田 満(フジタ ミツル)
1934年東京都生まれ。61年制作会社を退職し、写真を職業とするフリーとなる。66年㈲フジタマン写真事務所を東京都渋谷区に開く。2007年同事務所を閉じ、自主的に写真制作を続ける。
この間東京綜合写真専門学校において18年間、武蔵野美術大学において5年間非常勤講師を務め、写真展を新宿ニコンサロン(00年、06年)、銀座大黒屋ギャラリー(02年)、ギャラリー冬青(07年、11年)、ブロイラースペース(10年)、プレイスM(11年)などで開催。
また著作に、「里見勝蔵作品集」(読売新聞社・78年)、「暮れなずむ里 五箇山」(桐原書店・82年)、「写真集 覊旅」(文遊社・2000年)、「写真集 在所」(冬青社・10年)などがある。
桑原 史成写真展
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不知火海 The Minamata disease Disaster
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11/6 (水)
~11/19 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
写真展のタイトルから漁火や天草諸島の島影、夕陽など情緒的な風景写真を連想するかもしれないが、そのような内容ではない。
不知火海(八代海)の沿岸に居住する人口は、かつて約40万人といわれてきた。半世紀前から起きたメチル水銀による水俣病事件で、これまでに多くの住民が犠牲になった。現在までの認定患者は約3,000人(うち約2,000人が死亡)。それに公的に救済の対象となる未認定の患者が約6万人余とされている。
作者は1960年以来、断続的だが写真による記録を継続してきた。本展は、9月下旬に発刊した自らの写真集『水俣事件』(藤原書店)と、10月に事件の現地(熊本県)で締結される「水俣水銀条約」とに合わせて企画された写真展である。
作品は、近年撮影した写真群(全体の約30%)を冒頭に配置して、50年の過去にさかのぼる逆編年の手法で展示する。モノクロ約50点。
作者のプロフィール
桑原 史成(クワバラ シセイ)
1936年島根県生まれ。1960年東京農業大学、東京綜合写真専門学校卒業。フォトジャーナリスト。62年日本写真批評家協会新人賞、65年講談社写真賞、71年日本写真協会年度賞、82年伊奈信男賞、2006年フォトシティさがみはら賞を受賞。
主な仕事に、水俣、韓国、ベトナム、ロシアなどがあり、主な著書に『報道写真家』(岩波新書)、桑原史成写真全集(全4巻)(草の根出版会)などがある。97年、桑原史成写真美術館(島根県津和野町)開館。
上本 ひとし写真展
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海域
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11/20 (水)
~12/3 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
瀬戸内海、周防市徳山湾沖合にある大津島に、人間魚雷「回天」の基地跡と資料を展示した回天記念館がある。太平洋戦争末期、悪化した戦局を逆転させる願いを込めて発案命名された「回天」は、大型魚雷を人が操縦し、敵艦に体当たりする特攻兵器である。
作者がこの島を初めて訪れたのは二十代前半の、写真を始めた頃で、買ったばかりのカメラを肩に、少し気取った格好で題材探しに大津島に渡った。同年代の青年が祖国のため、愛する家族を守るため、自らの命を犠牲にして散っていった事実を目の前に、高度経済成長期(物欲時代)を育った自分の甘さが情けなく、逃げるようにこの島をあとにしたという。そして還暦を前にして、やっとこの島を再び訪れ、カメラを向ける気持ちになった。
基地は周防灘周辺の大津島、光、平生と大分湾大神にあり、出撃を果たすため猛訓練に勤しんだ訓練海域がある。大型魚雷を改造して作られた回天は、操舵が極めて難しく、訓練中の事故で多くの殉職者を出している。この海景はその訓練海域である。
とうてい当時の緊迫した精神状態を写真に表現することは出来ないが、海の色、島影は今も変わらずここにある。戦後七十年を迎える今、作者は当時の事実を少しでも次の世代に残したいと願っている。モノクロ40点。
作者のプロフィール
上本 ひとし(ウエモト ヒトシ)
1953年山口県下松市生まれ。75年頃より写真を始める。76年コンテスト中心に写真活動。81年から10年間写真活動休止。92年ニッコールフォトコンテストを中心に写真活動を再開。第40回同コンテスト入選。93年第41回同コンテストでニッコール大賞受賞。以降10年間、同コンテストで連続入選入賞。2000年第51回山口県芸術文化振興奨励賞。01年第49回ニッコールフォトコンテストでニッコール大賞、長岡賞受賞。この頃より作家活動に入る。06年第6回さがみはら新人奨励賞。現在靴店を経営しながら作家活動を行っている。
主な写真展に、02年「恐迷夢」、04年「都私夢」カプセルホテルから見た東京、05年「峠越え」2003.8.23~2005.2.28空景、07年「OIL2006」、10年「周防国景」(以上、銀座ニコンサロン、大阪ニコンサロン)などがあり、写真集に『「峠越え」2003.8.23~2005.2.28空景』(日本カメラ社・05年刊)、『OIL2006』(冬青社・07年刊)があり、現在『海景』(蒼穹舎刊)を準備中である。